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第三部
パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 1 ③
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――ただ、これ、あいつが新しく好きな人間ができたとか言い出したら、話も変わってくるんだよな。……たぶん。
ちら、と改めて荻原に目を向ける。昔は「軽い」、「しつこい」だの言って嫌がっていたくせに、最近は少し心を許していることが傍目にもよく見て取れていた。
行動をともにする時間が増えて、表面的でない部分を知ったからなのだろう。なんというか、わかりやすいよな、と思う。
いわゆる威圧的でない優しげなタイプが好きで、いかにもアルファといった硬質なタイプには距離を取る。それが榛名のスタンダードだ。
だから、優しいかどうかはさておいて、親しげな雰囲気をつくり出すことがうまい成瀬や茅野に素直に安心を覚えて懐くし、アルファという圧を隠さない向原や本尾といった上級生を、ある意味で正しく怖がる。
いや、でも、その理論で言えば、もう少しくらい俺に懐いてもよくないか? と思いかけたところで、皓太ははたと我に返った。なんだか、思考が妙な方向に流れかけていた気がする。
「でも、まぁ、榛名ちゃんのことは、高藤がもうちょっとちゃんと聞いてあげたらいいと思うんだけどさ」
「いや、聞いたと思うんだけど」
「だから、ちゃんとだってば。ちゃんと。意地張りやすい子だってわかってるんだから、うまく誘導してあげたらいいじゃん。そうやって高藤まで意地張ってると、またおいしいとこ会長に持っていかれるよ……って、もう会長じゃないんだったな、あの人。成瀬先輩か。言い慣れないな」
「いや、べつに、それはどっちでもいいんだけど」
本当に、そんなことはどうでもいい。うんざりと皓太は首を振った。今は自分が会長だとかなんだとか、そんなふうに張り合うつもりもさらさらなかったので。
「俺、実は、気になってることがあってさ」
「気になること? 榛名のことで?」
「いや、よっちゃん」
「あぁ」
おまえ、最後の一撃の手助けしたとかで気にしてたもんな、とまでは言わず、相槌を打つ。その後、気にしておくよ、と言っていたので、気をつけて見てくれた結果なのだろうとわかったからだ。
生徒会の引き継ぎが最悪の想定よりははるかにスムーズに進んで一安心はしているものの、余裕があるとは口が裂けても言えない有様なので、荻原が細やかに配慮してくれていることも、正直なところものすごく助かっている。
「確証のない話だから、あんまり大きな声では言いたくないんだけど。……その、特に教室では」
「教室ではって」
覚えた嫌な予感におのずと声のトーンが下がる。その反応に、荻原が、はは、と力なく笑って眉を下げた。
「そう、ハルちゃん」
「……」
「証拠もなにもないし、俺の想像の域を出ないはなしなんだけどさ」
「……うん」
やっぱりなぁ、と溜息まじりに頷く。表面上は穏やかを装い続けていたことが、また気持ち悪かったんだよなぁ。
ちら、と改めて荻原に目を向ける。昔は「軽い」、「しつこい」だの言って嫌がっていたくせに、最近は少し心を許していることが傍目にもよく見て取れていた。
行動をともにする時間が増えて、表面的でない部分を知ったからなのだろう。なんというか、わかりやすいよな、と思う。
いわゆる威圧的でない優しげなタイプが好きで、いかにもアルファといった硬質なタイプには距離を取る。それが榛名のスタンダードだ。
だから、優しいかどうかはさておいて、親しげな雰囲気をつくり出すことがうまい成瀬や茅野に素直に安心を覚えて懐くし、アルファという圧を隠さない向原や本尾といった上級生を、ある意味で正しく怖がる。
いや、でも、その理論で言えば、もう少しくらい俺に懐いてもよくないか? と思いかけたところで、皓太ははたと我に返った。なんだか、思考が妙な方向に流れかけていた気がする。
「でも、まぁ、榛名ちゃんのことは、高藤がもうちょっとちゃんと聞いてあげたらいいと思うんだけどさ」
「いや、聞いたと思うんだけど」
「だから、ちゃんとだってば。ちゃんと。意地張りやすい子だってわかってるんだから、うまく誘導してあげたらいいじゃん。そうやって高藤まで意地張ってると、またおいしいとこ会長に持っていかれるよ……って、もう会長じゃないんだったな、あの人。成瀬先輩か。言い慣れないな」
「いや、べつに、それはどっちでもいいんだけど」
本当に、そんなことはどうでもいい。うんざりと皓太は首を振った。今は自分が会長だとかなんだとか、そんなふうに張り合うつもりもさらさらなかったので。
「俺、実は、気になってることがあってさ」
「気になること? 榛名のことで?」
「いや、よっちゃん」
「あぁ」
おまえ、最後の一撃の手助けしたとかで気にしてたもんな、とまでは言わず、相槌を打つ。その後、気にしておくよ、と言っていたので、気をつけて見てくれた結果なのだろうとわかったからだ。
生徒会の引き継ぎが最悪の想定よりははるかにスムーズに進んで一安心はしているものの、余裕があるとは口が裂けても言えない有様なので、荻原が細やかに配慮してくれていることも、正直なところものすごく助かっている。
「確証のない話だから、あんまり大きな声では言いたくないんだけど。……その、特に教室では」
「教室ではって」
覚えた嫌な予感におのずと声のトーンが下がる。その反応に、荻原が、はは、と力なく笑って眉を下げた。
「そう、ハルちゃん」
「……」
「証拠もなにもないし、俺の想像の域を出ないはなしなんだけどさ」
「……うん」
やっぱりなぁ、と溜息まじりに頷く。表面上は穏やかを装い続けていたことが、また気持ち悪かったんだよなぁ。
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