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高校一年生(暗号・トリック中心)

神隠し3

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「それは、どう考えても、そのサイトが怪しいだろ? 神社に呼び出されたんだよ。誘拐犯に!」

赤野に聞かなくたって分かる。
そんなサイトで、火曜日に神社に行くことに誘導されて。時間まで指定されている。

「でも、神社には、他にも参拝客がいたのに。それに私もいたのよ? どうしてアオちゃんだけ? アオちゃんを狙っていたとして、何が目的? どうやって、おまじないを検索させて、どうやってアオちゃんにそれをするように誘導したの?」

それは……分からないけれども……チラリと赤野を見れば、何か考えている。

「ねえ、田島さんは、SNSやってない? もしやっているなら、その情報を見せてほしいんだけれども。行方不明の原因が分かるかもしれないよ?」

赤野に言われて、根室が少し悩んでから田島のサイトを見せてくれる。

女の子がUPしそうな日常の様子が、あげられている。
誕生日のメッセージが嬉しかった話、憧れの人と目が合って嬉しかったこと、友達と出かけたこと、告白しようか悩む気持ち……

それに、根室や他の友達がイイネを付けて、気持ちを共感している。

顔写真もない手元と日常の切り抜きばかり。こんな物で、何がどう特定できるというのだろう?

「犯人は、このSNSを見て、田島さんに狙いを定めたみたいだね。何が目的だろう? ……誕生日? うーん。……なるほどね」

田島のサイトのフォロワーを確認して、赤野が唸る。
フォロワーのサイトだって、似たようなものだ。同世代の女の子達で、推しの話で盛り上がっていたり、猫の写真や、買い物の写真をあげている。

「あのね。そのおまじないサイトは、この女の子二人のUPした投稿から、田島さんが見つけたんだろう?」

履歴から、赤野がみつける。

「そうそう。この子達は、アオちゃんと同じVチューバ―のファンで、年齢が同じくらいみたいだからってフォローしてくれて、アオちゃんからもフォローして。その子達が、去年やった時に成功したって話を年末にあげていたの」

「ふふ。だいぶ長期計画。でも、この子達は、女の子でも、高校生でもないよ。中身はただのオジさん。だって、ほら見て。ここ」

フォロワーの女の子のUPしている写真を拡大すれば、硝子の隅に写り込んでいたのは、スマホを構えた背広を着た男の姿。

「うわっ」

俺は、声をつい上げる。根室は、ショックで声も出なかったようだ。

「じゃあ、こんなおじさんが、女子高生を攫うだなんて目的は……」

赤野が首を横に振る。

「違う。今回の犯人の目的は、そこじゃない」
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