異世界転生録~死と隣り合わせのこの世界で死なないため、力を付けます!!~

島津穂高

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第185話 海底ダンジョン 中層①

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安全地帯で上層の魔物からドロップした海鮮類を調理し、美味しくいただいた。

どれもドロップしてすぐに“アイテムボックス“に収納して鮮度を保ったので、街で売られているもの以上に美味しかった。



『ふぅ…一休みしたし中層行くか。』



上層ボスの時点で手強い敵となっていたので、俺は油断せずにバフをかけて結界を展開して21層へ下った。

そこは真っ暗な海だった。



『深海か…最悪だな…』



前世で友人に勧められて深海に潜るホラーゲームをしてからというもの、完全にトラウマになってしまったのだ。



『この機会に克服できたらいいのだが…ん?』



結界がピシピシと音を立てて何かを防いでいる。

水圧だろうか…?



そんなことを考えていると、遠くで光の玉がふわふわと漂い始めた。

それは一つまた一つと増えていき、気が付けば前方を封鎖されていた。



『アンコウの魔物か…?顔怖いんだよな…』



“3Dレーダー“で周囲を索敵すると、なんと数十匹の反応に囲われていた。

そして、そのうちの一体が物凄い勢いでこちらに近づいてくる。



『なっ…!?!?』



俺は急いで“並列思考“で魔法をストックし、次々と光の玉目掛けて風属性魔法限界突破Lv.1“暴風球“を“直接魔法転移“した。

ゴゴゴゴゴゴゴ…という大地が揺れるような音と同時に、反応が次々消滅していく。

これはアンコウの魔物の断末魔だろうか…?



『…断末魔を上げるってことは”暴風球”を行使しても即死させられていないってことか…』



今までの魔物は全て、相手が何か行動を起こす前に”暴風球”で粉々になっている。

アンコウはHP総量が多いということだろう。



『…このままちゃちゃっと仕留めよう。』



”並列思考”の片方で”暴風球”をストックしてはもう片方で”直接魔法転移”を繰り返し、数十分が経った。

何とか全滅させることに成功し、ひとまずこれで落ち着いて探索できる。



『ふぅ…死体を確認してみるか。』



少し前方に進むと、予想通りアンコウの魔物の死体がうようよと漂っていた。



『…怖いな。』



怖いのは顔面と鋭い歯だけではない。

”3Dレーダー”で確認したときは攻撃で忙しくて敵の方を見れなかったが、最低でも体長10m以上はあったのだ。

もし魔法を習得しておらず、武技で挑むしかなかったとしたら…考えるだけで恐ろしい。



『神様、魔法を使えるようにしてくれてありがとうございます…!!』



死体を”鑑定”すると、魔物スキルは”灯火”という身体の一部を光らせるスキルだった。

これは光属性魔法”ライト”などで応用が効くので、”略奪”はしないでおいた。



ドロップはアンコウの肉と提灯だった。

肉はあんこうの唐揚げにして後でいただこう。



その後、暗くて一寸先も見えないので、”ライト”をフィールド全体にいきわたるよう均等に配置し、明るくして探索をした。



探索を始めて数十分



五つの宝箱が一つの場所に集まっているのを見つけ、五つの内二つは弱い罠、二つに”毒魔法”の際と同じくらい強力な罠、そして一つに非常に強力な罠が仕掛けられていた。



『これは期待できるぞ…!!』



まずは弱い罠が仕掛けられた二つの宝箱を開けた。

こちらは”力のアンクレット”と”体力のアンクレット”だった。



『アンクレットって確か…足に着けるやつだよな?』



蟲のダンジョンの獲得品と被らないようでよかった。

しかし、あまり派手な装飾品を付けまくっていると悪徳貴族のような格好になってしまうので、それは控えよう。



次に強い罠が仕掛けられた二つの宝箱を開けた。

こちらは”水中跳躍の靴”と”水中飛行の服”、”水中呼吸の兜”だった。



『効果が付与された品か…!それも海底ダンジョンに特化してる…!でも”水中呼吸”と”水中移動”のスキル持ってるから要らないな。』



地上に持ち帰ってオークションに出品したら、おそらく金貨数十枚は下らないだろう。

…だが、お金には困っていないのでわざわざ出品しに行くのは面倒だ。



『…”アイテムボックス”で眠ってもらうか。』



最後に、強力な罠が仕掛けられた宝箱だ。

魔法のスクロールより強力なものとなると、まさか古代魔法だろうか…?



”罠解除”で罠を解き、唾を飲み込んでからゆっくりと蓋を開けた。

すると、中には古びた本が入っていた。



『本当に古代魔法の魔法書が…!?』



”言語理解”でタイトルを読んでみた。



「伝説の都市は実在した!!」



と書かれていた。



『…とりあえず読んでみるか。』



中身はまるで前世のファンタジー小説のような、心躍る展開のストーリーが書かれていた。

地下に眠る機械文明や天空に浮かぶ立派な城、オリハルコンで作られた巨大な街など…様々だ。



「これは…ロマンであふれてるな!!時間はたっぷりあるし今度巡ってみるのもいいかもしれない!!」



ただ一つ気がかりなのは、



「我々は皆Lv.500を超えており、世界で一番強いと言っても過言ではなかった。しかし、海底ダンジョンの最深部にあると言われる人魚の街にだけはたどり着けなかった…どうか我々の意思を引き継ぎ、人魚の街に辿り着く者が現れることを願う。」



という記述が本の裏表紙に書かれていたことだ。



『Lv.500以上の集団がたどり着けなかっただと…!?』



俺はソロだが、Lvは624で強力なスキルもたくさん習得している。

Lv.500超えの集団と戦っても勝てる自信がある。



『…俺がその意思を引き継ごう。』



…まあ”七つの大罪シリーズ”の収集ついでなんだけどな。
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