World End

nao

文字の大きさ
71 / 273
第4章:学園編

ルームメイト

しおりを挟む
 寮は学校から歩いて10分ほどの場所にあった。男子寮、女子寮ともに2つずつ計4つある。それらはそれぞれ寮長と呼ばれる3年の寮生の代表が管理している。学年ごとに部屋が分かれており学年が上がるごとに階が下になっていく仕組みらしい。

 なお学年が上がるにつれて人数が減って行くため、徐々に大きな部屋になるらしい。また一階にはレクリエーションルームや食堂などがある。

 ジンの寮室は3階にある二人部屋だった。パーティーで友人関係の構築に失敗したジンは、その場に居続けることを早々に諦めて、部屋に荷物を持ち込んだ。

 ドアを開けるとすぐ右側の壁に二段ベッドが置かれ、正面には外を見渡せる窓が、そして左の壁には木製の二つの勉強机と衣装ダンスが置かれている。こじんまりとしていて、二人部屋としては少々手狭に感じる。

 しげしげと部屋を眺めてから早速荷物を片付け始める。おおよそ片付け終わったところで、部屋に少年が入ってきた。

「よお、お前が俺と相部屋になるやつか?」

 ジンが声の方に顔を向けるとそこには濃い緑色のソフトモヒカンの少年が立っていた。身長はジンと同じぐらいだが、体型はジンよりもがっしりしている。眉が濃く、野暮ったい顔つきである。服装も一目で田舎から出てきたと察することができる容姿だった。

「ああ、よろしく。俺はジンだ」

 握手のために手を差し出すと、力強く握ってきた。

「ルースだ、よろしくな」

 ルースと名乗った少年は背負っていた荷物を床に下ろすと室内を見渡した。

「はー、それにしても狭っ苦しい部屋だな。俺らまあまあでけえから仕方ねえっちゃ仕方ねえが」

「ああ、確かにな。でも他の部屋もこんなもんだろ?」

「って思うだろ?だが話によると貴族以外の部屋割りってクラス順にグレードが変わってるらしいぜ」

「どういうことだ?」

「だから貴族はもちろんでかい部屋だけど、Sクラスだと広い一人部屋でAクラスだとそれよりも小さいけど一人部屋、みたいな感じでEクラスになるとこんな部屋になるってわけだ」

「ってことはお前もEクラスか?」

「ああ、でも俺はさっさと進級試験を受けて来年には上のクラスに行くけどな」

 自信満々にルースは語る。どうやら自分の力を随分と信頼しているらしい。

「ふーん、クラスって上がれるんだ」

「おいおい、お前何も知らねえのか?毎年能力判定があって、そん時に一定の基準値を超える結果を出せば上に上がれんだよ。結果発表の時に諸々の手続き用の資料もらっただろう、あれに書いてあるぞ」

「はー、なるほどね。必要そうなところ以外読んでなかったよ」

「やる気ねえなぁ。しっかしお前どっかで見たな…って、ああ!」

 ルースはジンの顔をまじまじと見つめてから大きな声を出した。

「な、なんだよ?」

「お前あれだ、シオンさんと喧嘩して注意されてたやつか」

「うっ」

「どうりで見たことあるわけだ。あん時俺お前の斜め後ろに座ってたんだよ。いやぁ、あれには笑ったぜ。全く試験前に笑わせんなよな」

 ニヤニヤと笑いながらルースはジンを小突く。

「わ、悪かったよ」

「お前、前からシオンさんと知り合いだったのか?随分気安そうだったけど」

「まあ成り行きでな」

「ふーん、まあいいや。これからよろしくな、お互い協力して一緒に上のクラスに上がれるように頑張ろうぜ!」

「おう!」

「よし、そんじゃあ早速片付けるの手伝ってくれや!」

「お、おう…」

 ジンはルースと話しを続けながら荷解きに取り掛かる。短い間だがジンはルースがどのような性格かを徐々に掴みかけてきた。どうやら彼は自信家ではあるが、相手の意見は素直に聞く性格らしい。

 また火の法術を操り、火力なら人並み以上だが、そのコントロールはあまり上手くないため、試験でも失敗してしまったらしい。ただジン同様に体術には自信があるらしく、自分の流派について熱く説明してくれた。

「よし、だいたい終わりだな。ありがとよ、ジン」

「いいって別に、それじゃあ晩飯食いに行こうぜ」

「おっ、いいな。知ってるか、この寮の飯って量多くて美味いってもっぱらの評判なんだってよ」

「へぇ、しかしお前はどっからそんな情報を仕入れてきたんだ?まだ今日寮に入ったばっかだろ?」

「俺の地元の道場の知り合いが二年生にいてな。その人が帰って来るたびに色々話してくれんだよ」

 食堂に向かい夕食をとる。ルースが言うように確かに量がある上に美味い。アンナの料理ほどではなかったが十分な味だ。食事中ルースとは様々な話をした。彼は社交的な性格であるのか、すでに友達ができているらしく食事中に何人か声をかけてきた。おかげでようやくジンにも何人か知り合いができた。

「それにしてもいよいよ明日入学式か。いやー、なんか感慨深いぜ。もちろん受かるとは思ってたけどよ。ようやく俺も騎士への第一歩ってやつだ」

「ああそうだな」

「お前って入りたい団とかもう決めてんのか?」

「いやまだ全然何にも考えてねえ。そう言うお前はどうなんだ?」

「俺はもちろん王国騎士団だな。アレキウス団長がかっこいいんだよ!やっぱ俺もあの人の元で戦いてぇ」

「ふーん。アレキウスって王国の使徒の一人だっけ?」

「はあ?お前どんだけ田舎から出てきたんだよ?アレキウスって言ったら王国最強って言われてんだぜ。あ、そういや俺たちの代にその人の息子が入ったらしいぜ。当然ながらSクラスだってよ」

「へぇ、まあ俺たちには関係なさそうだな。Sクラスとなんか触れ合う機会ないだろうし」

「ふふん、それがあるんだよ。入学してから一ヶ月後ぐらいにレクリエーションつーか訓練の一環で東の森に行くんだ。そん時に全クラスの生徒をランダムでチーム分けして探索するらしい。」

「でもそれって俺たちには上のレベルを知れる得があってもSクラスの連中にはなんのメリットもないんじゃねえか?」

「いやいや、Sクラスの連中の場合、将来将校になる奴らが多いらしくてな。学校としては早い段階からそういう経験を積ませたいんだろうぜ」

「はぁ、なるほどな。そんじゃあチームのリーダーは全員Sクラスの連中ってことか」

「ああ、あとはAクラスでも特に優秀な奴らもだってよ。くー、今から楽しみだぜ。上の連中に俺の実力を見せつける良い機会だからな!」

 ルースは拳を握って身震いをしていた。それから二人はたわいのない話をしつつ部屋へと戻った。


 翌早朝、日課の鍛錬を終えて部屋に戻ると未だに大いびきをかいて寝ているルースがいた。それを横目に、ジンは稽古着から制服に着替えた。それからルースに声をかけ起こそうとするも、彼は一向に起きる気配がない。まだ早い時間だから仕方ないと判断し、彼を放置して食堂へと向かった。

「おはようジン、早いな」

 まだ朝早いために閑散としている食堂で、朝食の乗ったトレーを持って空いている席に向かっていると後ろから声をかけられた。振り向くとそこには昨日知り合ったアスランが同様に、だが空のトレーを持って立っていた。

「おはようございます。先輩もこの寮だったんですね」

「ああ、つーか俺ここの寮長。昨日話したんだけど…ってお前寝てたんだっけ」

「すいません…」

「別に構わねえよ。ただ今日入学式だろ、学長の話が眠くても寝るなよ?」

「はい、頑張ります!」

「ははは、頑張らないでも寝るなよ。そんじゃあな、俺はさっさと式の準備で行かなきゃなんねえんだ」

 アスランは返却台にトレーを乗せると、スタスタと歩き去って行った。ジンはその後適当に空いた席に座り黙々と朝食を取ってから部屋へと戻った。未だにルースは眠りこけていた。

「おい、そろそろ起きろよ」

「…うるせえな母ちゃん、まだ寝かせろよ」

「いや俺お前の母ちゃんじゃねえって、早くしないと飯食う時間なくなるぞ!」

 バンバンと二段ベッドの横板を叩く。だがようやく彼が目を覚ましたのは集合30分前だった。

「うおおおおお、なんで起こしてくれなかったんだよおおおおお!」

「何度も起こしたって!お前が寝続けたんだろうが!」

「くそっ!朝飯食う時間無ぇ」

「諦めな。そんじゃあ俺は先行くぞ」

「あ、ちょっ!」

 まだ歯を磨きながら制服を着ているルースを放置してジンは部屋から出て学校へと向かった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

合成師

盾乃あに
ファンタジー
里見瑠夏32歳は仕事をクビになって、やけ酒を飲んでいた。ビールが切れるとコンビニに買いに行く、帰り道でゴブリンを倒して覚醒に気付くとギルドで登録し、夢の探索者になる。自分の合成師というレアジョブは生産職だろうと初心者ダンジョンに向かう。 そのうち合成師の本領発揮し、うまいこと立ち回ったり、パーティーメンバーなどとともに成長していく物語だ。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

処理中です...