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首都へ①
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「優衣、鷹の目って、あの鷹の目の皆さんね?」
母が動揺している。
「十中八九そうや。メンバーの名前も一致するし、他のパーティーとは思えん。何かあったんやろう。とにかく今から首都に行ってくる」
このタイミングで知ったのは、きっと何か意味があるはず。
今日はお留守番のノワールを、厩舎から出す。
「ノワール、ごめんけど、今から走ってね」
「ブヒヒンッ」
ノワールを新しく改修した馬車に繋げる。いくらSランクの馬車とはいえ、ノワールのあのスピードに長く耐えられないかと思い、馬車の強化をしていた。マーファの馬車職人さんが、丹精込めて改修してくれた。車輪の強化と衝撃吸収と物理防御の付与も更に追加。
「通常の魔法馬のスピードの5倍出しても大丈夫」
と、目の下に凄い隈を作った職人さんが、どやあ、って顔してた。
そしてヘルメットも作ってもらった。やはり馭者台に座るとあの風圧はきつい。ビアンカが風の結界を張ってくれるけど、負えない。
心配する両親と花に見送られてパーティーハウスを出る。
マーファの門の前に向かう。仔達は馬車の中だ。疲れて寝ている。
少し待つと、馬車が一台やって来た。
「ミズサワ様、お待たせしました」
降りてきたのはリティアさんとタージェルさんだ。
「すみません、お手数をかけまして」
「いいえ、こちらの紹介状をお持ちください」
リティアさんは5通の手紙を出す。全部に刻印がある。
「冒険者ギルド、商人ギルド、鍛冶師ギルド、職人ギルド、薬師ギルドからの紹介状です」
「ありがとうございます」
奴隷を買うのってやっぱり大変なんやね。こんなに紹介状がいるなんて。私はすべてアイテムボックスに入れる。
「それからミズサワ様、こちらの手紙は首都の商人ギルドの窓口にお出しください。商会にスムーズに交渉できる手筈となっております」
タージェルさんからも手紙をもらう。
奴隷商会は、行ったら直ぐに奴隷購入何てできない。そりゃそうだ、人を扱っているんだから。
「おそらく到着した日に、商会に行くのは厳しいかと思います。次の日か、その次の日になるかと」
「ありがとうございますタージェルさん」
ありがたく受けとる。
『ユイ、誰か来るのです』
『敵意はないわ』
誰だろう?
一台の馬車がやって来た。出てきたのは、見たことある人。確か、ダストン様の後ろにいた、背筋の伸びた高齢男性。名前は残念ながら分からない。
「間に合いましたか、ようございました。ハルスフォン家執事長を勤めております、スチュワートと申します。ミズサワ様。我が主人、ダストン・ハルスフォン伯爵より、書状を預かって参りました」
「え、まさか」
「はい。紹介状でございます」
本当に奴隷購入って、大変なことやねん。
どうやら、セザール様が抗生剤の件でギルドにいたらしく、リティアさんがバタバタ紹介状の準備をしているのを見て、感づいたようで、慌ててダストン様にお願いしたそうだ。
本当にありがたい。
帰って来たら、お礼をしなければ。
「ありがとうございます。ダストン様に、セザール様にくれぐれもよろしくお伝えください」
私は大事に書状を受け取り、アイテムボックスへ。
「皆さん、ありがとうございます」
私と晃太は頭を下げる。
「ミズサワ様、道中お気をつけて。それからミズサワ様、商会に行く時は、格好にお気をつけてください。そのポンチョでは入れませんよ」
「え?」
リティアさんが教えてくれる。
やはり、人を扱っている商会の為に、簡単には入れてもらえないし、最低限の身なりをするのが当たり前だと。
「女性はドレスとまではいいませんが、相応のワンピース、男性はスーツです。お持ちですか?」
「それなら、大丈夫です」
パーカーさんに作ってもらったワンピースがある。それから必要になるかも知れませんよと、レースの手袋まで作ってもらってる。晃太もスーツあるしね。
リティアさんに再度お礼を言って、ヘルメットを被り、馭者台によじ登る。
「ノワール、マーファの外に出てから走ってね」
「ブヒヒンッ」
「ビアンカ、ルージュ、よか?」
『問題ないのです』
『大丈夫よ』
「よし、じゃあ、出発ッ」
ノワールは門を抜けてから、徐々にスピードアップ。
首都まで、通常の魔法馬なら、1か月。
だが、うちのノワールは、既に普通の魔法馬じゃない。それにビアンカとルージュがいる。かなり、早く到着するはず。
待ってて、エマちゃん、皆さん。
特に傷が深そうなリーダーさんとエマちゃん、失明し骨折しているミゲル君が心配だ。できるだけの治療はお願いした、それが効果があることを願うだけ。
ノワールの牽いた馬車は、首都に向かって爆走開始した。
4日後、ディラを素通りする。
え、寄らないの? 見たいな顔されたけどね。
日が落ちて、暗くなり、ルージュに周りを確認してもらう。
『誰もいないわ』
「ありがとうルージュ」
ルームを開けて、従魔の足拭きをタップ。ノワールの為にマットを敷き誘導する。
「お疲れ様ノワール、にんじんばいっぱい準備するけんね」
「ブヒヒンッ」
サブ・ドアから両親と花を誘導し、いつものブラッシングや夕食の準備をする。
晃太は地図をチェック。
「首都まで、どれくらい?」
「そやなあ、ノワールのスピードならこのままやと4、5日やな」
「そうね。ノワールの体力が続くかね?」
「ブヒヒンッ、ブヒヒンッ、ブヒヒーンッ」
『平気だと言っているのです』
『久しぶりに思いっきり走れるって』
「そ、そうね」
夕食を食べて、両親と花はマーファに戻り、私は明日のお米の準備をする。
中庭で元気達を遊ばせていたビアンカとルージュが、戻って来る。
『ユイ、話があるのです』
『少しいいかしら』
「どうしたん? 改まって」
私は手を拭いて、2人の前に。
『実は、その』
『なくなってしまったの』
モゴモゴと話す2人。
「何が?」
『ブーストなのです』
『神様から頂いたブーストが』
「ああ、そうね。なんやそんなことね」
てっきり、バンダナに着けた魔力回復の指輪でも失くしたかと思ったよ。
『そんな事なんて、神様に失礼なのです』
『そうよ、ユイ、失礼よ』
プリプリと怒る2人。かわいかね。まあ、確かに今のは失言かな。
「ごめんごめん。でも、神様のブーストは1年やろ? 仕方ないやない?なくなるのは」
『そうなのですが』
『なければ、ちょっと不便だわ。戦闘モードにも影響が出るし』
「十分強かろうもん」
ぶーぶー、言うビアンカとルージュに、私は突っ込む。
あれだけ、ちゅどん、どかん、できてるのに。
「本来はなかったものやろ? 元に戻っただけやん。ビアンカとルージュは神様からのブーストなくても十分強かよ」
私が言うも、ビアンカとルージュは、しゅん、とする。
まさか神様にまたブーストください、何て言えないしね。そこは分かっているようだ。
でも、しゅん、としている。かわいかね。
おーい、そっちに行っていいかー?
あ、噂をすれば、何とかだ。時空神様の声が。
「はい。どうぞ。ビアンカ、ルージュ、神様見えるからしゃんとしてね。間違ってもブーストくださいなんて言わんでよ」
予め釘を刺す。
『分かっているのですッ』
『もちろんよッ』
ビアンカの尻尾がバタバタと音を立て、ルージュは赤い目を全開にしている。
本当に分かっているんよね?
母が動揺している。
「十中八九そうや。メンバーの名前も一致するし、他のパーティーとは思えん。何かあったんやろう。とにかく今から首都に行ってくる」
このタイミングで知ったのは、きっと何か意味があるはず。
今日はお留守番のノワールを、厩舎から出す。
「ノワール、ごめんけど、今から走ってね」
「ブヒヒンッ」
ノワールを新しく改修した馬車に繋げる。いくらSランクの馬車とはいえ、ノワールのあのスピードに長く耐えられないかと思い、馬車の強化をしていた。マーファの馬車職人さんが、丹精込めて改修してくれた。車輪の強化と衝撃吸収と物理防御の付与も更に追加。
「通常の魔法馬のスピードの5倍出しても大丈夫」
と、目の下に凄い隈を作った職人さんが、どやあ、って顔してた。
そしてヘルメットも作ってもらった。やはり馭者台に座るとあの風圧はきつい。ビアンカが風の結界を張ってくれるけど、負えない。
心配する両親と花に見送られてパーティーハウスを出る。
マーファの門の前に向かう。仔達は馬車の中だ。疲れて寝ている。
少し待つと、馬車が一台やって来た。
「ミズサワ様、お待たせしました」
降りてきたのはリティアさんとタージェルさんだ。
「すみません、お手数をかけまして」
「いいえ、こちらの紹介状をお持ちください」
リティアさんは5通の手紙を出す。全部に刻印がある。
「冒険者ギルド、商人ギルド、鍛冶師ギルド、職人ギルド、薬師ギルドからの紹介状です」
「ありがとうございます」
奴隷を買うのってやっぱり大変なんやね。こんなに紹介状がいるなんて。私はすべてアイテムボックスに入れる。
「それからミズサワ様、こちらの手紙は首都の商人ギルドの窓口にお出しください。商会にスムーズに交渉できる手筈となっております」
タージェルさんからも手紙をもらう。
奴隷商会は、行ったら直ぐに奴隷購入何てできない。そりゃそうだ、人を扱っているんだから。
「おそらく到着した日に、商会に行くのは厳しいかと思います。次の日か、その次の日になるかと」
「ありがとうございますタージェルさん」
ありがたく受けとる。
『ユイ、誰か来るのです』
『敵意はないわ』
誰だろう?
一台の馬車がやって来た。出てきたのは、見たことある人。確か、ダストン様の後ろにいた、背筋の伸びた高齢男性。名前は残念ながら分からない。
「間に合いましたか、ようございました。ハルスフォン家執事長を勤めております、スチュワートと申します。ミズサワ様。我が主人、ダストン・ハルスフォン伯爵より、書状を預かって参りました」
「え、まさか」
「はい。紹介状でございます」
本当に奴隷購入って、大変なことやねん。
どうやら、セザール様が抗生剤の件でギルドにいたらしく、リティアさんがバタバタ紹介状の準備をしているのを見て、感づいたようで、慌ててダストン様にお願いしたそうだ。
本当にありがたい。
帰って来たら、お礼をしなければ。
「ありがとうございます。ダストン様に、セザール様にくれぐれもよろしくお伝えください」
私は大事に書状を受け取り、アイテムボックスへ。
「皆さん、ありがとうございます」
私と晃太は頭を下げる。
「ミズサワ様、道中お気をつけて。それからミズサワ様、商会に行く時は、格好にお気をつけてください。そのポンチョでは入れませんよ」
「え?」
リティアさんが教えてくれる。
やはり、人を扱っている商会の為に、簡単には入れてもらえないし、最低限の身なりをするのが当たり前だと。
「女性はドレスとまではいいませんが、相応のワンピース、男性はスーツです。お持ちですか?」
「それなら、大丈夫です」
パーカーさんに作ってもらったワンピースがある。それから必要になるかも知れませんよと、レースの手袋まで作ってもらってる。晃太もスーツあるしね。
リティアさんに再度お礼を言って、ヘルメットを被り、馭者台によじ登る。
「ノワール、マーファの外に出てから走ってね」
「ブヒヒンッ」
「ビアンカ、ルージュ、よか?」
『問題ないのです』
『大丈夫よ』
「よし、じゃあ、出発ッ」
ノワールは門を抜けてから、徐々にスピードアップ。
首都まで、通常の魔法馬なら、1か月。
だが、うちのノワールは、既に普通の魔法馬じゃない。それにビアンカとルージュがいる。かなり、早く到着するはず。
待ってて、エマちゃん、皆さん。
特に傷が深そうなリーダーさんとエマちゃん、失明し骨折しているミゲル君が心配だ。できるだけの治療はお願いした、それが効果があることを願うだけ。
ノワールの牽いた馬車は、首都に向かって爆走開始した。
4日後、ディラを素通りする。
え、寄らないの? 見たいな顔されたけどね。
日が落ちて、暗くなり、ルージュに周りを確認してもらう。
『誰もいないわ』
「ありがとうルージュ」
ルームを開けて、従魔の足拭きをタップ。ノワールの為にマットを敷き誘導する。
「お疲れ様ノワール、にんじんばいっぱい準備するけんね」
「ブヒヒンッ」
サブ・ドアから両親と花を誘導し、いつものブラッシングや夕食の準備をする。
晃太は地図をチェック。
「首都まで、どれくらい?」
「そやなあ、ノワールのスピードならこのままやと4、5日やな」
「そうね。ノワールの体力が続くかね?」
「ブヒヒンッ、ブヒヒンッ、ブヒヒーンッ」
『平気だと言っているのです』
『久しぶりに思いっきり走れるって』
「そ、そうね」
夕食を食べて、両親と花はマーファに戻り、私は明日のお米の準備をする。
中庭で元気達を遊ばせていたビアンカとルージュが、戻って来る。
『ユイ、話があるのです』
『少しいいかしら』
「どうしたん? 改まって」
私は手を拭いて、2人の前に。
『実は、その』
『なくなってしまったの』
モゴモゴと話す2人。
「何が?」
『ブーストなのです』
『神様から頂いたブーストが』
「ああ、そうね。なんやそんなことね」
てっきり、バンダナに着けた魔力回復の指輪でも失くしたかと思ったよ。
『そんな事なんて、神様に失礼なのです』
『そうよ、ユイ、失礼よ』
プリプリと怒る2人。かわいかね。まあ、確かに今のは失言かな。
「ごめんごめん。でも、神様のブーストは1年やろ? 仕方ないやない?なくなるのは」
『そうなのですが』
『なければ、ちょっと不便だわ。戦闘モードにも影響が出るし』
「十分強かろうもん」
ぶーぶー、言うビアンカとルージュに、私は突っ込む。
あれだけ、ちゅどん、どかん、できてるのに。
「本来はなかったものやろ? 元に戻っただけやん。ビアンカとルージュは神様からのブーストなくても十分強かよ」
私が言うも、ビアンカとルージュは、しゅん、とする。
まさか神様にまたブーストください、何て言えないしね。そこは分かっているようだ。
でも、しゅん、としている。かわいかね。
おーい、そっちに行っていいかー?
あ、噂をすれば、何とかだ。時空神様の声が。
「はい。どうぞ。ビアンカ、ルージュ、神様見えるからしゃんとしてね。間違ってもブーストくださいなんて言わんでよ」
予め釘を刺す。
『分かっているのですッ』
『もちろんよッ』
ビアンカの尻尾がバタバタと音を立て、ルージュは赤い目を全開にしている。
本当に分かっているんよね?
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