天使の顔して悪魔は嗤う

ねこ沢ふたよ

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高校一年生(暗号・トリック中心)

神隠し9

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「馬鹿げた話と申されましても……。葵様が教祖様の生まれ変わりなのは、事実ですから」
幹部の男は、まだそんなことを言い張る。

「悩み相談だっけ? 前教祖の得意としていたの。僕も得意なんだ。そうだな、ひょっとしたら、前教祖は、元々、僕と同じで人の違和感に気づきやすいたちだったのかも。違和感に気づき、それを指摘して、予言の様に先を読んでアドバイスをする。……それで人はだんだんと、心を支配されていく」

赤野の冷たい笑いに、今井がピクリと震えている。
今井が前に教えてくれた。
赤野が、西野を追い詰めるために、クラスの皆の心を、そうやって支配してみせたのだと。
その時のことを思い出す。

赤野には可能なのだ。このニセ教団がやっているようなことをして、人を支配することが。ただ、本人にその気がないだけで……。

愛する弟が、赤野が『人』であることを望んだから。
それだけのためだけに、赤野は『人』であるように穏やかに過ごしている。

「キミの言っているのは、全部そうやって騙すことも可能だって言うことだけで、私どもが本当にそのような方法で騙したという証拠にはならないでしょう?」

男の言う通りではある。赤野の言った方法で、教祖の予言も、生まれ変わりの証拠も捏造できるが、本当にそのように捏造した証拠というわけではない。

「でも、田島さんが、自分が生まれ変わりかどうか疑問を持つには十分だったみたいだよ?」

赤野が嗤う。
田島は、青ざめている。気分が悪いのか、壁にもたれて震えている。

「口調は、すっかり前教祖とやらの物だったし、この一ヶ月ほどの間に、随分信じ込まされていたんだね。毎日、その教祖の活動のビデオでも見せられていたのかな? 大変だったね……。信じていたことが崩れたら、あんな風に気分も悪くなるよ。可哀想に」

「あ、葵様! お気を確かに!」

「慌て始めたね。せっかく時間をかけて見つけた死んだ教祖の身代わり。今後信者から巻き上げるために必要な傀儡かいらいだものね」

「本当に嫌な子! 葵様自身の予言の力。見せてあげて下さい!」

「しかし……」

「信者を集めて、見せて下さったではないですか! 教祖様のように葵様にも予言の力があることを!」

信者のおばさんが、男に詰め寄る。
幹部の男は、赤野に論破されることを恐れているのか、躊躇している。

「見せてよ。見せてくれたら、ちゃんと見破ってあげるから」

ケラケラと意地悪く笑う赤野は、悪魔のようだった。
これじゃあ、どっちが犯罪者か分からないよ? 赤野……。

男は、しぶしぶ田島の予言の力とやらを見せるための準備を始めた。


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