銃と少女と紅い百合

久藤レン

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白銀ハルと鋼の蝗虫

5-4 良い子は寝る時間

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「二人共、もう寝たらどうだ?」

 夜、いつもはもう寝ている筈の凛々奈とみいなに唯牙は声をかける。

「ふわ~あッ、そうだね~ 一応ハルさん帰って来るまで起きてようと思ったけど、もう遅いしね~」

 凛々奈は大きく欠伸をして眠たそうに目を細めた。

「私はもう少し起きているから心配するな、連絡があったら対応する」

 唯牙は湯気がのぼるマグカップから珈琲を啜る。

「さっきまでセンセもめちゃくちゃ眠たがってなかったっけ?」

「もう眠すぎて一周回って眠気が消えた」

「アハハハハ! あるある~ それじゃあみーちゃん私達はもう寝よう!」

「みいなちゃんは明日学校だろう? 早く寝たほうがいいよ」

 凛々奈の隣でウトウトと半分寝ていたみいなに二人は声をかけた。 ビクッと驚いて目を覚ます

「うえぁっ! で、でも、やっぱりハルさんが心配です・・・」

「大丈夫だって! ハルさんも長年こっちの世界でやってきてるベテランなんだから!」

「でもでもだって、ハルさんは凛々奈さんや唯牙さんみたいに強くなくて戦えないですし・・・・」

 みいなはソファに置いてあったクッションを胸にギュっと抱きしめた。

「あれ? みーちゃん知らなかったっけ?」

 キョトンとした顔でみいなを見る。

「?」

「私に戦闘技術とかサバイバル技術とかその他諸々教えてくれたのはそこのセンセだけど・・・・」




「死ねやこのアマァ!!」

 鋼鉄の足で鉄骨を蹴り番場亮平はハルに飛びかかる。その速度は先程蹴り飛ばした男よりも遥かに早い。

 ズガァン

 鳴り響いたのは銃声。番場が動き出して飛びかかるまでは一瞬、直前までハルは何も持たずただ見上げているだけだったが。

 目にも止まらぬ速さで居合の様にコートの下のホルスターから銃を抜き、飛びかかる存在の脳天に正確に狙いをつけて発射していた。

「チィッ!」

 大きく見を捻り銃弾を躱す。ハルに向けて飛びかったがその影響で離れた位置に着地する。

「さて、お得意様を殺されて しかも直接喧嘩を売られたっていうんだから容赦はしないわよ・・・」
 
 
手にしているのはコルトパイソン357マグナム、女性が使うには大きすぎる銃。それをハルは片手で狙いを定める。

「貴方を撃ち殺す」



 凛々奈は手で銃の形を作ってバーン! と大袈裟にジェスチャーをしながら言った。

「私の銃の師匠はハルさんだよ」

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