27 / 34
26 世界一かわいい私の奥さん
しおりを挟むジューンブライド
6月の花嫁は幸せになる
婚約を決めて、結婚の日取りをどうしようかと考えていた時、そんな前世の言い伝えを信じて、6の月に結婚したいとカティに言ってみた。
「昔読んだ 異国の小説に 書いてあったんだ。」
そう言うと、
「素敵ですね。私も 6の月が良いです。季節も穏やかで、とっても良いと思います。エリィ、楽しみですね。」
うっすらと 頬を染めて、恥ずかしそうにカティが笑った。
あの時のカティは本当に可愛かったなぁ…
日本では、6月は梅雨の季節で、天気の心配をする所だったが、ここ、モンステラ王国の王都の6の月は1年で、一番爽やかな季節だ。
毎日、柔かい日差しの 青い空が広がり、雨もあまり降らない。
春と夏の間で、暑くもなく、寒くもなく、至る所に花が咲いて、一番美しい季節とも言える。
青い空が広がる今日。
私達は、王都大聖堂で結婚式を上げた。
街中の人が 集まったのかと思うほど、大聖堂の周りには 人々が集まり、私達の結婚を 祝ってくれた。
街中のモルガン商会系列の店で、小さな花を型どった飴のブーケと、祝い酒が振る舞われ、男も女も、老いも若きも、小さな子供達まで、皆んなが笑顔で 私達に手を振ってくれた。
純白のドレスを身に纏い、真っ白な薔薇の花のブーケを手に持って、ニコニコと 嬉しそうに、私を見つめるカティが、とても可愛い!
あぁ、今日から この世界一 可愛らしい女性が、私の妻になるんだ。
そう 思うだけで、嬉しさで胸が爆発しそうだ。
今日の私は、これまで生きてきた中で、一番浮かれている自信がある。
大聖堂から、私達の新居に 戻って来て、披露宴を行い、沢山の人にお祝いを頂いて、ようやく 新郎である私が 開放されたのは、夜の10時を回っていた。
侍従に手伝ってもらって、湯浴みを済ませ、2人の寝室に向かった。
寝室には先に披露宴会場を退出していたカティが、大きな寝台の端に、ちょこんと座って 私を待っていた。
「お疲れ様でした、エリィ。」
「お待たせしました、カティ。」
2人の目が合った瞬間、お互い恥ずかしくなって、顔が赤くなる。
私は、そろそろと リンゴ一個分位の隙間を開けて、カティの隣に腰をおろした。
夜着姿のカティが色っぽくて、目眩がしそうだ。
「あの… カティ、実は 私はこういう経験は初めてで、上手く出来ないかもしれません… こういう時は、男性がしっかりしないといけないのに、すみません。」
なにせ、前世、今世通して、全く女っ気の無かった私だ。
知識はもちろんあるが、カティを満足させられるか、非常に不安だ。
そんな事を グダグダと頭の中で 考えていると、
「わ…わたしも…こんな経験 初めてなので、上手く出来ないかもしれません。でも、エリィも初めてだって聞いて、今、私はとっても嬉しいし、とっても幸せです。エリィの全部が 私のものだって 自惚れても良いですか?」
何?それ、何なの?
「もちろんです!それなら 私も、カティの全部が私のものだって自惚れます!」
そう言って、カティを引き寄せ、抱きしめた。
唇を合わせ、カティの髪を手櫛ですいて、あらわになった首筋にもキスをする。
天蓋を閉じて、2人だけの世界に閉じこもる。
2人の影が重なって、拙い愛撫をおぎなうように、お互い何度も、
「愛している」
と呟いて、私達は一つになって、愛を確かめあった。
嬉しい、恥ずかしい あの夜から3ヶ月が過ぎた。
今、カティのお腹には、私達の子供がいる。
今、2ヶ月になるらしい。
「おはよう。私達のかわいいジュニア。」
カティのペッタンコのお腹に手を当てて、少し魔力を流してみる。
確かに、カティと、もう一つ 別の魔力を感じる。
カティは、うっとりと お腹に当てた私の手に 自分の手を重ねて、幸せそうに微笑んでいる。
聖母?女神?
カティが 綺麗すぎて、ドキドキか止まりません!
「エリィ?」
「何?カティ。」
「大好きよ。私の素敵な旦那様。」
「私も 愛しているよ。世界一かわいい私の奥さん。」
完
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここまで、読んで頂いてありがとうございます。
これで、本編完結となります。
WEBコンテンツ大賞にエントリーしていたこともあって、今月中に終わらせたいという気持ちがありまして、最後の方は、チョットバタバタでした。まだ、リリの恋とか、アリシア様の恋とか、考えてた事があるので、番外編がかけたらいいなと思ってます。
エールを送ってくれた皆様、お気に入り登録をしてくれた皆様、拙い作品をここまで読んで頂いて 本当にありがとうございました。ⅴⅴ
87
お気に入りに追加
1,338
あなたにおすすめの小説
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。
婚約者は私を愛していると言いますが、別の女のところに足しげく通うので、私は本当の愛を探します
早乙女 純
恋愛
私の婚約者であるアルベルトは、私に愛しているといつも言いますが、私以外の女の元に足しげく通います。そんな男なんて信用出来るはずもないので婚約を破棄して、私は新しいヒトを探します。
私は既にフラれましたので。
椎茸
恋愛
子爵令嬢ルフェルニア・シラーは、国一番の美貌を持つ幼馴染の公爵令息ユリウス・ミネルウァへの想いを断ち切るため、告白をする。ルフェルニアは、予想どおりフラれると、元来の深く悩まない性格ゆえか、気持ちを切り替えて、仕事と婚活に邁進しようとする。一方、仕事一筋で自身の感情にも恋愛事情にも疎かったユリウスは、ずっと一緒に居てくれたルフェルニアに距離を置かれたことで、感情の蓋が外れてルフェルニアの言動に一喜一憂するように…?
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
(本編完結)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?
水無月あん
恋愛
本編は完結してます。8/6より、番外編はじめました。よろしくお願いいたします。
私は、公爵令嬢のアリス。ピンク頭の女性を腕にぶら下げたルイス殿下に、婚約解消を告げられました。美形だけれど、無表情の婚約者が苦手だったので、婚約解消はありがたい! はれて自由の身になれて、うれしい! なのに、なぜ、近づいてくるんですか? 私に興味なかったですよね? 無表情すぎる、美形王子の本心は? こじらせ、ヤンデレ、執着っぽいものをつめた、ゆるゆるっとした設定です。お気軽に楽しんでいただければ、嬉しいです。
1度だけだ。これ以上、閨をともにするつもりは無いと旦那さまに告げられました。
尾道小町
恋愛
登場人物紹介
ヴィヴィアン・ジュード伯爵令嬢
17歳、長女で爵位はシェーンより低が、ジュード伯爵家には莫大な資産があった。
ドン・ジュード伯爵令息15歳姉であるヴィヴィアンが大好きだ。
シェーン・ロングベルク公爵 25歳
結婚しろと回りは五月蝿いので大富豪、伯爵令嬢と結婚した。
ユリシリーズ・グレープ補佐官23歳
優秀でシェーンに、こき使われている。
コクロイ・ルビーブル伯爵令息18歳
ヴィヴィアンの幼馴染み。
アンジェイ・ドルバン伯爵令息18歳
シェーンの元婚約者。
ルーク・ダルシュール侯爵25歳
嫁の父親が行方不明でシェーン公爵に相談する。
ミランダ・ダルシュール侯爵夫人20歳、父親が行方不明。
ダン・ドリンク侯爵37歳行方不明。
この国のデビット王太子殿下23歳、婚約者ジュリアン・スチール公爵令嬢が居るのにヴィヴィアンの従妹に興味があるようだ。
ジュリアン・スチール公爵令嬢18歳デビット王太子殿下の婚約者。
ヴィヴィアンの従兄弟ヨシアン・スプラット伯爵令息19歳
私と旦那様は婚約前1度お会いしただけで、結婚式は私と旦那様と出席者は無しで式は10分程で終わり今は2人の寝室?のベッドに座っております、旦那様が仰いました。
一度だけだ其れ以上閨を共にするつもりは無いと旦那様に宣言されました。
正直まだ愛情とか、ありませんが旦那様である、この方の言い分は最低ですよね?
愛する婚約者は、今日も王女様の手にキスをする。
古堂すいう
恋愛
フルリス王国の公爵令嬢ロメリアは、幼馴染であり婚約者でもある騎士ガブリエルのことを深く愛していた。けれど、生来の我儘な性分もあって、真面目な彼とは喧嘩して、嫌われてしまうばかり。
「……今日から、王女殿下の騎士となる。しばらくは顔をあわせることもない」
彼から、そう告げられた途端、ロメリアは自らの前世を思い出す。
(なんてことなの……この世界は、前世で読んでいたお姫様と騎士の恋物語)
そして自分は、そんな2人の恋路を邪魔する悪役令嬢、ロメリア。
(……彼を愛しては駄目だったのに……もう、どうしようもないじゃないの)
悲嘆にくれ、屋敷に閉じこもるようになってしまったロメリア。そんなロメリアの元に、いつもは冷ややかな視線を向けるガブリエルが珍しく訪ねてきて──……!?
伝える前に振られてしまった私の恋
メカ喜楽直人
恋愛
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。
そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる