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高校一年生(暗号・トリック中心)
授業参観3
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今日は事件があったことから、学校は休校。教室はいくらでも空いている。
空き教室の一つに連れて来られた俺たちに、
「修学旅行の時はありがとう。ただ、雑誌記者の事件の協力要請に行っただけなのに、事件を短時間で解決したと、評判になってね。あれ以来、私の株は署でずいぶん上がったんだよ」
と木根刑事は言う。
なるほど。
それで味を占めて、赤野に捜査を手伝わせようとしているんだ。
「自分で考えればいいのに……。僕は、せっかく休日になったのだから、優作と遊びたいんだ」
まだ、文句を赤野が言っている。弟溺愛状態はまだ健在らしい。弟の方は、赤野がくっついてくるのを嫌がっているらしいが。五つ離れているらしいから小6か? 思春期突入中だ。そりゃ、こんな美人な兄貴にくっつかれたら、嫌かもしれない。
俺たちの前に、写真が並べられる。
被害者の名前は、坂本 亜美 37歳。
シングルマザーで、亡くなったご主人の連れ子、弓香と暮らしている。
前日に、別のクラスの保護者、芝 涼子と言い争っているところを目撃されている。
言い争いは、坂本のクラスの担任 三浦 佐紀が止めに入ったが、止められず、通りかかった赤野イサクが、坂本と芝を止めた。
その後の行動は不明。
坂本 弓香
被害者の娘。中学三年。15歳。
弓香は、被害者とは、冷めた関係で、あまり普段から話はしていなかった。亜美が自分と一緒に住むのは、「金のため」一択だと、周囲には言っていた。
亡くなった実の父は、社長の跡取り息子。弓香の生活費は、父親の両親、つまり弓香の祖父母がほとんど出していて、亜美は、仕事もせずにその金で遊び歩いていたという。
昨日は、弓香の15歳も誕生日。学校から直接、亡くなった父親の両親、弓香の祖父母の家へ。誕生日は、毎年祖父母の家に弓香だけが行き、朝にそのまま祖父母の家から登校するのが、恒例となっていた。
だから、亜美がなぜ、朝に遺体として講堂で見つかったのかは、見当もつかないと言っていた。
芝 涼子
中学三年生。小暮 典敏が担任のクラスに、息子芝 敦がいる。
亜美とは、去年PTAで同じ係をしただけの関係で、亜美が何を返せと言っているのかも、涼子には、さっぱり分からないと言っていた。
「あなたしかいないじゃない。とっとと返しなさいよ」
「そんな訳ないでしょ? なんで私が泥棒扱いされないと駄目なのよ」
「実際そうなんだから仕方ないじゃない」
これが、俺と赤野が聞いた会話。あの亜美の剣幕からして、なにかを返してもらいたかったのは、確かだろう。だが、その相手は涼子では、なかったということだろうか?
涼子は、授業参観の後は、懇談会に出て、そのまま、敦と家に帰宅。回覧板を持って来てくれた隣の人と立ち話をしてその後は、家族で過ごしていた。
家族の証言では、家を出ることはなかったが、証言が家族からしか得られていない。
榎木 貴明 28歳 数学教師 第一発見者。
榎木は、昨日の授業参観の後、職員室で会議。夜8時まで保護者対応やテストの採点をしてから自家用車で帰宅。駐車場を通る時に、講堂の前を通るが、その時には異変に気付かなかった。……たぶん、開いていなかったと思うと、自信なさげに言っていたが、駐車場を利用する他の先生からも、異変は無かったと証言があることから、この時には、講堂の入り口は閉まっていたと思われる。
朝、学校に来るまでは、独身の彼は一人で家にいた。だが、目撃者はいない。
「最後に学校を出たのは?」
「副校長の大崎 孝枝。職員室と本校舎の鍵を閉めて、電車で帰ったそうだ。講堂は、本校舎とは少し離れているし、確認は取らなったとのことだ。夜九時頃かな」
周作の質問に、木根刑事が答える。
「前日に言い争っている姿が多数目撃されている。ということは、芝涼子が最も怪しいか?」
木根刑事の言葉に、
「僕なら、こんな自殺に見せかけて殺そうと思っている相手と前日に争っている姿は、周囲に見せない。そうだな。顔を合わせたら喧嘩になりそうなら、手紙とかメールで呼び出して、直接人前では会わないかな」
と、赤野が答える。
「亜美は、何をしていたんだろう?義理とはいえ、娘の誕生日に」
今井が首をひねる。
「さあね。一人で過ごすと決まっている夜。独身の女性。誰かと会っていたとして、誰の可能性が高いかな?」
「借金取り?」
という俺の答えに、
「でも、困っていなかったんだろう?お金には。裕福な義両親から生活費は出ていたようだし」
と、赤野が答える。
違うらしい。
「じゃあ、……恋人?」
夏目が、赤野に聞く。
「その可能性はあるよね。だって、絶好の機会だし。亜美の交際関係は、何か分かっているの?」
赤野が木根刑事をみた。
木根刑事は、亜美の交友関係を、俺たちに教えてくれた。
空き教室の一つに連れて来られた俺たちに、
「修学旅行の時はありがとう。ただ、雑誌記者の事件の協力要請に行っただけなのに、事件を短時間で解決したと、評判になってね。あれ以来、私の株は署でずいぶん上がったんだよ」
と木根刑事は言う。
なるほど。
それで味を占めて、赤野に捜査を手伝わせようとしているんだ。
「自分で考えればいいのに……。僕は、せっかく休日になったのだから、優作と遊びたいんだ」
まだ、文句を赤野が言っている。弟溺愛状態はまだ健在らしい。弟の方は、赤野がくっついてくるのを嫌がっているらしいが。五つ離れているらしいから小6か? 思春期突入中だ。そりゃ、こんな美人な兄貴にくっつかれたら、嫌かもしれない。
俺たちの前に、写真が並べられる。
被害者の名前は、坂本 亜美 37歳。
シングルマザーで、亡くなったご主人の連れ子、弓香と暮らしている。
前日に、別のクラスの保護者、芝 涼子と言い争っているところを目撃されている。
言い争いは、坂本のクラスの担任 三浦 佐紀が止めに入ったが、止められず、通りかかった赤野イサクが、坂本と芝を止めた。
その後の行動は不明。
坂本 弓香
被害者の娘。中学三年。15歳。
弓香は、被害者とは、冷めた関係で、あまり普段から話はしていなかった。亜美が自分と一緒に住むのは、「金のため」一択だと、周囲には言っていた。
亡くなった実の父は、社長の跡取り息子。弓香の生活費は、父親の両親、つまり弓香の祖父母がほとんど出していて、亜美は、仕事もせずにその金で遊び歩いていたという。
昨日は、弓香の15歳も誕生日。学校から直接、亡くなった父親の両親、弓香の祖父母の家へ。誕生日は、毎年祖父母の家に弓香だけが行き、朝にそのまま祖父母の家から登校するのが、恒例となっていた。
だから、亜美がなぜ、朝に遺体として講堂で見つかったのかは、見当もつかないと言っていた。
芝 涼子
中学三年生。小暮 典敏が担任のクラスに、息子芝 敦がいる。
亜美とは、去年PTAで同じ係をしただけの関係で、亜美が何を返せと言っているのかも、涼子には、さっぱり分からないと言っていた。
「あなたしかいないじゃない。とっとと返しなさいよ」
「そんな訳ないでしょ? なんで私が泥棒扱いされないと駄目なのよ」
「実際そうなんだから仕方ないじゃない」
これが、俺と赤野が聞いた会話。あの亜美の剣幕からして、なにかを返してもらいたかったのは、確かだろう。だが、その相手は涼子では、なかったということだろうか?
涼子は、授業参観の後は、懇談会に出て、そのまま、敦と家に帰宅。回覧板を持って来てくれた隣の人と立ち話をしてその後は、家族で過ごしていた。
家族の証言では、家を出ることはなかったが、証言が家族からしか得られていない。
榎木 貴明 28歳 数学教師 第一発見者。
榎木は、昨日の授業参観の後、職員室で会議。夜8時まで保護者対応やテストの採点をしてから自家用車で帰宅。駐車場を通る時に、講堂の前を通るが、その時には異変に気付かなかった。……たぶん、開いていなかったと思うと、自信なさげに言っていたが、駐車場を利用する他の先生からも、異変は無かったと証言があることから、この時には、講堂の入り口は閉まっていたと思われる。
朝、学校に来るまでは、独身の彼は一人で家にいた。だが、目撃者はいない。
「最後に学校を出たのは?」
「副校長の大崎 孝枝。職員室と本校舎の鍵を閉めて、電車で帰ったそうだ。講堂は、本校舎とは少し離れているし、確認は取らなったとのことだ。夜九時頃かな」
周作の質問に、木根刑事が答える。
「前日に言い争っている姿が多数目撃されている。ということは、芝涼子が最も怪しいか?」
木根刑事の言葉に、
「僕なら、こんな自殺に見せかけて殺そうと思っている相手と前日に争っている姿は、周囲に見せない。そうだな。顔を合わせたら喧嘩になりそうなら、手紙とかメールで呼び出して、直接人前では会わないかな」
と、赤野が答える。
「亜美は、何をしていたんだろう?義理とはいえ、娘の誕生日に」
今井が首をひねる。
「さあね。一人で過ごすと決まっている夜。独身の女性。誰かと会っていたとして、誰の可能性が高いかな?」
「借金取り?」
という俺の答えに、
「でも、困っていなかったんだろう?お金には。裕福な義両親から生活費は出ていたようだし」
と、赤野が答える。
違うらしい。
「じゃあ、……恋人?」
夏目が、赤野に聞く。
「その可能性はあるよね。だって、絶好の機会だし。亜美の交際関係は、何か分かっているの?」
赤野が木根刑事をみた。
木根刑事は、亜美の交友関係を、俺たちに教えてくれた。
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