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白夜⑧
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予測はしていたが、やはりただのモンスターボックスではなかった。
ただ、始まりは良かった。
外気が熱いから、スライムがポヨンポヨンと出てたが、大部分その外気で自滅してくれたからだ。出てきたスライムの数が尋常じゃなかったけどね。私はビアンカに釘を刺されたので、ルームで大人しくしておく。じっとしているわけではないけどね。
まず、従魔の部屋に寝かされているイシス達の様子を見る。うん、呼吸も穏やかだし、ケガも見当たらない。良かった。お昼寝していたシルフィ達がさっきの騒ぎで起き出してしまった。いつもならガーガー鼾をかくアレスがこんこんと眠っているので、不安そうにすり寄っている。
「シルフィ、皆、お父さん疲れとるから、邪魔したらいかんよ」
「「「「きゅーん」」」」
よしよし。
私はしっかり従魔の部屋の柵を確認。ある程度の高さはあるが、シルフィあたりがそろそろ飛び越えそうだ。
窓の外を確認、あ、王冠スライムがっ。ポヨンポヨンと出てきた。いやいや、数っ。数っ。何十ぴきもいるっ。
ビアンカとアリスの鼻息で次々撃破。ノワールは強力な足で一撃。元気の元気な雷で一発。コハクだって負けてない。土の砲弾で撃破。オシリスとホルスがそれぞれ風の刃で真っ二つ。オフィーリアが閃光を放ち貫通する。冒険者の皆さんも各個撃破だ。うんっ、あっという間。
ビアンカが辺りを見渡し、頷いている。
モンスターボックスは、それ自体が魔力を宿し、次々に魔物を召還する。挑戦者達の命が、モンスターボックスの魔力が先か、それが問題だ。
まだまだ始まったばかりだ。
「晃太、ご飯ちょうだいっ」
「分かったっ」
裏方に徹していた私はダイニングキッチンで声を上げる。
モンスターボックス戦が開始して三時間。
それぞれ交代しながら出撃している。私は必要時、ルームのドアの開け閉めしている。
スライムの次は角ウサギで、30分程間隔が空いた。ただ、数よ数。三桁よ、三桁。かるーく三桁よ。通常よく見られるサイズがほぼだったが、あの土煙を上げなら、ドドド、と来られたら引いてしまった。中にはあからさまに色が毒々しいのがいた。毒よ毒。毒ウサギ。それからルーティの下層ででるでっかいのも出たけど、皆さん問題なく撃破していた。良かった。その次もやはり30分空いて、出たのがお馴染み緑のG軍団。複数のクイーンがいたり、ぽこぽこ上位種が次から次から出てくる。落ち着いたかと思ったら、何処からか出てきて、ここでかなりの時間を要した。ここではルージュが危惧した気配を薄くしていた特殊個体がいたが、鍛えられたお陰か、若手達が大活躍だった。
現在、時間的にお腹がすくお昼時。
やっとこさGが終わり、次の召還までのクールダウンの時間。戻って来た面々が補水と補食を始める。たくさん準備しておいて良かった。
かなりの余裕をもっておにぎりを作っていたが、気持ちがいいようになくなっていく。晃太のアイテムボックスにある作り置きも、サンサンサンの大きなおむすびも出したが、なくなりそうや。理由は。
『腹が減ったのだー』
『ユイ、私はエビのやつね』
『ウム、ピザハナイノカ?』
「わふんっ」
ヤマタノオロチ戦後撃沈していた面々が復活。思ったより早く復活した、ふりかけたエリクサーの効果かもしれない。起きた途端に食欲爆発。まあ、あれだけの激闘だったからお腹空いたよね。エリクサーもいいが、やっぱり食物摂食してから栄養にしないとね。次から次におにぎりがなくなっていく。晃太がアイテムボックスに入れていた補食を次々に大放出。
『ねえね、ヒスイ、鮭のおにぎりがいい~』
『ルリね、煮卵~』
『クリスはね、煮豚~』
ええいっ、かわいかねっ、今すぐ作るけんねっ。忙しいっ。お手伝いに入ってくれたエマちゃんとドロテアちゃん、マアデン君とハジェル君が必死におにぎり作ってくれる。
あるだけの寸胴で作っていた豚汁、ウサギ肉と野菜をたくさん入れた醤油と味噌ベースのちゃんこもどき。母のレシピで再現した乾燥貝柱と鮑で作った太平燕もなくなってしまった。
おにぎりは確かに食べやすいが、作るの大変。
申し訳ないが三人娘のリクエストは丼に変更。
晃太のアイテムボックスから出してもらったご飯を、それぞれの器にセレクトショップダリアのサーモン、母のレシピの煮卵を半分にカットして、煮豚もずらりと並べる。よしっ。
「はいっ、これでよかっ?」
『わーいっ、色々ある、ヒスイ、これでいーよっ』
『卵だぁっ、ルリ、だーいすき』
『煮豚、とろとろしておいしー。クリス、好きー』
良かった。良かった。
……………………………………はっ、視線を感じる。
「わふんっ」
『わいも食べたいねん』
「くるっ」
空の寸胴咥えて自己主張。
ええいっ、かわいかねっ。
………………………………………………………はっ、視線を感じる。
『私も食べたいのです』
『私はエビ乗せて』
ぽっちゃりぽちゃぽちゃのおねだりビーム。
モンスターボックスを乗り越えてもらわないといかんからねっ。
「テオ君っ、ヘルト君、手伝ってっ」
「「はいっ」」
ただ、始まりは良かった。
外気が熱いから、スライムがポヨンポヨンと出てたが、大部分その外気で自滅してくれたからだ。出てきたスライムの数が尋常じゃなかったけどね。私はビアンカに釘を刺されたので、ルームで大人しくしておく。じっとしているわけではないけどね。
まず、従魔の部屋に寝かされているイシス達の様子を見る。うん、呼吸も穏やかだし、ケガも見当たらない。良かった。お昼寝していたシルフィ達がさっきの騒ぎで起き出してしまった。いつもならガーガー鼾をかくアレスがこんこんと眠っているので、不安そうにすり寄っている。
「シルフィ、皆、お父さん疲れとるから、邪魔したらいかんよ」
「「「「きゅーん」」」」
よしよし。
私はしっかり従魔の部屋の柵を確認。ある程度の高さはあるが、シルフィあたりがそろそろ飛び越えそうだ。
窓の外を確認、あ、王冠スライムがっ。ポヨンポヨンと出てきた。いやいや、数っ。数っ。何十ぴきもいるっ。
ビアンカとアリスの鼻息で次々撃破。ノワールは強力な足で一撃。元気の元気な雷で一発。コハクだって負けてない。土の砲弾で撃破。オシリスとホルスがそれぞれ風の刃で真っ二つ。オフィーリアが閃光を放ち貫通する。冒険者の皆さんも各個撃破だ。うんっ、あっという間。
ビアンカが辺りを見渡し、頷いている。
モンスターボックスは、それ自体が魔力を宿し、次々に魔物を召還する。挑戦者達の命が、モンスターボックスの魔力が先か、それが問題だ。
まだまだ始まったばかりだ。
「晃太、ご飯ちょうだいっ」
「分かったっ」
裏方に徹していた私はダイニングキッチンで声を上げる。
モンスターボックス戦が開始して三時間。
それぞれ交代しながら出撃している。私は必要時、ルームのドアの開け閉めしている。
スライムの次は角ウサギで、30分程間隔が空いた。ただ、数よ数。三桁よ、三桁。かるーく三桁よ。通常よく見られるサイズがほぼだったが、あの土煙を上げなら、ドドド、と来られたら引いてしまった。中にはあからさまに色が毒々しいのがいた。毒よ毒。毒ウサギ。それからルーティの下層ででるでっかいのも出たけど、皆さん問題なく撃破していた。良かった。その次もやはり30分空いて、出たのがお馴染み緑のG軍団。複数のクイーンがいたり、ぽこぽこ上位種が次から次から出てくる。落ち着いたかと思ったら、何処からか出てきて、ここでかなりの時間を要した。ここではルージュが危惧した気配を薄くしていた特殊個体がいたが、鍛えられたお陰か、若手達が大活躍だった。
現在、時間的にお腹がすくお昼時。
やっとこさGが終わり、次の召還までのクールダウンの時間。戻って来た面々が補水と補食を始める。たくさん準備しておいて良かった。
かなりの余裕をもっておにぎりを作っていたが、気持ちがいいようになくなっていく。晃太のアイテムボックスにある作り置きも、サンサンサンの大きなおむすびも出したが、なくなりそうや。理由は。
『腹が減ったのだー』
『ユイ、私はエビのやつね』
『ウム、ピザハナイノカ?』
「わふんっ」
ヤマタノオロチ戦後撃沈していた面々が復活。思ったより早く復活した、ふりかけたエリクサーの効果かもしれない。起きた途端に食欲爆発。まあ、あれだけの激闘だったからお腹空いたよね。エリクサーもいいが、やっぱり食物摂食してから栄養にしないとね。次から次におにぎりがなくなっていく。晃太がアイテムボックスに入れていた補食を次々に大放出。
『ねえね、ヒスイ、鮭のおにぎりがいい~』
『ルリね、煮卵~』
『クリスはね、煮豚~』
ええいっ、かわいかねっ、今すぐ作るけんねっ。忙しいっ。お手伝いに入ってくれたエマちゃんとドロテアちゃん、マアデン君とハジェル君が必死におにぎり作ってくれる。
あるだけの寸胴で作っていた豚汁、ウサギ肉と野菜をたくさん入れた醤油と味噌ベースのちゃんこもどき。母のレシピで再現した乾燥貝柱と鮑で作った太平燕もなくなってしまった。
おにぎりは確かに食べやすいが、作るの大変。
申し訳ないが三人娘のリクエストは丼に変更。
晃太のアイテムボックスから出してもらったご飯を、それぞれの器にセレクトショップダリアのサーモン、母のレシピの煮卵を半分にカットして、煮豚もずらりと並べる。よしっ。
「はいっ、これでよかっ?」
『わーいっ、色々ある、ヒスイ、これでいーよっ』
『卵だぁっ、ルリ、だーいすき』
『煮豚、とろとろしておいしー。クリス、好きー』
良かった。良かった。
……………………………………はっ、視線を感じる。
「わふんっ」
『わいも食べたいねん』
「くるっ」
空の寸胴咥えて自己主張。
ええいっ、かわいかねっ。
………………………………………………………はっ、視線を感じる。
『私も食べたいのです』
『私はエビ乗せて』
ぽっちゃりぽちゃぽちゃのおねだりビーム。
モンスターボックスを乗り越えてもらわないといかんからねっ。
「テオ君っ、ヘルト君、手伝ってっ」
「「はいっ」」
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