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第184話 海底ダンジョン 上層ボス戦

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それから“直接魔法転移“で無双し続け、20層のボス部屋前に到着した。

上層の魔物は前世の寿司屋で出てくる魚介類の魔物ばかりで、もはや海鮮ツアーに参加しているような気分だ。



『…でもボス戦は落ち着いて挑もう。』



深呼吸をした後扉に触れると、一気に膨大な魔力が吸い取られた。

それは初心層の何十倍、そして俺の最大MPの1/5ほどの量だ。



『くっ…!?!?まだ二体目のボスだぞ…!?!?』



これはなかなかの強敵かもしれない。

最初から全力で攻撃し、最速で仕留めよう。



MPが全快したので自身に全バフをかけ、そして“並列思考“で“直接魔法転移“の準備をした。

それだけでなく、“ウェポンマスター“も行使して自身の背後に何百本もの剣を浮かべた。



『ふぅ…よし、行くぞ!』



勢いよく扉を開けて目の前を見ると、そこは非常に広い海の中で、何百匹もの巨大サメが泳いでいた。

体長は7mほどで、軽々と俺を丸呑みできるだろう。



『噛みつかれたらひとたまりもないな…』



“気配遮断“のおかげでこちらに気付いている様子はないので、落ち着いて“鑑定“で能力を測った。

すると、周囲を泳いでいる巨大サメの魔物はさほどステータス値が高くなかった。



『どういうことだ…?吸われた俺の魔力は一体どこに…?』



“レーダー“を行使してみると、ボス部屋の最悪に強大な魔力反応があった。

“千里眼“で観測すると、その魔力反応は体長50cm程の小さなサメの魔物だった。



『え…?いや、見た目で判断しちゃだめだ。』



魔物は基本的に、魔力を吸収すると巨大化する。

しかし、それは第一段階に過ぎない。



魔力を吸い続けて許容量の最大に達すると、突然変異を引き起こすのだ。

俺はこの魔物を変異種だと睨んでいる。



『なっ…!?なんだ…こいつは…!?!?』



その小さなサメの魔物を“鑑定“すると、そのステータス値は俺の半分に至らんとしていた。

周囲を泳ぐ巨大サメ全てのステータスを足しても、この小さなサメには全然届かない。

予想通り、個体名のところに(変異種)と記載されていた。



『まじか…強過ぎだろ…』



その上、死の魔力吸収によりユニークスキル“統率“を習得している。

効果は自身より総合ステータス値の低いものを従えることができるというものだ。



おそらくあの変異種に見つかったら、数百匹の巨大サメの魔物の群れが襲いかかってくるだろう。



『…ここは“直接魔法転移“一撃で倒せなかった場合に備えて先に巨大サメの魔物を殲滅するべきか。』



一体一体の距離が離れているので、魔法で倒すのは難しいだろう。

ここは“ウェポンマスター“で串刺しにするのがベストか…



俺は“ウェポンマスター“で操っている数百本の剣に、全てのバフを最大限にかけた。

これで一本当たり一体を倒せるだろう。



『行け!!!』



数百本の剣を全て同時に、かつ高速で動かして一体また一体と巨大サメの魔物を仕留めていく。

ボス部屋はたくさんの血が漂い、海水が赤く濁り始めた。



巨大サメの魔物を全て仕留め終え、これで変異種の“統率“スキルを封じた。

すると、血の匂いに反応したのか変異種が同族喰いを始めた。



『…今のうちだ!』



食べるのに夢中になっているところに“ウェポンマスター“で剣を飛ばした。



『なっ…!?!?』



剣をぶつけた瞬間、ガキンッと金属音がして剣が折れた。

変異種の表皮はまるでオリハルコンのように硬く、バフをかけた鉄の剣では傷さえつけられなかった。



変異種は攻撃されたにも関わらず、食事を続けている。

俺の攻撃など取るに足らないということか…



『…これで仕留めてやる!』



予め用意していた“並列思考“で瞬時に座標を把握し、同時に風属性魔法限界突破Lv.1“暴風球“をストックした。

表皮が硬いとしても、中身は柔らかいに違いない。



『くたばれぇぇ!!!!!』



次の瞬間



身体が膨張し、大量の血が滲み出てきた。

内臓や筋肉がぐちゃぐちゃになったのだろう。

しかし、これでも強靭な表皮を破ることはできなかった。



変異種は自身の死を悟ったのか、最期の一撃を俺に与えようと力を振り絞り、凄まじい勢いでこちらに泳いできた。

俺は結界魔法“絶対不可侵結界“を何十枚も展開し、その突進を止めようと試みた。



徐々に距離が詰まっていき、ついに結界の目の前にまで迫って来た。

そして口を大きく開け、最外殻の結界に噛みついた。



『…これで終わりだ!』



結界を解除し、片手剣スキル”レイドジェノス”で変異種を切り裂いた。

限界突破魔法さえも耐えた強靭な表皮だったが、海王の片手剣を使えば容易に斬り裂けた。



『やっと倒せたか…』



最期まで敵に一矢報いようとする姿は非常に勇敢なものだった。

もし出会うのがダンジョンではなくフィールドだったら、是非”テイム”したかった。



『…仕方ないか。』



巨大サメのドロップは歯とフカヒレで、変異種のドロップはサメ肌だった。

あれほど強靭なサメ肌を使えば、非常に頑丈な装備が作れるだろう。

今度屋敷に帰ったときに作ろう。



それから”鑑定&略奪”で”統率”を習得し、転移門を開通させて安全地帯で休んだ。
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