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【番外編】アリシアXアリステア⑴
しおりを挟むこれは、まだ 私が1年生だった頃のお話
私の名前は アリシア ウォルガン
モンステラ王国 ウォルガン公爵家の長女であり、モンステラ王国 第2王子 アリステア殿下の婚約者でもあります。
私には 1つ、秘密があります。
それは、この世界のシナリオを 知っていると言う事です。
私は、何故か 生まれた時から 自我があります。
周りの人々が話す言葉が、生まれてすぐの赤子の時から理解出来ました。
そして、生まれてすぐから 魔法が使えたのです。
使えると言っても、欲しい物を引き寄せる程度の弱いものでしたが、身体の中には、たっぷりと魔力がある事を感じました。
私の知っているシナリオは、10歳の時、王家主催の 子供達が集められたお茶会で、アリステア殿下に気に入られ、12歳の時に、婚約者に選ばれます。
王子妃教育の為、毎日 王宮に通うようになり、アリステア殿下と2人仲良く成長していきます。
ですが、15歳の時、学園に通うようになってから、アリステア殿下の様子が、どんどん おかしくなっていきました。
私と殿下は、王族として、1年の時から 生徒会に入る事が 決まっていました。
そして、その生徒会役員の中に 公爵令嬢、オリビア マハナート様がいたのです。
オリビア マハナート様は、四大公爵 序列3位の公爵家の養女で、マハナート家の遠縁の娘を、養女として 迎えたそうです。
満月のような金の瞳に、夜空のような藍色の髪。
美しさと可愛らしさが同居した、愛らしい少女で、政略の駒として、マハナート公爵に気に入られ、養女になったのだろうと、お父様が言っていました。
ですので、公爵令嬢としては、教育が少し足りないと思われる言動が目につきましたが、序列2位のウォルガン家、そして、私を常にライバル視して、色々と 突っかかってくるような彼女が、私は とても苦手でした。
そして、私の婚約者である アリステア殿下を奪おうと、絶えず、隙を狙っていたのです。
そして、オリビア様は、魅了の魔法が付与された魔導具で、アリステア殿下、側近の テリュース グレン様、護衛騎士のロイ ガールさま、教師のマイケル スピアー先生を、次々と 魅了してゆくのです。
すっかり、魅了魔法に侵された アリステア殿下は、学園で いつも オリビア様を横に侍らし、私を 蔑ろにし、私がオリビア様を虐げていると、私を 悪役令嬢に仕立て上げ、あらぬ罪をでっち上げて、婚約破棄の挙げ句、ウォルガン家に謀叛の汚名を着せ、断罪するのです。
私を始め、父、母、兄、弟は皆 ギロチンにかけられ、処刑されてしまいます。
血に塗れた処刑台。
物言わなくなった両親や兄弟達。
私に見せつけるように、あの2人が、笑いながら 私達の処刑を見つめていました。
そして、最後に私の首が落ちると、オリビア様はこらえきれぬとばかりに、高笑いしたのです。
その後、2人は結婚しますが、オリビア様の事を疑っていた 王太子殿下が、私達の冤罪を晴らして下さいました。
なぜ、あんなにも簡単に、私達が処刑されてしまったのか、どうやら マハナート公爵は 陛下にも気持ちを不安にさせる魔導具を使っていたのです。
そのせいで、陛下は常に不安で、裏切りを疑い、自分以外の人間が全て、自分を害そうとしているという妄想に囚われ、少しの疑いでも持つと、すぐさまその者を処断していたそうです。
ウォルガン家の謀叛。
この話を聞いた陛下はすぐ、処刑を言い渡しました。
そして、私達は 噂から1月も置かずに、処刑されてしまったのです。
陛下や弟の様子が余りにもおかしいと、王太子殿下は マハナート公爵を遠ざけ、自分の影を使い、色々調べていたようですが、魔導具の存在を知り、それを 取り上げた時は、全て終わった後でした。
魔法から解けたアリステア殿下は、嘆き、悲しみ、後悔し、愛しい婚約者を処刑してしまった罪に耐えきれず、自ら命を断とうと、何度も自殺をはかるようになります。
幸い、周りの人間が殿下の様子に気づき、自殺を阻止していた様ですが、失敗する度、殿下の心はどんどん壊れていきました。
そして、何度目かの自殺が成功した時、殿下の死に顔は、それはそれは幸せそうに微笑んでいたそうです。
オリビア様には 王国で一番重い処罰が与えられました。
地下牢にて、囚人達にその肉体を与えられ、その後、西の森の[沈黙のテーブル]に一糸纏わぬ姿にされ、張り付けられて、生きたまま 魔物の餌にされるというものでした。[沈黙のテーブル]で処刑された罪人は、骨も残らず、埋葬される事も、墓を作る事も許されず、2度と 生まれ変わる事が出来ないように、輪廻の輪から外されるのです。
オリビア様を利用して、王家を思い通りにしようとしていたマハナート家は没落し、一族は3親等まで、全て、連座で処刑されました。
そんな、記憶を持って生まれた私は、小さな頃は 夢に見て、恐ろしさで何度も泣きました。
(このままでは 駄目だわ。)
私は、図書館に通い、必死に魔法の勉強をしました。
独学では 限界があった為、父に頼んで 魔法師の家庭教師も雇ってもらいました。
10歳になる頃には 状態異常回復魔法を始め、色々な魔法を使えるようになっていました。
10歳の時、アリステア殿下の為に開かれたお茶会で 初めて殿下にお会いしました。
王家の色とされる燃えるような赤い髪に、金の瞳。
幼い頃からとても美しい容姿をしていた殿下に、集められた令嬢達が色めき立ちます。
(この方が、将来 私や私の家族を処刑するのだわ。)
そう思うと、恐ろしくて、私の顔色は真っ白になり、挨拶の時も 声が震えてしまいました。
私はなるべく目立たないように殿下と距離をおいて、その日のお茶会をやり過ごしました。
それからも 何度かお茶会が開かれ、その度に 私は なるべく目立たないように、常に 殿下と距離を置き、壁の花に徹していました。
殿下の婚約者にさえ選ばれなければ、あんな恐ろしい思いをすることも無いのですから…
それなのに、私の努力も虚しく、12歳の時、殿下の婚約者に選ばれてしまい、ならばと、私はどうすれば自然に 殿下の心を守る事が出来るのか 考えました。
直接 殿下に魔法をかければ、それこそ私の方が捕まってしまいます。
色々考えた結果、思いついたのが 殿下に状態異常回復魔法入りの「魔法のお茶」を入れて差し上げる事でした。
早速、私は 私付きのメイドのアンに、
「アン、私に美味しいお茶の入れ方を教えてくれる?」
始めは どうして私がそんな事を言い出したのか?と不思議そうにしていたアンも、
「殿下に入れて差し上げたいの。」
そう言った私に
「まぁ!それはとっても素敵ですね!任せて下さい!」
そう言いながら、アンは嬉しそうに 私に美味しいお茶の入れ方を教えてくれました。
そして、婚約者に選ばれると同時に、王子妃教育が始まりました。
私は、毎日 王宮に通う事になり、王子妃教育の後は、殿下とお茶会をする事が、毎日の日課となりました。
何日かして、王宮に通う事もだんだん慣れてきた頃、私は殿下に
「殿下、私 お忙しい殿下の為に お茶を入れて差し上げたいのですが、ダメでしょうか?」
そう 提案してみました。
普通、貴族令嬢が メイドのように、お茶を入れるなんて、あり得ない事です。
(あぁ、どうか OKだと言って下さい。)
私は ドキドキしながら、殿下のお言葉を待ちました。
「アリシア嬢が入れるの?アリシア嬢は自分でお茶が入れれるの?それは、ぜひ 飲んでみたいな。」
私は 殿下に許しをもらい、我が家から持ってきた 領地で作った中でも 最高級の茶葉を使い、殿下の興味津々の 眼差しに見守られ、丁寧にお茶を入れました。
実は、我がウォルガン公爵領は、王国一の茶葉の産地である為に、私がお茶を入れるという行為が あまり違和感無く受け入れられる事を見越して 殿下に「魔法のお茶」を 毎日お出しする事で 殿下を守ろうと思ったのです。
「元気になぁれ」
最後に魔法をかけると、お茶がポウッと金色に淡く輝きます。
「それは何?今、ほんのり光ったよね!」
殿下は、目を丸くさせて、私に聞いてきます。
「うふふ… 殿下のお疲れが取れるように、おまじないをかけました。どうぞ。」
メイドが毒見をした後、殿下に私の入れたお茶か出されました。
「いただきます。」
殿下はまず 香りを嗅ぎ、そしてお茶を一口飲みました。
「美味しい… それに、何だか頭がスッキリして、身体の疲れが取れたような気がするよ。」
そう言って、2杯目のおかわりまでして下さいました。
どうやら殿下のお気に召したようです。
(良かった…)
それから、私は、王宮に行く度、殿下とお茶会を開き、お茶に 状態異常回復魔法をかけ続けました。
毎回、私の入れるお茶を嬉しそうに飲む アリステア様。
「シアの入れてくれるお茶が 一番美味しいよ。飲まない日は、何だか 疲れが取れなくて 落ち着かないんだ。これからも、ずっと、私に 美味しいお茶を 入れて欲しいな。」
「もちろんです、そう言っていただけて とても嬉しいですわ ステア様。」
いつからか、私達は お互いを 愛称で 呼び合うようになり、穏やかで、幸せな毎日を 過ごしました。
ステア様とのお茶会には、時々、王妃様や、王太子様も参加する事があり、私の「魔法のお茶」を大層 褒めて下さいました。
そして、私達は15歳になり、いよいよ学園に通うようになりました。
ーーーーーーーーーーーーー
番外編をはじめました。
アリシアとアリステア殿下を愛称呼びに変更してます。
⑴アリシアxアリステア
⑵アルバート
⑶アレクセイxリリアーナ
最終は3月20日(水)です。
よろしくお願いします。
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