二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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必要なのは?

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 「ママこれは?」

 「うーん。色は綺麗ですけど少し小さ過ぎますね。もう少し大き目のものを探してくれますか?」

 「はーい」

 今日も今日とて雲一つない快晴にぐったりしながらも差し出された貝を受け取ったが、縁が求めるものには大きさが足りず繋には悪いがもう一度探してもらうことにする。

 「ママ。シンのこれでいい?」

 「うん、大きさも丁度いいですね。じゃあ真のはこれにしましょう。ありがとうアズ、エル」

 暑い中文句も言わず探すのを手伝ってくれた2人に礼を言うと、脱水症状にならないようにと水を渡す。
 ゴクゴクと勢い良く飲み干したかと思えば、今度は愛依の分だと繋と一緒に貝を探し始めるのだった。
何とも頼もしい兄妹たちだ。
何故こうも繋たちが張り切り貝殻を探しているかと言えば、昨日アズたちに渡した御守りを真たちの分も作ってやるためである。
 ただ2人に渡すのはブレスレットではなく、貝殻のネックレス。
 手作りのためそんなお洒落で凝ったものは作れないが、2人のためだけにと特別感が出るように考えている。
 2人に選ばせてもいいのだが、どうせなら兄姉たちが自分たちの為に一生懸命探してくれたなら尚嬉しいだろうとエルたちのを手を借りた。
 2人の為にとエルたちも喜んで手伝ってくれるのだった。

 「にしても何で貝なの?意味はないかもしれないけど魔石とかの方が綺麗じゃない?」

 「見た目だけならそれでもいいでしょうね。けどまだ子どものあの2人に渡しても綺麗だからとずっと着けていてくれるか分からないでしょう?」

 どうせ贈るならばきちんと身に付けていてほしいと思う。
 女の子の愛依ならばまだ綺麗だからと着けていてくれるかもしれないが、そうなると男の子である真にはそれだけでは足りない。

 「そう?………まぁ真も男だからなぁ」

 「でしょ?なので……これです」

 ジャン!と鞄から取り出したそれをエルに見せれるが、見たことがないのだろう物体に首を傾げている。

 「何これ?なんか……ベタベタするけ、どーーえ?ちょっと待ってこれ……」

 縁が出したのだからと警戒することなくそれを手に取り腕に少し塗り込めば、それまでエルの手にあったはずの小さな傷が次の瞬間にはまるで消えたかのようになくなっていた。

 「…………」

 「すごくないですか?アル爺は特に喜んでくれました」

 「そういう問題!?」

 よく出来たでしょと自慢するように笑って言ったのだが、エルには今にも掴みかからんばかりに驚かれた。

 「え?え?何これ?何なのいったい?」

 「こちらでは何と言うのか分かりませんが、軟膏……ええっと要はまぁ塗り薬ですね。元々あったものに更に回復薬を混ぜて効能を上げてもらいました」

 そう、何故ネックレスを作るにあたり貝殻を選んだかと言えば中にこの軟膏を入れるためだからである。
 繋やアズたちとは違い魔法は使えないが身体能力が高い獣人である2人はそのため動くことが大好きであり生傷が絶えない。
 一つ一つは小さなものでも、やはり大切な我が子に傷を残したくない縁は考えに考えこの軟膏を思いついた。
 元々町でも売っているのは知っていたのだが、あまり効力がないのと縁にしても繋にしても自身で治せてしまうため必要としてなかったのだ。
 だが今回のことをきっかけに2人にも簡単だが傷薬を持たせておこうと思った。
 調合の不安もあったためアル爺にも相談すれば嬉々として付き合ってくれ無事に完成させることが出来た。
 完成品はアル爺には勿論、マーガレットにレオナルドにも渡してある(ある意味実験体)。
 
 「綺麗だけでなく怪我を治すための薬も入れておけば嫌がることなく着けてくれるかなと」

 目の前に縁たちがいればすぐ様治してやれるが、ではそうでなかった時に薬があるのとないのではきっと違うと思う。
 どんな傷でもとは言わないが、ある程度の怪我は治せるため持っていて損はないだろう。

 「大き過ぎず、でも小さ過ぎても薬が入りませんからそれなりの大きさが必要だったんです」

 丁度いいものを探してくれてありがとうと言えば、深い溜め息の後どういたしましてとエルも苦笑いしていた。
 それは古い日本でもあったという二枚貝に入れて薬を持ち歩くというもので、流石に縁も実物を見たことはなかったがそれにならい作ることにしたのだ。

 「小さな傷はその内に治ると放っておくのも悪くはありませんけど、どうせなら早く治して痛みも少ない方がいいじゃないですか」 

 「それはそうだろうけどさ。………オレにはエニシのその発想が恐ろしいよ。なんでそんなポンポン思い付くわけ?」

 と言われても縁もあれば嬉しいなと思ったものを作ってしかいないため何がどうとも言えない。
 欲しいと思ったから作った。それだけである。
 それがおかしいんだと言われたがそれの何が悪いのだと開き直るのだった。

 

 
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