二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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 「真、愛依おいで」

 「「なぁに?」」

 「2人にママたちから贈り物です」

 愛依には繋が、真にはアズが出来上がったばかりのネックレスを首にかけてあげた。
 なにこれ?と首を傾げる2人にアズたちが持つブレスレットの代わりだと言えば自分たちの分もあったのだと喜んでくれた。

 「愛依のは繋お姉ちゃんが、真のはアズお兄ちゃんとエルお兄ちゃんが一生懸命探して選んでくれました。それとーー」

 ママからはこれねと貝殻を開いてやり中身を見せれば、謎の物体に更に首を傾げている。

 「痛いところに塗るお薬です。2人はよく木に登っては擦り傷とか切り傷をつくるでしょう?ママたちがいればすぐ治してあげられますけど、いない時はこれを痛いところに塗って治して下さい」

 言うより見た方が早いだろうと、少し手にとると今朝包丁で切ってしまった傷に薬を塗る。

 「「きえた!」」

 「ね?もうなくなったでしょ?こうして、真と愛依がもし怪我をした時はこの薬を塗って治して下さい」

 アズたちと同じブレスレットではないが、兄姉たちが2人のためにと必死に探して作った2人のためだけの特別なネックレス。
 何で自分たちにはないのだと口を尖らせ羨ましそうに繋たちを見ていた2人だが、自分たちのもあったのだと嬉しそうだ。

 「中身がなくなったら言って下さいね。またママが作って入れてあげますから」

 「「うん!」」

 愛依のはかわいい!、真のはきれい!とはしゃぐ2人に頑張って探したエルたちも嬉しそうだ。
 どれだけ子を産もうが未だに子育ての正解が何かは分からない。
 何が正しく、何をもって良い子は良い子と言われるのか。
 どれだけダメだと言い聞かせても本人が嫌だと思えばしないという選択肢もあり、縁がいくらこう育ってほしいと願っても必ずもそうなるとは限らない。
 毎回手探りではあるが、こうして子どもたちの笑顔を見れば頑張って良かったと心から思える。
 不安はまだある。
 この不安はきっと一生消えることはないだろう。
 
 「どうしたの?どっかツラい?」

 笑い合う子どもたちを見ながら黙り込む縁に、何かあったのかと心配そうに尋ねてくるエルに違うと首を振る。

 「幸せだなぁと」

 「……のわりには今にも泣きそうな顔してるけど?」

 よく見ているものである。

 「何故ですかね?昔から幸せを感じると、一緒に不安にもなるんです。幸せを感じれば感じるほど失った時の絶望が怖くて仕方がない」

 それは昔に両親を失ったせいによるトラウマみたいものなのかは分からないが、何かを得られ喜んだと同時に失った時の悲しみも考えてしまう。
 
 「失わないように頑張ればいいよ」

 「そう、ですね。けど…………時としてどれだけ手を尽くしても無情理に奪われる時がある、でしょう?」

 どれだけ願っても死んだ両親が帰ってこなかったように、何故両親だったんだとまだ子どもだった縁が泣き叫び続けたように、理由も、意味もなく奪われる時があるのだ。

 「私にとって家族が全てなんです。ずっと、ずっと求めていたものだからこそ失えば私はきっと生きていけない」

 みんながみんな縁にとってかけがえのない大切な家族だ。

 「……変なことを言ってごめんなさい。忘れて下さい」

 せっかくみんな笑っているのに水をさすようなことを言ってしまったと謝ると、繋たちの元へ行こうとしエルに腕を掴まれた。

 「オレ…オレは死なない。オレは絶対にエニシより先に死なないから。繋たちも絶対に守ってみせるから……」

 優しい優しいエル。
 彼が家族になってくれて本当によかった。

 「だって、約束したじゃん。エニシが言ったんでしょ。子どもたちのこと見守っててやってくれって。オレ頷いたじゃん。繋たちがお婆ちゃんになってもずっと見守ってみせるよ」

 人の寿命など魔族であるエルたちからすればあっという間の出来事だろう。
 
 「エニシの不安は全部無くしてあげることはできないかもだけど、繋たちのお兄ちゃんとしてオレ頑張るから」

 「ありがとう、エル」

 自分は本当に恵まれている。
 こうして支えてくれる人たちがいるのは本当に幸運なことだ。 

 「でも忘れないで下さい。エルも私にとって大切な家族の1人なんです。頑張ってくれるのは嬉しいですが無理はしないこと。エルが倒れたら泣きますからね」
 
 「大袈裟じゃない?」

 倒れるぐらいなんてことないと笑っているが、いつ何があるのか分からないのだから注意しておくことに越したことはないと言い聞かせておくのだった。
 

 
 
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