【完】死にたがりの少年は、拾われて初めて愛される幸せを知る。

唯月漣

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第一章 常春と真冬編

15)不安を埋めるもの。*

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「ああっ……んん、はぁ……っ」


 四つん這いになった俺の腰を、常春が背後から抱く。双丘を優しく撫でてから、常春はその中心に顔を埋めた。

 大きく舌を出して双丘全体を舐めると、焦らすように中心部を避けた周りを執拗に舐める。
 ヒクリと反応した俺の秘孔を常春は舌の先で軽く突くと、そのまま窄まりのひだを解すように舌先で円を描く。
 俺のそこは常春に舐められる度、ヒクヒクと物欲しそうにうごめいた。


「あっ……んん、常春、そこっ……汚いから、もうやめ…………」


 俺があまりの羞恥に耐えかねて、枕から顔を上げて常春を振り返った。


「真冬は綺麗だよ。それに、そんなにトロトロの顔で言われたら、もっと気持ち良くしてやりたくなるな」


 そう言って常春は体を起こすと、俺を自身の膝の間に座るように誘う。太ももの間には常春のゆるく勃ち上がったものがあって、俺は少しだけ安堵した。


「ちゃんと勃ってる……」


 俺が小さくそう呟くと、常春はキョトンとした顔で言った。


「え。そりゃあ……な? 俺は不能だとでも思われてたのか?」
「……バカ。常春、男とするの初めてだって言ってたから」


 俺はそう言いながら、常春に促されるまま常春の膝の間に収まる。背中全体に感じる常春の温もりが心地よい。


「常春とセックスしたいって言ったのは俺だけど、本当はちょっと不安だった」


 俺がそう言うと、常春は脇の下から腕を回して俺の身体を抱きしめ、背後から肩口のあたりにキスを落とした。


「不安?」


 常春に問われ、俺は振り返って答える。


「俺のこと、ちゃんとそういう対象として好きなのかなって……」


 俺がそう言うと、常春は笑って言った。


「お前が瑞希の身代わりだとでも?」


 そう言いながら、常春は俺のペニスに手を伸ばす。片手で優しく包み込むようにそれを握ると、慣れた手付きで扱きはじめた。


「違っ……あっ……っん、あ、そこ、気持ちい……」


 本当は、常春の言う通りだった。
 娘を失って、常春の胸にポッカリと空いた孤独な穴。
 それを、常春は俺に埋めて欲しいんじゃないか……と。

 最初は、側にいられるならそれでも構わないと思っていた。
 そしていつか、穴が埋まったらきっと常春は俺を……。


「真冬はバカだな。気持ちいいって言いながら、そんなに不安な顔、すんなよ。真冬は真冬だ。瑞希じゃない」


 常春は俺の考えを見透かすようにそう言って、空いている方の手で、俺の乳首を刺激する。


「あっ……んんん、気持ちいい……っ、常春。はぁっ、常春ぅ……」


 俺は何度も常春の名前を呼んで、常春の膝にしがみついた。

 常春は、俺が名前を呼ぶ度に応えるように俺の肩口や耳元に口付けを落とす。


「真冬、好きだよ。誰かの身代わりじゃなくて、真冬が好きなんだ。もっと、気持ちよくなって……」


 常春のその言葉は、俺の不安を温かく包み込むようだった。

 春の太陽に照らされて解けだす、残雪のように。
 俺はきっと、こうして常春に溶かされていくのだ。


「常春っ俺も、すきぃ……」


 常春の手によって一定のリズムで扱かれた俺のペニスは、包皮を押し退けて固くそそり勃つ先端から、透明の蜜を零していた。
 溢れた蜜を先端に塗りつけるようにぐるりと指で撫でられると、更にリズムを早めて刺激され、徐々に上り詰める俺の口からは甘ったるい嬌声が漏れた。


「あっ、あっ……いいっ……んん、常春っ、そんなにしたらイッ……すぐに……あああ……っ、んん」
「いいよ。真冬、一度先にイクか……?」


 俺の上げる声に常春は熱っぽい息を吐きながら、いやらしく手を動かし続ける。


「真冬は若いし、どうせ一回じゃ足りないだろ?」
「あっ、ああっ、常春っ。そんなっ、したら……駄目だっ、気持ちいい……から……ッ」


 俺のペニスの先端は、既に先走ったものでヌルヌルになっていた。常春に刺激を与え続けられたそれはヒクヒクと震えて、限界を主張するように血管を浮き上がらせて、張り詰めている。


「駄目じゃない。何も考えずに、ただ気持ち良くなれよ、真冬」


 常春がそう耳元で囁くと、腰が痺れて力が抜けた。快楽に耐えていた俺のそれはいっそう硬さを増して、先端に電気が走るように小さくピクピクと跳ねる。


「い、いぃーっ、イク……ッ、イクッ…………!!」


 俺が呻くようにそう声を上げると同時に、常春の手の中は濃くドロリとした俺の精液で汚れる。常春はポタポタと垂れるそれを片手で受け止めたまま、なおも反対の手で竿を刺激して、最後の一滴まで絞り取るように扱いた。
 僅かな痙攣ののち、数秒間の意識の空白。
 心地よい倦怠感に後押されて、俺は目を開ける。


「あぁ……っ、はぁっ、はあっ、んん……っ、ごめん。常春の手ぇ、汚して……」


 俺は上がってしまった息を整えながら、のそのそとベッドサイドからティッシュを取って常春に渡した。
 常春はティッシュを受け取ると、その上で指を広げて、ニヤニヤしながら俺の放ったものを俺に見せつけてくる。
 常春の指を伝ってポトポトとティッシュに落ちるそれは、ドロリとした濃い粘度でティッシュの中に吸い込まれた。


「真冬の出したの、すげー濃い。気持ちよかった?」
「ちょっ……バカっ!」


 俺は慌てて常春からティッシュを奪い取ると、常春の手を綺麗に拭った。俺は、自分の顔が羞恥にみるみる赤く染まるのが分かる。


「ひ、久しぶりだったからっ!」


 俺はそう言い訳をして、常春に顔を見られないようにそっぽを向いた。常春はニヤニヤしたまま俺の側に顔を寄せて、力を失った俺の性器をツンと軽くつついて言った。


「こういうの、好きなヤツにされるのって格別だろ? 別に俺がテクニシャンな訳じゃない。人間の身体ってのは、そういうふうに出来てる」
「あっ……!」


 ほんの少し常春に触れられただけなのに、放ったばかりなはずの俺のそこは、再びじんわりと膨らみ始めていた。
 

「な?」


 ニヤリと笑う常春を振り返ると、常春の股間には既に限界までそそり勃つ固いものがあった。
 俺は常春のそれを見ると物欲しそうにごくりと生唾を飲み込んで、いそいそと準備していたチューブを取り出す。


「早く常春のが欲しい……」


 そう言って俺は常春に向かって足を大きく開くと、常春に窄まりを見せつけるように片足を持ち上げた。
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