748 / 820
連載
カルーラで年明け~春まで②
しおりを挟む
「今年こそは寝正月なんやっ」
「そうやっ、今年こそはゴロゴロするんやっ」
食っちゃ寝を繰り返したい、たまには、きっといいはずっ。
毎年毎年、ダンジョンダンジョン言って、きゅるんきゅるんしてからにっ。
『何なのだ? ダンジョンなのだ? なら、我も行きたいのだー』
アレスがきゅるるるん、と加わってきた。くっ、でっかいワンコがきゅるるん、くっ、かわいかっ。以前はぐいぐい迫っていたたけがだったが。最近、アレスのおねだりは、ちょい、と首をかしげておめめをきゅるんにうるっとさせる。以前はぐいぐい来ていただけなのに、技がちょいちょい加わる。
『ウム、軽ク運動スルカ』
イシスは相変わらずだ。
あんたたちの軽い運動は、軽くやないやろうに。
寝正月をしたい私と晃太、バトルジャンキー達との攻防の真っ最中にパーティーハウスに来客が。いっそのこと、サブ・ドアを開けっ放しにするか、何て思っていたところにだ。
ホークさんが対応してくれる。
「ユイさん、ケルンさん達が新年の挨拶にといらしています」
「あ、そうなんですね、出ますね。ちょっとまっとってよ」
きっと皆さん勢揃いのはず。わざわざ挨拶に来てくれたんやから、お茶でも出さんとね。あ、お年玉も渡さんと。
私達の身支度はすでに整っているので、お出迎え。
やはり、皆さん勢揃いしている。本日は冒険者の格好ではない。花が新年から忙しく歓迎のローリングを披露している。
「ミズサワ殿明けましておめでとうございます」
と、代表してケルンさんがご挨拶。私もご挨拶。
「皆さん、明けましておめでとうございます、どうぞお茶でも」
母も出てきて、ご案内する。
パーティーハウスにご案内すると、仔達がわらわらとお出迎えモードに。
「ズ、ズボンが下がるっす」
ハジェル君が元気にポケットはみはみされて、引き倒されそう。こらこら。元気は次にガリストさんにご挨拶している。慣れた手付きで撫でてくれている。
「リュウタ殿、ケイコ殿、明けましておめでとうございます」
と、改めて両親とご挨拶する皆さん。
「明けましておめでとうございます、昨年度は娘達が大変お世話になりました」
いえいえそんな、とご挨拶。
和やかにルームに移動する。勝って知ったるなんとかで、晃太がテーブルを出し、定位置に着く。私はエマちゃん、マデリーンさんとお茶の準備。各パーティーからお手伝いが来てくれる。こんなこともあろうかと、予めお茶請けは準備してますよ。セレクトショップダリアから、全国チェーンのお菓子さんの焼き菓子詰め合わせだ。そこそこ大きなサイズの箱であるが、あまれば持ち帰ってもらえばいいしね。お茶はいいかな?
さ、お正月の儀式や。
「未成年の皆さん、ささやかですがお年玉ですよ」
「はいはいっ、私、見た目っ、ぎふふふふっ」
ヒェリさんがケルンさんに関節技決めてる。
「最年長が何をほざいているんですか」
あきれ顔のフェリクスさん。
未成年は七人。エマちゃん、テオ君、マアデン君、ハジェル君、ヘルト君、ドロテアちゃん、アルスさんだ。
「わあっ、ありがとうユイさんっ」
「ユイさんありがとう」
エマちゃんとテオ君が嬉しそうに袋を抱き締める。ばれないようにこそこそ準備してよかった。
「はい、マアデン君、ハジェル君」
「「ありがとうございますっ」」
やったー、と嬉しそうな二人。初めて会った頃は幼さのある少年だったのに比べて、ずいぶん青年感が溢れてマアデン君。ハジェル君は後発成長の為に、あまり変わりないように見えるのは仕方ない。来年で見習い期間が過ぎても、二人はそのまま山風に在籍するって。
「はい。ヘルト君、ドロテアちゃん」
「「ありがとうございますっ」」
こちらは初めてのお年玉だが、マアデン君とハジェル君から話を聞いていたのか、嬉しそうだ。この二人ももうじき見習い期間が終わる。フェリクスさんは基本的には見習い期間のみしか受けないので、卒業になる。だが、アンドレアスさんをリーダーとしてヘルト君、ドロテアちゃんの三人でパーティー組ませる予定なんだって。それで本来なら卒業予定のはずの、元見習いのアンドレアスさんが在籍していたんやね。すぐって訳ではないみたい。
「はい、アルスさん」
「んっ、ユイちゃん、ありがとっ」
ニコニコのアルスさん。アルスさんは当然、金の虎に在籍する。
「姉ちゃん、貰った」
「良かったねアルス」
アルスさんはお姉さんのリィマさんに袋を見せている。それを優しく見守るファングさん達。微笑ましい。
「あのー、ユイさん」
「なんねハジェル君」
「ビアンカさんと、ルージュさん、どうしたんすか? なんか、凄い顔してるっす。あ、してます」
「気にせんで」
私はたまにはゆっくりしたい。結局サブ・ドア開けっ放しにしても、何だかんだとドロップ品の回収やなんやかんだでどこかで晃太がアイテムボックスを使用している。勿体ないからね。中には貴重な薬の材料になるからと言われると、無駄に出来ないからね。その晃太が、すん、て顔でマドレーヌを食べてる。
だが、私と晃太がいい顔しないので、矛先が母に向かう。
血走った目できゅるんきゅるん。仔達まで見味方に着けてきゅるんきゅるん。
「優衣、晃太、一回くらいよかやない」
こうして、寝正月は明日に繰り越される。
結局、挨拶に来ただけの皆さんも手分けして手伝ってくれた。
「そうやっ、今年こそはゴロゴロするんやっ」
食っちゃ寝を繰り返したい、たまには、きっといいはずっ。
毎年毎年、ダンジョンダンジョン言って、きゅるんきゅるんしてからにっ。
『何なのだ? ダンジョンなのだ? なら、我も行きたいのだー』
アレスがきゅるるるん、と加わってきた。くっ、でっかいワンコがきゅるるん、くっ、かわいかっ。以前はぐいぐい迫っていたたけがだったが。最近、アレスのおねだりは、ちょい、と首をかしげておめめをきゅるんにうるっとさせる。以前はぐいぐい来ていただけなのに、技がちょいちょい加わる。
『ウム、軽ク運動スルカ』
イシスは相変わらずだ。
あんたたちの軽い運動は、軽くやないやろうに。
寝正月をしたい私と晃太、バトルジャンキー達との攻防の真っ最中にパーティーハウスに来客が。いっそのこと、サブ・ドアを開けっ放しにするか、何て思っていたところにだ。
ホークさんが対応してくれる。
「ユイさん、ケルンさん達が新年の挨拶にといらしています」
「あ、そうなんですね、出ますね。ちょっとまっとってよ」
きっと皆さん勢揃いのはず。わざわざ挨拶に来てくれたんやから、お茶でも出さんとね。あ、お年玉も渡さんと。
私達の身支度はすでに整っているので、お出迎え。
やはり、皆さん勢揃いしている。本日は冒険者の格好ではない。花が新年から忙しく歓迎のローリングを披露している。
「ミズサワ殿明けましておめでとうございます」
と、代表してケルンさんがご挨拶。私もご挨拶。
「皆さん、明けましておめでとうございます、どうぞお茶でも」
母も出てきて、ご案内する。
パーティーハウスにご案内すると、仔達がわらわらとお出迎えモードに。
「ズ、ズボンが下がるっす」
ハジェル君が元気にポケットはみはみされて、引き倒されそう。こらこら。元気は次にガリストさんにご挨拶している。慣れた手付きで撫でてくれている。
「リュウタ殿、ケイコ殿、明けましておめでとうございます」
と、改めて両親とご挨拶する皆さん。
「明けましておめでとうございます、昨年度は娘達が大変お世話になりました」
いえいえそんな、とご挨拶。
和やかにルームに移動する。勝って知ったるなんとかで、晃太がテーブルを出し、定位置に着く。私はエマちゃん、マデリーンさんとお茶の準備。各パーティーからお手伝いが来てくれる。こんなこともあろうかと、予めお茶請けは準備してますよ。セレクトショップダリアから、全国チェーンのお菓子さんの焼き菓子詰め合わせだ。そこそこ大きなサイズの箱であるが、あまれば持ち帰ってもらえばいいしね。お茶はいいかな?
さ、お正月の儀式や。
「未成年の皆さん、ささやかですがお年玉ですよ」
「はいはいっ、私、見た目っ、ぎふふふふっ」
ヒェリさんがケルンさんに関節技決めてる。
「最年長が何をほざいているんですか」
あきれ顔のフェリクスさん。
未成年は七人。エマちゃん、テオ君、マアデン君、ハジェル君、ヘルト君、ドロテアちゃん、アルスさんだ。
「わあっ、ありがとうユイさんっ」
「ユイさんありがとう」
エマちゃんとテオ君が嬉しそうに袋を抱き締める。ばれないようにこそこそ準備してよかった。
「はい、マアデン君、ハジェル君」
「「ありがとうございますっ」」
やったー、と嬉しそうな二人。初めて会った頃は幼さのある少年だったのに比べて、ずいぶん青年感が溢れてマアデン君。ハジェル君は後発成長の為に、あまり変わりないように見えるのは仕方ない。来年で見習い期間が過ぎても、二人はそのまま山風に在籍するって。
「はい。ヘルト君、ドロテアちゃん」
「「ありがとうございますっ」」
こちらは初めてのお年玉だが、マアデン君とハジェル君から話を聞いていたのか、嬉しそうだ。この二人ももうじき見習い期間が終わる。フェリクスさんは基本的には見習い期間のみしか受けないので、卒業になる。だが、アンドレアスさんをリーダーとしてヘルト君、ドロテアちゃんの三人でパーティー組ませる予定なんだって。それで本来なら卒業予定のはずの、元見習いのアンドレアスさんが在籍していたんやね。すぐって訳ではないみたい。
「はい、アルスさん」
「んっ、ユイちゃん、ありがとっ」
ニコニコのアルスさん。アルスさんは当然、金の虎に在籍する。
「姉ちゃん、貰った」
「良かったねアルス」
アルスさんはお姉さんのリィマさんに袋を見せている。それを優しく見守るファングさん達。微笑ましい。
「あのー、ユイさん」
「なんねハジェル君」
「ビアンカさんと、ルージュさん、どうしたんすか? なんか、凄い顔してるっす。あ、してます」
「気にせんで」
私はたまにはゆっくりしたい。結局サブ・ドア開けっ放しにしても、何だかんだとドロップ品の回収やなんやかんだでどこかで晃太がアイテムボックスを使用している。勿体ないからね。中には貴重な薬の材料になるからと言われると、無駄に出来ないからね。その晃太が、すん、て顔でマドレーヌを食べてる。
だが、私と晃太がいい顔しないので、矛先が母に向かう。
血走った目できゅるんきゅるん。仔達まで見味方に着けてきゅるんきゅるん。
「優衣、晃太、一回くらいよかやない」
こうして、寝正月は明日に繰り越される。
結局、挨拶に来ただけの皆さんも手分けして手伝ってくれた。
3,484
お気に入りに追加
7,674
あなたにおすすめの小説
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
別に構いませんよ、離縁するので。
杉本凪咲
恋愛
父親から告げられたのは「出ていけ」という冷たい言葉。
他の家族もそれに賛同しているようで、どうやら私は捨てられてしまうらしい。
まあいいですけどね。私はこっそりと笑顔を浮かべた。
【完結】虐げられた令嬢の復讐劇 〜聖女より格上の妖精の愛し子で竜王様の番は私です~
大福金
ファンタジー
10歳の時、床掃除をしている時に水で足を滑らせ前世の記憶を思い出した。侯爵家令嬢ルチア
8さいの時、急に現れた義母に義姉。
あれやこれやと気がついたら部屋は義姉に取られ屋根裏に。
侯爵家の娘なのに、使用人扱い。
お母様が生きていた時に大事にしてくれた。使用人たちは皆、義母が辞めさせた。
義母が連れてきた使用人達は私を義母と一緒になってこき使い私を馬鹿にする……
このままじゃ先の人生詰んでる。
私には
前世では25歳まで生きてた記憶がある!
義母や義姉!これからは思い通りにさせないんだから!
義母達にスカッとざまぁしたり
冒険の旅に出たり
主人公が妖精の愛し子だったり。
竜王の番だったり。
色々な無自覚チート能力発揮します。
竜王様との溺愛は後半第二章からになります。
※完結まで執筆済みです。(*´꒳`*)10万字程度。
※後半イチャイチャ多めです♡
※R18描写♡が入るシーンはタイトルに★マークをいれています。
あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。