53 / 83
高校一年生(暗号・トリック中心)
神隠し9
しおりを挟む
「馬鹿げた話と申されましても……。葵様が教祖様の生まれ変わりなのは、事実ですから」
幹部の男は、まだそんなことを言い張る。
「悩み相談だっけ? 前教祖の得意としていたの。僕も得意なんだ。そうだな、ひょっとしたら、前教祖は、元々、僕と同じで人の違和感に気づきやすい質だったのかも。違和感に気づき、それを指摘して、予言の様に先を読んでアドバイスをする。……それで人はだんだんと、心を支配されていく」
赤野の冷たい笑いに、今井がピクリと震えている。
今井が前に教えてくれた。
赤野が、西野を追い詰めるために、クラスの皆の心を、そうやって支配してみせたのだと。
その時のことを思い出す。
赤野には可能なのだ。このニセ教団がやっているようなことをして、人を支配することが。ただ、本人にその気がないだけで……。
愛する弟が、赤野が『人』であることを望んだから。
それだけのためだけに、赤野は『人』であるように穏やかに過ごしている。
「キミの言っているのは、全部そうやって騙すことも可能だって言うことだけで、私どもが本当にそのような方法で騙したという証拠にはならないでしょう?」
男の言う通りではある。赤野の言った方法で、教祖の予言も、生まれ変わりの証拠も捏造できるが、本当にそのように捏造した証拠というわけではない。
「でも、田島さんが、自分が生まれ変わりかどうか疑問を持つには十分だったみたいだよ?」
赤野が嗤う。
田島は、青ざめている。気分が悪いのか、壁にもたれて震えている。
「口調は、すっかり前教祖とやらの物だったし、この一ヶ月ほどの間に、随分信じ込まされていたんだね。毎日、その教祖の活動のビデオでも見せられていたのかな? 大変だったね……。信じていたことが崩れたら、あんな風に気分も悪くなるよ。可哀想に」
「あ、葵様! お気を確かに!」
「慌て始めたね。せっかく時間をかけて見つけた死んだ教祖の身代わり。今後信者から巻き上げるために必要な傀儡だものね」
「本当に嫌な子! 葵様自身の予言の力。見せてあげて下さい!」
「しかし……」
「信者を集めて、見せて下さったではないですか! 教祖様のように葵様にも予言の力があることを!」
信者のおばさんが、男に詰め寄る。
幹部の男は、赤野に論破されることを恐れているのか、躊躇している。
「見せてよ。見せてくれたら、ちゃんと見破ってあげるから」
ケラケラと意地悪く笑う赤野は、悪魔のようだった。
これじゃあ、どっちが犯罪者か分からないよ? 赤野……。
男は、しぶしぶ田島の予言の力とやらを見せるための準備を始めた。
幹部の男は、まだそんなことを言い張る。
「悩み相談だっけ? 前教祖の得意としていたの。僕も得意なんだ。そうだな、ひょっとしたら、前教祖は、元々、僕と同じで人の違和感に気づきやすい質だったのかも。違和感に気づき、それを指摘して、予言の様に先を読んでアドバイスをする。……それで人はだんだんと、心を支配されていく」
赤野の冷たい笑いに、今井がピクリと震えている。
今井が前に教えてくれた。
赤野が、西野を追い詰めるために、クラスの皆の心を、そうやって支配してみせたのだと。
その時のことを思い出す。
赤野には可能なのだ。このニセ教団がやっているようなことをして、人を支配することが。ただ、本人にその気がないだけで……。
愛する弟が、赤野が『人』であることを望んだから。
それだけのためだけに、赤野は『人』であるように穏やかに過ごしている。
「キミの言っているのは、全部そうやって騙すことも可能だって言うことだけで、私どもが本当にそのような方法で騙したという証拠にはならないでしょう?」
男の言う通りではある。赤野の言った方法で、教祖の予言も、生まれ変わりの証拠も捏造できるが、本当にそのように捏造した証拠というわけではない。
「でも、田島さんが、自分が生まれ変わりかどうか疑問を持つには十分だったみたいだよ?」
赤野が嗤う。
田島は、青ざめている。気分が悪いのか、壁にもたれて震えている。
「口調は、すっかり前教祖とやらの物だったし、この一ヶ月ほどの間に、随分信じ込まされていたんだね。毎日、その教祖の活動のビデオでも見せられていたのかな? 大変だったね……。信じていたことが崩れたら、あんな風に気分も悪くなるよ。可哀想に」
「あ、葵様! お気を確かに!」
「慌て始めたね。せっかく時間をかけて見つけた死んだ教祖の身代わり。今後信者から巻き上げるために必要な傀儡だものね」
「本当に嫌な子! 葵様自身の予言の力。見せてあげて下さい!」
「しかし……」
「信者を集めて、見せて下さったではないですか! 教祖様のように葵様にも予言の力があることを!」
信者のおばさんが、男に詰め寄る。
幹部の男は、赤野に論破されることを恐れているのか、躊躇している。
「見せてよ。見せてくれたら、ちゃんと見破ってあげるから」
ケラケラと意地悪く笑う赤野は、悪魔のようだった。
これじゃあ、どっちが犯罪者か分からないよ? 赤野……。
男は、しぶしぶ田島の予言の力とやらを見せるための準備を始めた。
1
あなたにおすすめの小説
その人事には理由がある
凪子
ミステリー
門倉(かどくら)千春(ちはる)は、この春大学を卒業したばかりの社会人一年生。新卒で入社した会社はインテリアを専門に扱う商社で、研修を終えて配属されたのは人事課だった。
そこには社長の私生児、日野(ひの)多々良(たたら)が所属していた。
社長の息子という気楽な立場のせいか、仕事をさぼりがちな多々良のお守りにうんざりする千春。
そんなある日、人事課長の朝木静から特命が与えられる。
その任務とは、『先輩女性社員にセクハラを受けたという男性社員に関する事実調査』で……!?
しっかり女子×お気楽男子の織りなす、人事系ミステリー!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
黒に染まった華を摘む
馬場 蓮実
青春
夏の終わりに転校してきたのは、忘れられない初恋の相手だった——。
高須明希は、人生で“二番目”に好きになった相手——河西栞に密かに想いを寄せている。
「夏休み明けの初日。この席替えで、彼女との距離を縮めたい。話すきっかけがほしい——」
そんな願いを胸に登校したその朝、クラスに一人の転校生がやってくる。
彼女の名は、立石麻美。
昔の面影を残しながらも、まるで別人のような気配をまとう彼女は——明希にとって、忘れられない“初恋の人”だった。
この再会が、静かだった日常に波紋を広げていく。
その日の放課後。
明希は、"性の衝動"に溺れる自身の姿を、麻美に見られてしまう——。
塞がっていた何かが、ゆっくりと崩れはじめる。
そして鬱屈した青春は、想像もしていなかった熱と痛みを帯びて動き出す。
すべてに触れたとき、
明希は何を守り、何を選ぶのか。
光と影が交錯する、“遅れてきた”ひと夏の物語。
前編 「恋愛譚」 : 序章〜第5章
後編 「青春譚」 : 第6章〜
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる