天使の顔して悪魔は嗤う

ねこ沢ふたよ

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高校一年生(暗号・トリック中心)

授業参観4

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「亜美は、友人が多い。学校でも、いわゆるボスママと呼ばれる存在で、PTAなんかも積極的に引き受けていたそうだ。だが、本当に慕われていたかは、分からない。話を聞いた父兄の話では、積極的に立候補して引き受けたはずのPTAの仕事をサボるんだそうだ。いざ会議だって言っても来ないことも多々。学校を離れた友人達も、どうやらSNSでつながっているだけという者が多くて……。本当に友達と呼べる存在がいたのかどうかも怪しい」

木根刑事は、ため息をつく。広く浅い交友関係だった坂本亜美。その広い交友関係を探るだけでも大変なのだろう。

「亜美の交際相手は、確かにいそうなんだ。だが、誰かは分からない。SNSで匂わせ画像があげられていた。しかし、それを特定するには、いたっていない」

 そういって、木根刑事の見せたスマホには、亜美のあげた写真。

 ホテルで食事している写真、明らかに自撮りではない祭りの写真。誰かと過ごしている様子に見えなくもないが、ママ友と一緒だったと言われれば、そう見えなくもない。実際、このSNSを見た弓香には、亜美は保護者のランチ会や息抜きだと説明したらしい。

「あれ、これはどう? これは、明らかに男性?」

 俺が、示したのは、一番最近の写真。亜美が自撮りしている画像に手が写っている。
 時計をはめた腕。明らかに女性とは言えない手だ……。今日は、泊りです。なんて言葉が添えられている。一週間ほど前の写真だ。

「本当だな。ホテルのようだし、宿泊記録や防犯カメラで交際相手が特定できるかもしれないな。ホテルの場所が分かれば……。後は、この時計をあたってみるか……」

木根刑事が、うーんと唸る。

「なかなか難しいだろうね。ホテルの部屋も、すぐ特定できそうな物は写り込んでいないし、特定できなければ、防犯カメラも見つけられない。この時計ももう捨てた可能性もあるよね。もし、犯人ならば、被害者のSNSに写り込んでいた時計なんて特定しやすくなる物は、捨ててしまうでしょ。万一持っていたとしても、それを堂々と付けている可能性は低い……。」

 赤野が考え込む。

 赤野の口元が、一瞬ニヤリと笑ったのは、何か思いついたのかもしれないが、それは口に出しては言ってくれなかった。

「どうして芝涼子に何かを取られたと思ったのかな?」

写真を見ていた今井が、ポツリと疑問を口にする。

「去年PTAで一緒になっただけなんでしょ? 何で、芝だったのか。どこかで亜美は、芝に会ったのかな? それとも、芝からそれっぽいメールが来た?」

確かに。今井の言う通りかもしれない。

「会ってみるか? 芝涼子に。まだ、別室で息子さんと一緒に学校にとどまってくれている」

 木根刑事が、そう俺達に言った。

 いいのかな? もはや、証人の範疇は、とっくに超えている。
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