94 / 105
私がいたいのは
10-4 壊れる日常、貫く結晶の剣
しおりを挟む
◆
「ん~! やっぱり話できなかった~!」
伸びをしながらシエル達の元へ戻る凛々奈。入り口の前の椅子にシエルと月鈴、みいなが座っている。
「あれ? みーちゃん戻ってたの?」
「え!? あの、大怪我してる子の所に二人で行くのも良くないかなって思って」
焦った表情でみいなが取り繕う。
「ふーん、そっか」
その様子にまた凛々奈はみいながいつもと違うと感じる。
「やっぱりまだショックが大きいのかしらね、おそらく手遅れだった人の中にあの子の家族がいたのかも」
「・・・・・・」
全員がその可能性を思い沈黙が流れる。するとジリリリリリと部屋の奥から音がなる。
「あら、ちょっと失礼するわね」
鳴ったのは電話の音らしく、シエルが奥へと消える。すると数分と経たない内にシエルが大きな荷物を持って走って来た。
「ごめんね! 凛々奈ちゃん、みいなちゃん! ちょっとお留守番頼めるかしら!?」
「ん、急患? 大丈夫だよ」
凛々奈が返事をすると座っていた月鈴も立ち上がり準備を始める。
「凛々奈、奥にあの子の食事が用意してあるから温めて持っていってあげて」
慣れた動きで素早く準備を済ませながら月鈴が言う。
「うーい、シエルさんも月鈴も気を付けてね」
「あ、あの! 行ってらっしゃい! 気を付けて下さいね!」
あっという間に準備を終えて出発するシエル達を凛々奈達が見送る。
「・・・大変だねぇお医者さんも」
「はい・・・ でも凄いですね、立派です」
「闇医者だから患者は訳ありばっかだけどね!」
「それは・・・ いいんです!」
「あははは! じゃああの子のご飯用意してあげようか」
二人が診療所の奥に向かうとレトルトのお粥やレンジで用意できる消化に良さそうな物と食器が置かれていた。
「ん~ 確かにここキッチン無いけどさ~ なんかな~」
「レトルトのご飯も美味しいですよ」
二人で一緒に食事を温めて器に用意する。
「じゃあみーちゃん持っていってあげて」
出来上がった食事の乗ったトレイをみいなに渡そうとする。
「え! あ、あの、私」
何故かまたみいなの様子がおかしくなる。
「みーちゃん・・・・ どうかしたの? 何かあった?」
流石に心配になった凛々奈がトレイを置いて近づく。
「えっと、その」
みいなは言いにくそうにもじもじと顔を伏せる。
「大丈夫だよ、お姉ちゃんには何でも言いな~」
言いながら右手で頭を撫でつつそっと体を抱き寄せた。
「その、ただの気のせいというか、たいした事じゃないんですけど・・・」
「ん~?」
「どうしてか分からないんですけど・・・・ い、嫌な感じがしたんです・・・ あの子の近くだと・・・・」
「そっか、なんだろうね? うん、分かったよ私がご飯持っていってあげるからみーちゃんは座って待ってて」
(・・・・人見知り、かな? でもみーちゃんがこんな風に他人を遠ざけるの初めてみたかも)
凛々奈はそう思いながらトレイを持とうと手を伸ばす。しかしそれより先にみいなが割り込んでトレイを両手で持つ。
「で、でも! 初めて会った人を勝手に嫌がるなんて駄目ですよね! 私お料理持っていって少しお話してみます! もしかしたら歳も近いしお話ししてくれるかも!!」
そのままトレイをもって奥の部屋へ向かってしまった。
「あはは、無理しなくていいのに」
みいなを見送ると凛々奈のポケットが振動した。気付いた凛々奈が中に入っているスマートフォンを確認する。発信者名を見ると『サクラ』の文字が表示されていた。凛々奈は急いで通話ボタンを押して耳に当てる。
「サクラ!!! アンタ大丈夫なの!!!」
必死な声で語りかける。
「・・・・凛々奈うるさい、怪我に響く」
聞こえて来たのはもう聞き慣れた大切な友人の声。
「まったく、心配したんだから・・・・」
サクラの声を聞き、安心して気が抜けて目頭が熱くなり凛々奈の声は涙声になっていた。
「・・・・・え、泣いてる?」
「泣いてないわ!! バカ! アホ! 雑魚!」
「・・・・何この人、怖」
「全く・・・ ハルさんは?」
「うん・・・ ハルも大丈夫、さっき少しだけ目を覚ましたけど、今はまた寝てる」
「はあ~~、良かったぁ~」
とりあえず最悪な事態にはならなかった事に凛々奈は安堵した。
「それで、何があったのよ」
そして当事者に昨夜の事を尋ねる。
「うん、昨日お仕事の帰りに・・・ハルと車に乗ってたら急に襲われた」
「何処のどいつによ」
「・・・・私が前に一度戦った、子供」
「子供? てことは」
「うん、能力を持った・・・ exseed、機関の一員」
「やっぱりそっち系か・・・」
凛々奈は機関と言う言葉を聞き、とうとうこの街で奴らと本格的に戦いが始まるのかと溜息を漏らした。
ガタンッ!
その時みいなが向かった奥の部屋から何か物音が聞こえた。
「・・・・みーちゃん?」
返事はない。
「凛々奈?」
電話からのサクラの声に呼び戻される。
「ん? ああごめんごめん、今二人が目を覚まさなかったからさ、シエルさんの所で聞き込みしてたのよ」
「・・・聞き込み?」
「そ、あんた達が派手にやったから巻き込まれた人がいるのよ」
「・・・・・それは、必死だったから・・・ ごめんなさい」
サクラの声が暗くなった。
「冗談よ、アンタは何にも悪くないわよ、悪いのは喧嘩売ってきた奴らだもの」
「・・・・うん、でもその巻き込まれた人は・・・ 大丈夫?」
「まあアンタとハルさんより先に目が覚めてたし大丈夫だと思うわよ? 外国人っぽい可愛い女の子なんだけど」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
サクラの言葉が止まる。
「サクラ?」
「・・・・・・・その子、もしかして綺麗な白髪?」
「え? そうよ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
またサクラは黙り込む。
「何よ? なんか知ってるの?」
「その子」
言葉に詰まった後言いにくそうに続けた。
「肩からお腹位まで大きな傷が・・・ ある?」
「え? なんで知って・・・」
「凛々奈ッ!!!! 今すぐその子を!!」
トスッ
サクラが声を荒らげるのと同時に静かな、乾いた音が聞こえた。凛々奈は自分の胸に何か奇妙な感覚を覚えてそこを見る。何かが、透明な何かが凛々奈の胸から飛び出している。それには紅い液体が纏わりついてポタポタと少しづつ滴り落ちていた。
限りなく透明でガラスの様に透き通った綺麗な刃だった。それが胸を貫いて凛々奈の血を付けて胸元から伸びている。
凛々奈の手からスマートフォンが落ちる。
「凛々奈ッ!! 凛々奈ッ!!!」
床からサクラの叫ぶ声が聞こえる。
ガフッ
口から血を流しながら凛々奈は首だけを動かして振り返った。そこに居たのは先程までベッドの上にいた白髪の少女。両手に見えない何かを持って凛々奈の背中に突き立てている。
「おま・・・え・・・」
「あの子は・・・ 私の、私だけの天使様・・」
白髪の少女は恍惚の表情で口を開く。ベッドの上にいた時の無表情からは考えられない程、顔を歪めて。
「てん・・しだぁ?」
胸を串刺しにされている凛々奈は何とか声を振り絞る。
「うふふ、天使を惑わせる貴方見たいな失敗作は早くこの世から消してあげないと・・・」
「何・・ 言ってんのか・・・ 分かんないわよ・・」
凛々奈は少女の後ろ、みいなが向かった筈の部屋の方を見た。そこには部屋の入り口の前で溢れ散らかるトレイと料理。そして倒れるみいなの姿があった。
「お前ッ!!!!」
凛々奈は背後にいる少女に足を蹴り上げる。少女はそれを後ろに下がり回避した。それと同時に手にした刃が引き抜かれ凛々奈の胸から血が吹き出す。
吹き出した血が白髪の少女を紅く染めた。
「あはははっ! 大丈夫よ、気を失ってるだけ 私の愛しい天使に傷をつける訳ないじゃない」
「くッ そが!」
ボタボタと胸と背中から血が流れ続ける。
「あの血生臭さ女とまさか相打ちになるなんて本当に最悪だったんだけど、丁度いいからここで傷が治るまで休んでたら、まさか天使からやってきてくれるなんて! ああ、やっぱり運命だわ!!」
「サクラと・・ 戦ったの・・・ おまえか・・」
「サクラ? あの血生臭さ女の事かしら?」
(ヤバい、まさかこんな・・・ コイツが・・)
思いも寄らぬ戦闘の開始に急いで凛々奈はポケットに仕込んでいたキャンディを口にしようと手を伸ばす。
「させな~い♪」
しかし凛々奈が動いたその瞬間。目の前まで迫った少女が凛々奈の顔を蹴り飛ばす。部屋を仕切るパーテーションや医療器具にぶつかり撒き散らしながらコンクリートの壁まで叩きつけられた。
ドロりと凛々奈の頭からも血が流れる。
「聞いてるわよ、特殊な薬を口にして強くなるんですって? 失敗作はそんな物に頼らなくちゃいけないなんて大変ね~」
傲慢な、見下す様な口調で少女は言い捨てる。
「うっ・・・・がぁ」
壁に叩きつけられた凛々奈は立ち上がろうとするが、もう目は霞み動くこともままならない。
「それじゃあ、さようなら 失敗作の邪魔者さん あの子は・・・ 私の物よ・・・ 誰にも渡さない」
包帯と白髪に所々紅い染みを付けた少女はみいなの倒れていた方へ歩き出す。
「ま・・・・ て・・・ 」
凛々奈は力を振り絞るが、凛々奈はの視界は頭から流れる血で紅く染まり、そのままゆっくりと暗くなっていった。
「ん~! やっぱり話できなかった~!」
伸びをしながらシエル達の元へ戻る凛々奈。入り口の前の椅子にシエルと月鈴、みいなが座っている。
「あれ? みーちゃん戻ってたの?」
「え!? あの、大怪我してる子の所に二人で行くのも良くないかなって思って」
焦った表情でみいなが取り繕う。
「ふーん、そっか」
その様子にまた凛々奈はみいながいつもと違うと感じる。
「やっぱりまだショックが大きいのかしらね、おそらく手遅れだった人の中にあの子の家族がいたのかも」
「・・・・・・」
全員がその可能性を思い沈黙が流れる。するとジリリリリリと部屋の奥から音がなる。
「あら、ちょっと失礼するわね」
鳴ったのは電話の音らしく、シエルが奥へと消える。すると数分と経たない内にシエルが大きな荷物を持って走って来た。
「ごめんね! 凛々奈ちゃん、みいなちゃん! ちょっとお留守番頼めるかしら!?」
「ん、急患? 大丈夫だよ」
凛々奈が返事をすると座っていた月鈴も立ち上がり準備を始める。
「凛々奈、奥にあの子の食事が用意してあるから温めて持っていってあげて」
慣れた動きで素早く準備を済ませながら月鈴が言う。
「うーい、シエルさんも月鈴も気を付けてね」
「あ、あの! 行ってらっしゃい! 気を付けて下さいね!」
あっという間に準備を終えて出発するシエル達を凛々奈達が見送る。
「・・・大変だねぇお医者さんも」
「はい・・・ でも凄いですね、立派です」
「闇医者だから患者は訳ありばっかだけどね!」
「それは・・・ いいんです!」
「あははは! じゃああの子のご飯用意してあげようか」
二人が診療所の奥に向かうとレトルトのお粥やレンジで用意できる消化に良さそうな物と食器が置かれていた。
「ん~ 確かにここキッチン無いけどさ~ なんかな~」
「レトルトのご飯も美味しいですよ」
二人で一緒に食事を温めて器に用意する。
「じゃあみーちゃん持っていってあげて」
出来上がった食事の乗ったトレイをみいなに渡そうとする。
「え! あ、あの、私」
何故かまたみいなの様子がおかしくなる。
「みーちゃん・・・・ どうかしたの? 何かあった?」
流石に心配になった凛々奈がトレイを置いて近づく。
「えっと、その」
みいなは言いにくそうにもじもじと顔を伏せる。
「大丈夫だよ、お姉ちゃんには何でも言いな~」
言いながら右手で頭を撫でつつそっと体を抱き寄せた。
「その、ただの気のせいというか、たいした事じゃないんですけど・・・」
「ん~?」
「どうしてか分からないんですけど・・・・ い、嫌な感じがしたんです・・・ あの子の近くだと・・・・」
「そっか、なんだろうね? うん、分かったよ私がご飯持っていってあげるからみーちゃんは座って待ってて」
(・・・・人見知り、かな? でもみーちゃんがこんな風に他人を遠ざけるの初めてみたかも)
凛々奈はそう思いながらトレイを持とうと手を伸ばす。しかしそれより先にみいなが割り込んでトレイを両手で持つ。
「で、でも! 初めて会った人を勝手に嫌がるなんて駄目ですよね! 私お料理持っていって少しお話してみます! もしかしたら歳も近いしお話ししてくれるかも!!」
そのままトレイをもって奥の部屋へ向かってしまった。
「あはは、無理しなくていいのに」
みいなを見送ると凛々奈のポケットが振動した。気付いた凛々奈が中に入っているスマートフォンを確認する。発信者名を見ると『サクラ』の文字が表示されていた。凛々奈は急いで通話ボタンを押して耳に当てる。
「サクラ!!! アンタ大丈夫なの!!!」
必死な声で語りかける。
「・・・・凛々奈うるさい、怪我に響く」
聞こえて来たのはもう聞き慣れた大切な友人の声。
「まったく、心配したんだから・・・・」
サクラの声を聞き、安心して気が抜けて目頭が熱くなり凛々奈の声は涙声になっていた。
「・・・・・え、泣いてる?」
「泣いてないわ!! バカ! アホ! 雑魚!」
「・・・・何この人、怖」
「全く・・・ ハルさんは?」
「うん・・・ ハルも大丈夫、さっき少しだけ目を覚ましたけど、今はまた寝てる」
「はあ~~、良かったぁ~」
とりあえず最悪な事態にはならなかった事に凛々奈は安堵した。
「それで、何があったのよ」
そして当事者に昨夜の事を尋ねる。
「うん、昨日お仕事の帰りに・・・ハルと車に乗ってたら急に襲われた」
「何処のどいつによ」
「・・・・私が前に一度戦った、子供」
「子供? てことは」
「うん、能力を持った・・・ exseed、機関の一員」
「やっぱりそっち系か・・・」
凛々奈は機関と言う言葉を聞き、とうとうこの街で奴らと本格的に戦いが始まるのかと溜息を漏らした。
ガタンッ!
その時みいなが向かった奥の部屋から何か物音が聞こえた。
「・・・・みーちゃん?」
返事はない。
「凛々奈?」
電話からのサクラの声に呼び戻される。
「ん? ああごめんごめん、今二人が目を覚まさなかったからさ、シエルさんの所で聞き込みしてたのよ」
「・・・聞き込み?」
「そ、あんた達が派手にやったから巻き込まれた人がいるのよ」
「・・・・・それは、必死だったから・・・ ごめんなさい」
サクラの声が暗くなった。
「冗談よ、アンタは何にも悪くないわよ、悪いのは喧嘩売ってきた奴らだもの」
「・・・・うん、でもその巻き込まれた人は・・・ 大丈夫?」
「まあアンタとハルさんより先に目が覚めてたし大丈夫だと思うわよ? 外国人っぽい可愛い女の子なんだけど」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
サクラの言葉が止まる。
「サクラ?」
「・・・・・・・その子、もしかして綺麗な白髪?」
「え? そうよ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
またサクラは黙り込む。
「何よ? なんか知ってるの?」
「その子」
言葉に詰まった後言いにくそうに続けた。
「肩からお腹位まで大きな傷が・・・ ある?」
「え? なんで知って・・・」
「凛々奈ッ!!!! 今すぐその子を!!」
トスッ
サクラが声を荒らげるのと同時に静かな、乾いた音が聞こえた。凛々奈は自分の胸に何か奇妙な感覚を覚えてそこを見る。何かが、透明な何かが凛々奈の胸から飛び出している。それには紅い液体が纏わりついてポタポタと少しづつ滴り落ちていた。
限りなく透明でガラスの様に透き通った綺麗な刃だった。それが胸を貫いて凛々奈の血を付けて胸元から伸びている。
凛々奈の手からスマートフォンが落ちる。
「凛々奈ッ!! 凛々奈ッ!!!」
床からサクラの叫ぶ声が聞こえる。
ガフッ
口から血を流しながら凛々奈は首だけを動かして振り返った。そこに居たのは先程までベッドの上にいた白髪の少女。両手に見えない何かを持って凛々奈の背中に突き立てている。
「おま・・・え・・・」
「あの子は・・・ 私の、私だけの天使様・・」
白髪の少女は恍惚の表情で口を開く。ベッドの上にいた時の無表情からは考えられない程、顔を歪めて。
「てん・・しだぁ?」
胸を串刺しにされている凛々奈は何とか声を振り絞る。
「うふふ、天使を惑わせる貴方見たいな失敗作は早くこの世から消してあげないと・・・」
「何・・ 言ってんのか・・・ 分かんないわよ・・」
凛々奈は少女の後ろ、みいなが向かった筈の部屋の方を見た。そこには部屋の入り口の前で溢れ散らかるトレイと料理。そして倒れるみいなの姿があった。
「お前ッ!!!!」
凛々奈は背後にいる少女に足を蹴り上げる。少女はそれを後ろに下がり回避した。それと同時に手にした刃が引き抜かれ凛々奈の胸から血が吹き出す。
吹き出した血が白髪の少女を紅く染めた。
「あはははっ! 大丈夫よ、気を失ってるだけ 私の愛しい天使に傷をつける訳ないじゃない」
「くッ そが!」
ボタボタと胸と背中から血が流れ続ける。
「あの血生臭さ女とまさか相打ちになるなんて本当に最悪だったんだけど、丁度いいからここで傷が治るまで休んでたら、まさか天使からやってきてくれるなんて! ああ、やっぱり運命だわ!!」
「サクラと・・ 戦ったの・・・ おまえか・・」
「サクラ? あの血生臭さ女の事かしら?」
(ヤバい、まさかこんな・・・ コイツが・・)
思いも寄らぬ戦闘の開始に急いで凛々奈はポケットに仕込んでいたキャンディを口にしようと手を伸ばす。
「させな~い♪」
しかし凛々奈が動いたその瞬間。目の前まで迫った少女が凛々奈の顔を蹴り飛ばす。部屋を仕切るパーテーションや医療器具にぶつかり撒き散らしながらコンクリートの壁まで叩きつけられた。
ドロりと凛々奈の頭からも血が流れる。
「聞いてるわよ、特殊な薬を口にして強くなるんですって? 失敗作はそんな物に頼らなくちゃいけないなんて大変ね~」
傲慢な、見下す様な口調で少女は言い捨てる。
「うっ・・・・がぁ」
壁に叩きつけられた凛々奈は立ち上がろうとするが、もう目は霞み動くこともままならない。
「それじゃあ、さようなら 失敗作の邪魔者さん あの子は・・・ 私の物よ・・・ 誰にも渡さない」
包帯と白髪に所々紅い染みを付けた少女はみいなの倒れていた方へ歩き出す。
「ま・・・・ て・・・ 」
凛々奈は力を振り絞るが、凛々奈はの視界は頭から流れる血で紅く染まり、そのままゆっくりと暗くなっていった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
8
1 / 2
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる