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父親が横領の罪で捕まらなかったIFバージョン
第8話 散策
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「お待たせ。おはようユージーン。」
食事をしたのが訓練組と同じ早めの時間だったので、食後テラスでゆっくりお茶を飲んで、約束の時間の少し前に待ち合わせ場所へ向かうと、既にユージーンは待っていた。
シンプルな白シャツに細身のズボン。品質は段違いだが、先ほどまでのイルゼと同じような格好だ。
着替えて良かったと、イルゼは密かに胸をなでおろした。
「・・・・・・・おはよう。」
挨拶は返すが、なぜか反応の鈍いユージーン。
「どうした?」
「・・・・・可愛いな。」
ボソリと小さく何かが聞こえた気がしたが、照れ臭いのでイルゼは聞こえなかったフリをした。
街へ向かって、連れだって歩き出す。
まだどこへ行くか、何をするか、まったく決まっていなかった。
「どこか行きたい場所はあるか?」
昨日は心配していたけれど、ユージーンはちゃんと、イルゼの希望を聞いてくれた。
「待機日に暇すぎるから、本を買いたい。それとマーサへの連絡に使う便箋と、日持ちするお菓子も。」
「そうか。俺も大体似たような感じだな。」
騎士団の食事は豪華だが、決まった時間しか食べられないし、菓子類はほとんど出ない。先輩方は、自分の部屋に日持ちするお菓子やお酒を買い込んでいた。
待機日に暇なのは誰もが同じようで、寮には小さな図書室もあった。
代々の騎士たちが読まなくなった本を置いていって、自然に出来た部屋だそうだが、好みの本はすぐに読みつくしてしまった。
「それと、せっかく久しぶりに外へ出たから、どこか景色の良い場所をのんびり散歩でもしたい。中央公園あたりかなー。ユージーン、どこか良い場所知っている?」
「なるほど。・・・・・俺に良い心当たりがある。」
「私の希望はこれくらいだな。大丈夫だろうか?ユージーンだって、休養日は貴重なんだから、遠慮せずやりたいことを言ってくれ。別行動をしても良いし。」
武器屋で剣を見たかったし、人気の劇も興味があったが、1日で全て回るのは無理だろう。
とりあえず必需品を買うのと、とにかく広いところでのんびり散歩したいという希望だけを、ユージーンに伝えた。狭い寮と、殺風景な訓練場だけの生活には飽き飽きなのだ。
「そうだな、イルゼが言ったところに加えて、大きな武器屋にも行きたい。買う必要はないんだが、先輩たちが使っている剣を見ていて、見に行きたくなってしまった。」
それを聞いてイルゼは驚いた。
「そう、剣見たいよな!騎士学校の時は全員一緒の剣を支給されていたし。先輩たちが、それぞれ体型や戦型に合わせた剣を持っていて、羨ましくなってしまった。」
イルゼはローガンから、入団時に体型と戦型に合った剣を贈られていた。
特注の立派な剣なので、しばらく変える気はないが、先輩たちが使っている様々な素材・重さ・長さ・装飾の剣を見て、ちょうど見に行きたくなったところだった。
「よし、じゃあ全部行くか。まずは早くから開いている菓子屋だな。」
言いながらさり気なくさし出されたユージーンの手に、一瞬だけ迷ってイルゼは自分の手を重ねた。
ユージーンが提案した王都で人気の老舗の菓子屋は、イルゼも知っているところだった。
ローガンが良くお土産に買ってきてくれた店だ。
どうやら騎士達御用達の店らしい。日持ちして、美味しくて、そこまで高価ではなくて・・・・となると、自然に行く店が決まってくるらしい。
イルゼの好きな焼き菓子と、食べた事のない新作を何種類か包んでもらうと、今度は雑貨店で便箋を買う。これも慣れている店だったので、すぐに買う事ができた。
思いのほか時間を取られたのは古書店だ。
寮の図書室で知った作者の他の作品がないかと、何軒か回っているうちに、あっという間にお昼時になってしまった。
ユージーンおすすめの店で昼食を摂ると、王都一の武器屋へ行く。
この店は、店の者に声を掛ければ、裏のスペースでいくらでも試し切りをさせてくれる。
試し切りだけでも嫌な顔は一切されない。最低ランクのものでも何十万もする剣を、試しもせずに買う者はいない。
何度も何度も通って、時には何年も通って、やっとお金を貯めて気に入ったものを買っていくということも珍しくない。
平民の騎士だって一生に一度の買い物だと思って、給料を貯めて何百万とする剣を買うこともある。そういう者達にイヤな顔をせず、何十回でも好きに試し切りをさせてきたことが、この武器屋が王都一になった理由だった。
「うーん。軽いからと言って、早く振れるわけではないんだな。」
「それは単純に、腕力が足りない者用の剣だな。」
他の団の女性騎士がよく使っているタイプの、細身の軽い剣で巻き藁を切るが、威力が物足りない。
イルゼが使い続けたら折れてしまいそうだ。
剣は完全に真っ直ぐで固いというわけでなく、ぱっと見少しだけ湾曲しているし柔軟性もある。
真っ直ぐすぎると衝撃が逃げられず、すぐに折れてしまうからだ。
しかし、中には少しではなく、思い切り湾曲している剣もある。斬りやすいが、突きにくいそうだ。
「実戦を考えると、突きが弱くなるのは痛いな。」
「そうだな。」
そんなことを繰り返していく内に、大分時間が経ってしまった。
3時を知らせる鐘の音に気付いたイルゼは焦った。
明るいうちに、散歩に行きたい。
「ああ、もうこんな時間だな。散歩に行こう。連絡は既にしてある。」
ユージーンの言葉にうなずく。しかし、連絡とはなんだろうか。貴族の中には庶民に庭を解放してくれている者もいるというが、誰かの貴族の庭にでもお邪魔するのだろうか。
*****
「お帰りなさいませ、ユージーン様。」
武器屋を出たら、フェルクス家の馬車が停まっていて、言われるがまま乗って降りたら、フェルクス家の屋敷の前だった。
そうだった。誰かの貴族の屋敷に行く必要なんてどこにあるのだろう。
国有数の大貴族、侯爵家のご子息様が。
「自慢ではないが、うちの庭はなかなかのものだぞ。」
腰が引けているイルゼに気が付いたのか、すかさずユージーンが庭の売り込みを開始する。
「いや、ちょっと待ってくれ。それは嬉しいが・・・今日は侯爵夫妻はいらっしゃるのか?」
「ああ、この時間ならいるはずだ。」
侯爵夫妻がいるのに、挨拶もせずにスルーして庭の散策をしていいものなのだろうか。
答えは当然ノーだろう。
「・・・・ユージーン。私は中央公園で十分なんだが・・・。」
「ちょうどそろそろ、庭師たちが丹精込めて世話をしたバラが見ごろだな。」
「うっ。」
侯爵家の庭のバラ園。見れるものなら見てみたい。
「領地で何世代も掛け合わせた、駿馬もいる。あれは見ものだ。」
「馬!」
馬は騎士の憧れだ。
自分の馬を持てるのは、部隊長級のみ!!
侯爵家の馬、見たい。
「それと。」
「それと・・・?」
「母が好きでな。ウサギ小屋がある。」
「・・・・お邪魔いたします。」
食事をしたのが訓練組と同じ早めの時間だったので、食後テラスでゆっくりお茶を飲んで、約束の時間の少し前に待ち合わせ場所へ向かうと、既にユージーンは待っていた。
シンプルな白シャツに細身のズボン。品質は段違いだが、先ほどまでのイルゼと同じような格好だ。
着替えて良かったと、イルゼは密かに胸をなでおろした。
「・・・・・・・おはよう。」
挨拶は返すが、なぜか反応の鈍いユージーン。
「どうした?」
「・・・・・可愛いな。」
ボソリと小さく何かが聞こえた気がしたが、照れ臭いのでイルゼは聞こえなかったフリをした。
街へ向かって、連れだって歩き出す。
まだどこへ行くか、何をするか、まったく決まっていなかった。
「どこか行きたい場所はあるか?」
昨日は心配していたけれど、ユージーンはちゃんと、イルゼの希望を聞いてくれた。
「待機日に暇すぎるから、本を買いたい。それとマーサへの連絡に使う便箋と、日持ちするお菓子も。」
「そうか。俺も大体似たような感じだな。」
騎士団の食事は豪華だが、決まった時間しか食べられないし、菓子類はほとんど出ない。先輩方は、自分の部屋に日持ちするお菓子やお酒を買い込んでいた。
待機日に暇なのは誰もが同じようで、寮には小さな図書室もあった。
代々の騎士たちが読まなくなった本を置いていって、自然に出来た部屋だそうだが、好みの本はすぐに読みつくしてしまった。
「それと、せっかく久しぶりに外へ出たから、どこか景色の良い場所をのんびり散歩でもしたい。中央公園あたりかなー。ユージーン、どこか良い場所知っている?」
「なるほど。・・・・・俺に良い心当たりがある。」
「私の希望はこれくらいだな。大丈夫だろうか?ユージーンだって、休養日は貴重なんだから、遠慮せずやりたいことを言ってくれ。別行動をしても良いし。」
武器屋で剣を見たかったし、人気の劇も興味があったが、1日で全て回るのは無理だろう。
とりあえず必需品を買うのと、とにかく広いところでのんびり散歩したいという希望だけを、ユージーンに伝えた。狭い寮と、殺風景な訓練場だけの生活には飽き飽きなのだ。
「そうだな、イルゼが言ったところに加えて、大きな武器屋にも行きたい。買う必要はないんだが、先輩たちが使っている剣を見ていて、見に行きたくなってしまった。」
それを聞いてイルゼは驚いた。
「そう、剣見たいよな!騎士学校の時は全員一緒の剣を支給されていたし。先輩たちが、それぞれ体型や戦型に合わせた剣を持っていて、羨ましくなってしまった。」
イルゼはローガンから、入団時に体型と戦型に合った剣を贈られていた。
特注の立派な剣なので、しばらく変える気はないが、先輩たちが使っている様々な素材・重さ・長さ・装飾の剣を見て、ちょうど見に行きたくなったところだった。
「よし、じゃあ全部行くか。まずは早くから開いている菓子屋だな。」
言いながらさり気なくさし出されたユージーンの手に、一瞬だけ迷ってイルゼは自分の手を重ねた。
ユージーンが提案した王都で人気の老舗の菓子屋は、イルゼも知っているところだった。
ローガンが良くお土産に買ってきてくれた店だ。
どうやら騎士達御用達の店らしい。日持ちして、美味しくて、そこまで高価ではなくて・・・・となると、自然に行く店が決まってくるらしい。
イルゼの好きな焼き菓子と、食べた事のない新作を何種類か包んでもらうと、今度は雑貨店で便箋を買う。これも慣れている店だったので、すぐに買う事ができた。
思いのほか時間を取られたのは古書店だ。
寮の図書室で知った作者の他の作品がないかと、何軒か回っているうちに、あっという間にお昼時になってしまった。
ユージーンおすすめの店で昼食を摂ると、王都一の武器屋へ行く。
この店は、店の者に声を掛ければ、裏のスペースでいくらでも試し切りをさせてくれる。
試し切りだけでも嫌な顔は一切されない。最低ランクのものでも何十万もする剣を、試しもせずに買う者はいない。
何度も何度も通って、時には何年も通って、やっとお金を貯めて気に入ったものを買っていくということも珍しくない。
平民の騎士だって一生に一度の買い物だと思って、給料を貯めて何百万とする剣を買うこともある。そういう者達にイヤな顔をせず、何十回でも好きに試し切りをさせてきたことが、この武器屋が王都一になった理由だった。
「うーん。軽いからと言って、早く振れるわけではないんだな。」
「それは単純に、腕力が足りない者用の剣だな。」
他の団の女性騎士がよく使っているタイプの、細身の軽い剣で巻き藁を切るが、威力が物足りない。
イルゼが使い続けたら折れてしまいそうだ。
剣は完全に真っ直ぐで固いというわけでなく、ぱっと見少しだけ湾曲しているし柔軟性もある。
真っ直ぐすぎると衝撃が逃げられず、すぐに折れてしまうからだ。
しかし、中には少しではなく、思い切り湾曲している剣もある。斬りやすいが、突きにくいそうだ。
「実戦を考えると、突きが弱くなるのは痛いな。」
「そうだな。」
そんなことを繰り返していく内に、大分時間が経ってしまった。
3時を知らせる鐘の音に気付いたイルゼは焦った。
明るいうちに、散歩に行きたい。
「ああ、もうこんな時間だな。散歩に行こう。連絡は既にしてある。」
ユージーンの言葉にうなずく。しかし、連絡とはなんだろうか。貴族の中には庶民に庭を解放してくれている者もいるというが、誰かの貴族の庭にでもお邪魔するのだろうか。
*****
「お帰りなさいませ、ユージーン様。」
武器屋を出たら、フェルクス家の馬車が停まっていて、言われるがまま乗って降りたら、フェルクス家の屋敷の前だった。
そうだった。誰かの貴族の屋敷に行く必要なんてどこにあるのだろう。
国有数の大貴族、侯爵家のご子息様が。
「自慢ではないが、うちの庭はなかなかのものだぞ。」
腰が引けているイルゼに気が付いたのか、すかさずユージーンが庭の売り込みを開始する。
「いや、ちょっと待ってくれ。それは嬉しいが・・・今日は侯爵夫妻はいらっしゃるのか?」
「ああ、この時間ならいるはずだ。」
侯爵夫妻がいるのに、挨拶もせずにスルーして庭の散策をしていいものなのだろうか。
答えは当然ノーだろう。
「・・・・ユージーン。私は中央公園で十分なんだが・・・。」
「ちょうどそろそろ、庭師たちが丹精込めて世話をしたバラが見ごろだな。」
「うっ。」
侯爵家の庭のバラ園。見れるものなら見てみたい。
「領地で何世代も掛け合わせた、駿馬もいる。あれは見ものだ。」
「馬!」
馬は騎士の憧れだ。
自分の馬を持てるのは、部隊長級のみ!!
侯爵家の馬、見たい。
「それと。」
「それと・・・?」
「母が好きでな。ウサギ小屋がある。」
「・・・・お邪魔いたします。」
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