天使の顔して悪魔は嗤う

ねこ沢ふたよ

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高校一年生(暗号・トリック中心)

授業参観2

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 遺体を見つけたのは、朝登校してきた教師。榎木 貴明。数学教師だ。

 なぜか開いている講堂の入り口に気づいて、中を覗いたら、机に突っ伏している女性がいた。背格好から昨日授業参観に来た保護者の一人だと思ったのだという。

 だが、保護者がどうしてこんな早朝の講堂で眠っているのか。ひょっとしたら、夫婦喧嘩して行くところがなくて講堂で夜を過ごしていたのかもしれない。
 そう思って、声を掛けて肩を揺らしたのだそうだ。

 しかし、女性は動かなかった。体温を感じない身体に、おかしいと感じた榎木は、スマホで救急車を呼び、職員室に助けを求めに走った。


「その時は、榎木はまだ、女性が死んでいるとは思わなかったみたいなんだ。でも、缶コーヒーと『死んでやる』という言葉の書かれた紙が、女性の傍で見つかっている。死亡が判明した後から考えれば、どう考えても自殺だったのでは? と思ったらしい」

にこやかに木根刑事は説明する。俺の隣には、苦虫をかみつぶした顔の模範のような顔をした赤野と、今井と夏目。

 俺たちは、登校してすぐ、担任の先生から帰るように言われたのだが、今井と夏目がまず木根刑事に捕まり、そこから芋づる式に赤野と俺も捕まったのだ。

 赤野に直接あたれば、興味ないから帰ると拒絶されるだろうという予想の元、初めから先に今井と夏目を木根刑事は捕まえていた。

 被害者所持品の運転免許。そこにあった被害者の写真を見せられて、被害者がもう一人の保護者に「とっとと返せ」と詰め寄っていた方だと知る。

「周作。どう思う?」

木根刑事の言葉に、
「知らないよ。そんなの高校生に聞かないで、本職の刑事さん達だけで考えてよ」

不機嫌な赤野。当然の不平を赤野は述べる。

「でも、気になるよね?」
と今井。

「だって、この事件が解決しなければ、落ち着かないよな」
と夏目も今井に同調する。

「ううっ……。」
赤野がうめき声をあげていた。

「情報が足りなさすぎる。目立った外傷がないから、榎木先生は、まだ生きているかもしれないと思って救急車を呼んだんだろうけれど、鑑識の結果を待たずに缶コーヒーと紙切れだけで、服毒自殺と判断しきれない。まずは、死亡時刻と死因。周囲への聞き込みから、被害者が死亡寸前にどのような状況に置かれていたのかを判断しないと。何も判断できないよ」

 赤野の言葉。かなりド正論。
 言われてみれば、今の状況では、何も判断できないだろう。


「そうだろう? だから、被害者が揉めているのを見た目撃者として、色々と話を聞きたいんだ。ゆっくり話をしようか。教室を一つ借りている」

 木根刑事は、そう言って、俺たち四人を連行していった。
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