天使の顔して悪魔は嗤う

ねこ沢ふたよ

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高校一年生(暗号・トリック中心)

神隠し2

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「根室さんが、教室で他の女子と騒いでいたんだ」

「だよね。絶対『神隠し』だって」

夏目と今井の話をまとめればこうだ。

 根室は、冬休みに神社に行った時に、田島の姿を見た。仲の良かった彼女は、田島に声をかけようと思ったのだが、お参りして振り返った時には、そこに田島の姿はなかった。

 初詣客で、地元の小さな神社の割には、人が何人かいたのだが、そこまで混雑もしていない。だから、田島の姿を見間違えるはずはない。

 帰ってから、『さっき神社にいたよね?』『せっかくだから、一緒に帰ろうと思ったのに』などと連絡をとってみたが、返答はなかった。

「その時以来、田島さんとは連絡が取れなくなったから、何か怒らせるようなことでもしてしまったのかと心配していたんだって、でも、三学期になっても田島さんは学校に来ないし、これは変だと思ってよく考えたら、あの神社であった時に『神隠し』のあったのでは? と思い至ったとか……」

今井は、根室の言葉を思い出しながら、話をする。

「なんで『神隠し』だなんて思ったんだろう? 事故で入院とか、誘拐とか、他の可能性を無視してさ。極端な意見だよね?」

普通に考えたら、その可能性の方が高いだろう。俺もそう思う。
『神隠し』なんて、極端な意見になる意味が分からない。

「さあ、なんでだろう。僕たちも、話しているのを、横で聞きかじっただけだから……」

「とにかく、その根室って女の子には、直接話を聞きたいな」

木根刑事は、話を手帳に書きとりながらそう言った。

 しばらくして、刑事に連れてこられた根室が、部屋に入ってくる。
 俺たちの姿を見て、根室は驚く。

「夏目君と今井君、赤野君…………松尾君だっけ?」

悪かったな。目立たない奴で。

「田島さんがいなくなっちゃったでしょ? だから、僕たちも話を聞きたいって呼び出されたの」

赤野がニコリと笑う

「そうなんだ。良かった。一人で刑事さんと話さないと駄目ならどうしようかと思ってたの。緊張してドキドキしちゃった」

そりゃ、大人の刑事に詰問されるのではないかと思えば、緊張もするだろう。

「ふふ。そんな大したこと聞かれないよ。僕たち子どもだし……ねぇ、根室さんは、田島さんを冬休み中に見たんでしょ?」

「そうなの。あれ絶対アオちゃんだって! どうしよう。『神隠し』なんて本当に起きるとは思わなかったから……お参りを後にしても、声をかけるべきだった!」

自分だけじゃないと分かったからか、赤野の笑顔にほだされたのか、根室は田島葵に会った時のことを自由に話し出す。

 チラリと入り口を見れば、木根刑事が隅でじっと息を殺して会話を聞いている。
 強面の自分が聞くよりも、俺達に任せた方が、証言を得られると判断したのだろう。

「あの日ね、私一人で神社にお参りに行ったの……」

「どうして一人で?」

赤野に問われて、一瞬根室は戸惑うが、話してくれた。

「実は、今好きな人がいて……」

 神社に一人で行ったのは、ネットで見つけたおまじないを実践してみるため。

『新年初めての火曜日の十二時。二つ飛ばしで石段を上がり、神社の鈴を三回で鳴らし願い事を神に捧げる。その間は、一言も話してはいけない。その後にすぐ、封筒の中に好きな人の名前をつぶやけばいい。その封筒で相手に手紙を書けば、恋の願いは成就する』

田島葵と一緒に遊んでいる時に見つけたおまじない。
 神社に行ったら、田島葵の姿を見かけたから、てっきり田島も同じおまじないをするために神社に来たのだと思った。
 だから、話さないで、おまじないが済んでから挨拶をしようと思ったのだという。

「不思議なのよ。アオちゃんがいなくなって、これはあのおまじないと関連しているかもと思ったんだけれども、おまじないのサイトがなくなってしまって検索できないし!」

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