もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

文字の大きさ
上 下
705 / 851
連載

白夜⑧

しおりを挟む
 予測はしていたが、やはりただのモンスターボックスではなかった。
 ただ、始まりは良かった。
 外気が熱いから、スライムがポヨンポヨンと出てたが、大部分その外気で自滅してくれたからだ。出てきたスライムの数が尋常じゃなかったけどね。私はビアンカに釘を刺されたので、ルームで大人しくしておく。じっとしているわけではないけどね。
 まず、従魔の部屋に寝かされているイシス達の様子を見る。うん、呼吸も穏やかだし、ケガも見当たらない。良かった。お昼寝していたシルフィ達がさっきの騒ぎで起き出してしまった。いつもならガーガー鼾をかくアレスがこんこんと眠っているので、不安そうにすり寄っている。
「シルフィ、皆、お父さん疲れとるから、邪魔したらいかんよ」
「「「「きゅーん」」」」
 よしよし。
 私はしっかり従魔の部屋の柵を確認。ある程度の高さはあるが、シルフィあたりがそろそろ飛び越えそうだ。
 窓の外を確認、あ、王冠スライムがっ。ポヨンポヨンと出てきた。いやいや、数っ。数っ。何十ぴきもいるっ。
 ビアンカとアリスの鼻息で次々撃破。ノワールは強力な足で一撃。元気の元気な雷で一発。コハクだって負けてない。土の砲弾で撃破。オシリスとホルスがそれぞれ風の刃で真っ二つ。オフィーリアが閃光を放ち貫通する。冒険者の皆さんも各個撃破だ。うんっ、あっという間。
 ビアンカが辺りを見渡し、頷いている。
 モンスターボックスは、それ自体が魔力を宿し、次々に魔物を召還する。挑戦者達の命が、モンスターボックスの魔力が先か、それが問題だ。
 まだまだ始まったばかりだ。
 
「晃太、ご飯ちょうだいっ」
「分かったっ」
 裏方に徹していた私はダイニングキッチンで声を上げる。
 モンスターボックス戦が開始して三時間。
 それぞれ交代しながら出撃している。私は必要時、ルームのドアの開け閉めしている。
 スライムの次は角ウサギで、30分程間隔が空いた。ただ、数よ数。三桁よ、三桁。かるーく三桁よ。通常よく見られるサイズがほぼだったが、あの土煙を上げなら、ドドド、と来られたら引いてしまった。中にはあからさまに色が毒々しいのがいた。毒よ毒。毒ウサギ。それからルーティの下層ででるでっかいのも出たけど、皆さん問題なく撃破していた。良かった。その次もやはり30分空いて、出たのがお馴染み緑のG軍団。複数のクイーンがいたり、ぽこぽこ上位種が次から次から出てくる。落ち着いたかと思ったら、何処からか出てきて、ここでかなりの時間を要した。ここではルージュが危惧した気配を薄くしていた特殊個体がいたが、鍛えられたお陰か、若手達が大活躍だった。
 現在、時間的にお腹がすくお昼時。
 やっとこさGが終わり、次の召還までのクールダウンの時間。戻って来た面々が補水と補食を始める。たくさん準備しておいて良かった。
 かなりの余裕をもっておにぎりを作っていたが、気持ちがいいようになくなっていく。晃太のアイテムボックスにある作り置きも、サンサンサンの大きなおむすびも出したが、なくなりそうや。理由は。
『腹が減ったのだー』
『ユイ、私はエビのやつね』
『ウム、ピザハナイノカ?』
「わふんっ」
 ヤマタノオロチ戦後撃沈していた面々が復活。思ったより早く復活した、ふりかけたエリクサーの効果かもしれない。起きた途端に食欲爆発。まあ、あれだけの激闘だったからお腹空いたよね。エリクサーもいいが、やっぱり食物摂食してから栄養にしないとね。次から次におにぎりがなくなっていく。晃太がアイテムボックスに入れていた補食を次々に大放出。
『ねえね、ヒスイ、鮭のおにぎりがいい~』
『ルリね、煮卵~』
『クリスはね、煮豚~』
 ええいっ、かわいかねっ、今すぐ作るけんねっ。忙しいっ。お手伝いに入ってくれたエマちゃんとドロテアちゃん、マアデン君とハジェル君が必死におにぎり作ってくれる。
 あるだけの寸胴で作っていた豚汁、ウサギ肉と野菜をたくさん入れた醤油と味噌ベースのちゃんこもどき。母のレシピで再現した乾燥貝柱と鮑で作った太平燕もなくなってしまった。
 おにぎりは確かに食べやすいが、作るの大変。
 申し訳ないが三人娘のリクエストは丼に変更。
 晃太のアイテムボックスから出してもらったご飯を、それぞれの器にセレクトショップダリアのサーモン、母のレシピの煮卵を半分にカットして、煮豚もずらりと並べる。よしっ。
「はいっ、これでよかっ?」
『わーいっ、色々ある、ヒスイ、これでいーよっ』
『卵だぁっ、ルリ、だーいすき』
『煮豚、とろとろしておいしー。クリス、好きー』
 良かった。良かった。
 ……………………………………はっ、視線を感じる。
「わふんっ」
『わいも食べたいねん』
「くるっ」
 空の寸胴咥えて自己主張。
 ええいっ、かわいかねっ。
 ………………………………………………………はっ、視線を感じる。
『私も食べたいのです』
『私はエビ乗せて』
 ぽっちゃりぽちゃぽちゃのおねだりビーム。
 モンスターボックスを乗り越えてもらわないといかんからねっ。
「テオ君っ、ヘルト君、手伝ってっ」
「「はいっ」」
しおりを挟む
感想 672

あなたにおすすめの小説

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

家ごと異世界ライフ

ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

悪役令嬢、資産運用で学園を掌握する 〜王太子?興味ない、私は経済で無双する〜

言諮 アイ
ファンタジー
異世界貴族社会の名門・ローデリア学園。そこに通う公爵令嬢リリアーナは、婚約者である王太子エドワルドから一方的に婚約破棄を宣言される。理由は「平民の聖女をいじめた悪役だから」?——はっ、笑わせないで。 しかし、リリアーナには王太子も知らない"切り札"があった。 それは、前世の知識を活かした「資産運用」。株式、事業投資、不動産売買……全てを駆使し、わずか数日で貴族社会の経済を掌握する。 「王太子?聖女?その程度の茶番に構っている暇はないわ。私は"資産"でこの学園を支配するのだから。」 破滅フラグ?なら経済で粉砕するだけ。 気づけば、学園も貴族もすべてが彼女の手中に——。 「お前は……一体何者だ?」と動揺する王太子に、リリアーナは微笑む。 「私はただの投資家よ。負けたくないなら……資本主義のルールを学びなさい。」 学園を舞台に繰り広げられる異世界経済バトルロマンス! "悪役令嬢"、ここに爆誕!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。