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しおりを挟む「お兄様 私はレオンハルトを許していません。この人が私にした事を許してしまったら記憶を失う前の私があまりにかわいそう。かと言って許さないからってこの人を解放もしません。この人は私にした事を私が許さなくてもずっと一緒にいたいと言うのです」
ユリアはそう言ってレオンハルトに向き合った。
「それでいいと言うのなら私はずっとあなたと一緒。あなたが過去を悔いて苦しんでも私は忘れてしまって助けられない。それでもあなたは私と未来を作れるのですか?」
ユリアは檻に入れてやると思った。この檻は優しげに見えて一生棘が突き刺さる檻だ。
「もちろん 君がそばにいてくれるならどんなことでもしてみせる」
レオンハルトは唇を噛み締めた。
「血が出ますわよ。そんなに意気込まないで」
ユリアはそっとレオンハルトの唇に手を当てようとした。
「ああ!もういい!今日は何がなんでもユリアに離縁を承知させるつもりできたのに。なんだか知らないが夫婦になってる!」
クラウスが突然大きな声をあげた。驚いたユリアの指は弧を描き下におろされた。その指をレオンハルトが救い上げて己の唇に当てた。リリアンヌはそのレオンハルトを見ながらクラウスに向かって言った。
「あなた 夫婦のことは当事者に任せましょう。私達が公爵様と別れさせたくてもユリアが公爵様とやっていくと言うのなら仕方ありません」
リリアンヌはユリアに向き直った。
「ユリア あなたが公爵様を見限る日が来たら私達を頼って」
「ありがとうリリアンヌ」
「そんな日が来ないように頑張るから」
レオンハルトが慌てて口を挟む。
「あら 公爵様 意気込みだけではダメですわ」
「あなたは義兄嫁だ。レオンハルトで構わない」
「ありがとうございます。ではレオンハルト様 私は主人と別の用事で参りましたのよ」
「なんでしょうか」
「公爵邸にマリアと言う娼婦が入り込んでユリアに暴行を働いた件はレオンハルト様が権力を使って箝口令を敷いたから噂になっていませんが、バーデン伯爵が社交界でアイレンベルク公爵と娘が再婚する。自分の商会とアイレンベルク公爵家の商会が合併すると言いふらしてますわ」
「なんだと!」
レオンハルトの秀麗な顔にさっと筆で書いたように赤みが走った。
「もちろん本当のことではありませんよね」
リリアンヌの声が冷たい。
「もちろんです。ボーデン伯爵の商会の持ち込んだガラス食器は質が良くなかったので取引は正式に断りました」
「そう であなたたちの仲をきちんと社交界に示さないとね。ユリア 夜会にレオンハルト様にエスコートされて何度か出席して」
リリアンヌにきっぱり言われたがユリアは首を傾げる。
「ユリアは領地生活が長くて夜会に出るようなドレスがないみたいよ」
「作ろう!ユリアに似合うものを!装身具も!やっとユリアにプレゼントできる甲斐性ができたんだ」
レオンハルトが意気込んで立ち上がった。
「メゾン・ド・ドレスデンのデザイナーとお針子を呼ぶように手配してあるわ。今日でいいわよね。レオンハルト様、あなたは宝石商呼んで!」
レオンハルトは頷きながら、立ち上がって、マルコを呼んでいる。一体何が始まるのかとユリアとクラウス兄妹は目を丸くしていた。
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