46 / 83
高校一年生(暗号・トリック中心)
神隠し2
しおりを挟む
「根室さんが、教室で他の女子と騒いでいたんだ」
「だよね。絶対『神隠し』だって」
夏目と今井の話をまとめればこうだ。
根室は、冬休みに神社に行った時に、田島の姿を見た。仲の良かった彼女は、田島に声をかけようと思ったのだが、お参りして振り返った時には、そこに田島の姿はなかった。
初詣客で、地元の小さな神社の割には、人が何人かいたのだが、そこまで混雑もしていない。だから、田島の姿を見間違えるはずはない。
帰ってから、『さっき神社にいたよね?』『せっかくだから、一緒に帰ろうと思ったのに』などと連絡をとってみたが、返答はなかった。
「その時以来、田島さんとは連絡が取れなくなったから、何か怒らせるようなことでもしてしまったのかと心配していたんだって、でも、三学期になっても田島さんは学校に来ないし、これは変だと思ってよく考えたら、あの神社であった時に『神隠し』のあったのでは? と思い至ったとか……」
今井は、根室の言葉を思い出しながら、話をする。
「なんで『神隠し』だなんて思ったんだろう? 事故で入院とか、誘拐とか、他の可能性を無視してさ。極端な意見だよね?」
普通に考えたら、その可能性の方が高いだろう。俺もそう思う。
『神隠し』なんて、極端な意見になる意味が分からない。
「さあ、なんでだろう。僕たちも、話しているのを、横で聞きかじっただけだから……」
「とにかく、その根室って女の子には、直接話を聞きたいな」
木根刑事は、話を手帳に書きとりながらそう言った。
しばらくして、刑事に連れてこられた根室が、部屋に入ってくる。
俺たちの姿を見て、根室は驚く。
「夏目君と今井君、赤野君…………松尾君だっけ?」
悪かったな。目立たない奴で。
「田島さんがいなくなっちゃったでしょ? だから、僕たちも話を聞きたいって呼び出されたの」
赤野がニコリと笑う
「そうなんだ。良かった。一人で刑事さんと話さないと駄目ならどうしようかと思ってたの。緊張してドキドキしちゃった」
そりゃ、大人の刑事に詰問されるのではないかと思えば、緊張もするだろう。
「ふふ。そんな大したこと聞かれないよ。僕たち子どもだし……ねぇ、根室さんは、田島さんを冬休み中に見たんでしょ?」
「そうなの。あれ絶対アオちゃんだって! どうしよう。『神隠し』なんて本当に起きるとは思わなかったから……お参りを後にしても、声をかけるべきだった!」
自分だけじゃないと分かったからか、赤野の笑顔にほだされたのか、根室は田島葵に会った時のことを自由に話し出す。
チラリと入り口を見れば、木根刑事が隅でじっと息を殺して会話を聞いている。
強面の自分が聞くよりも、俺達に任せた方が、証言を得られると判断したのだろう。
「あの日ね、私一人で神社にお参りに行ったの……」
「どうして一人で?」
赤野に問われて、一瞬根室は戸惑うが、話してくれた。
「実は、今好きな人がいて……」
神社に一人で行ったのは、ネットで見つけたおまじないを実践してみるため。
『新年初めての火曜日の十二時。二つ飛ばしで石段を上がり、神社の鈴を三回で鳴らし願い事を神に捧げる。その間は、一言も話してはいけない。その後にすぐ、封筒の中に好きな人の名前をつぶやけばいい。その封筒で相手に手紙を書けば、恋の願いは成就する』
田島葵と一緒に遊んでいる時に見つけたおまじない。
神社に行ったら、田島葵の姿を見かけたから、てっきり田島も同じおまじないをするために神社に来たのだと思った。
だから、話さないで、おまじないが済んでから挨拶をしようと思ったのだという。
「不思議なのよ。アオちゃんがいなくなって、これはあのおまじないと関連しているかもと思ったんだけれども、おまじないのサイトがなくなってしまって検索できないし!」
「だよね。絶対『神隠し』だって」
夏目と今井の話をまとめればこうだ。
根室は、冬休みに神社に行った時に、田島の姿を見た。仲の良かった彼女は、田島に声をかけようと思ったのだが、お参りして振り返った時には、そこに田島の姿はなかった。
初詣客で、地元の小さな神社の割には、人が何人かいたのだが、そこまで混雑もしていない。だから、田島の姿を見間違えるはずはない。
帰ってから、『さっき神社にいたよね?』『せっかくだから、一緒に帰ろうと思ったのに』などと連絡をとってみたが、返答はなかった。
「その時以来、田島さんとは連絡が取れなくなったから、何か怒らせるようなことでもしてしまったのかと心配していたんだって、でも、三学期になっても田島さんは学校に来ないし、これは変だと思ってよく考えたら、あの神社であった時に『神隠し』のあったのでは? と思い至ったとか……」
今井は、根室の言葉を思い出しながら、話をする。
「なんで『神隠し』だなんて思ったんだろう? 事故で入院とか、誘拐とか、他の可能性を無視してさ。極端な意見だよね?」
普通に考えたら、その可能性の方が高いだろう。俺もそう思う。
『神隠し』なんて、極端な意見になる意味が分からない。
「さあ、なんでだろう。僕たちも、話しているのを、横で聞きかじっただけだから……」
「とにかく、その根室って女の子には、直接話を聞きたいな」
木根刑事は、話を手帳に書きとりながらそう言った。
しばらくして、刑事に連れてこられた根室が、部屋に入ってくる。
俺たちの姿を見て、根室は驚く。
「夏目君と今井君、赤野君…………松尾君だっけ?」
悪かったな。目立たない奴で。
「田島さんがいなくなっちゃったでしょ? だから、僕たちも話を聞きたいって呼び出されたの」
赤野がニコリと笑う
「そうなんだ。良かった。一人で刑事さんと話さないと駄目ならどうしようかと思ってたの。緊張してドキドキしちゃった」
そりゃ、大人の刑事に詰問されるのではないかと思えば、緊張もするだろう。
「ふふ。そんな大したこと聞かれないよ。僕たち子どもだし……ねぇ、根室さんは、田島さんを冬休み中に見たんでしょ?」
「そうなの。あれ絶対アオちゃんだって! どうしよう。『神隠し』なんて本当に起きるとは思わなかったから……お参りを後にしても、声をかけるべきだった!」
自分だけじゃないと分かったからか、赤野の笑顔にほだされたのか、根室は田島葵に会った時のことを自由に話し出す。
チラリと入り口を見れば、木根刑事が隅でじっと息を殺して会話を聞いている。
強面の自分が聞くよりも、俺達に任せた方が、証言を得られると判断したのだろう。
「あの日ね、私一人で神社にお参りに行ったの……」
「どうして一人で?」
赤野に問われて、一瞬根室は戸惑うが、話してくれた。
「実は、今好きな人がいて……」
神社に一人で行ったのは、ネットで見つけたおまじないを実践してみるため。
『新年初めての火曜日の十二時。二つ飛ばしで石段を上がり、神社の鈴を三回で鳴らし願い事を神に捧げる。その間は、一言も話してはいけない。その後にすぐ、封筒の中に好きな人の名前をつぶやけばいい。その封筒で相手に手紙を書けば、恋の願いは成就する』
田島葵と一緒に遊んでいる時に見つけたおまじない。
神社に行ったら、田島葵の姿を見かけたから、てっきり田島も同じおまじないをするために神社に来たのだと思った。
だから、話さないで、おまじないが済んでから挨拶をしようと思ったのだという。
「不思議なのよ。アオちゃんがいなくなって、これはあのおまじないと関連しているかもと思ったんだけれども、おまじないのサイトがなくなってしまって検索できないし!」
1
あなたにおすすめの小説
その人事には理由がある
凪子
ミステリー
門倉(かどくら)千春(ちはる)は、この春大学を卒業したばかりの社会人一年生。新卒で入社した会社はインテリアを専門に扱う商社で、研修を終えて配属されたのは人事課だった。
そこには社長の私生児、日野(ひの)多々良(たたら)が所属していた。
社長の息子という気楽な立場のせいか、仕事をさぼりがちな多々良のお守りにうんざりする千春。
そんなある日、人事課長の朝木静から特命が与えられる。
その任務とは、『先輩女性社員にセクハラを受けたという男性社員に関する事実調査』で……!?
しっかり女子×お気楽男子の織りなす、人事系ミステリー!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
黒に染まった華を摘む
馬場 蓮実
青春
夏の終わりに転校してきたのは、忘れられない初恋の相手だった——。
高須明希は、人生で“二番目”に好きになった相手——河西栞に密かに想いを寄せている。
「夏休み明けの初日。この席替えで、彼女との距離を縮めたい。話すきっかけがほしい——」
そんな願いを胸に登校したその朝、クラスに一人の転校生がやってくる。
彼女の名は、立石麻美。
昔の面影を残しながらも、まるで別人のような気配をまとう彼女は——明希にとって、忘れられない“初恋の人”だった。
この再会が、静かだった日常に波紋を広げていく。
その日の放課後。
明希は、"性の衝動"に溺れる自身の姿を、麻美に見られてしまう——。
塞がっていた何かが、ゆっくりと崩れはじめる。
そして鬱屈した青春は、想像もしていなかった熱と痛みを帯びて動き出す。
すべてに触れたとき、
明希は何を守り、何を選ぶのか。
光と影が交錯する、“遅れてきた”ひと夏の物語。
前編 「恋愛譚」 : 序章〜第5章
後編 「青春譚」 : 第6章〜
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる