異世界転生録~死と隣り合わせのこの世界で死なないため、力を付けます!!~

島津穂高

文字の大きさ
174 / 188

第174話 蟲のダンジョン 中層①

しおりを挟む
それから安全地帯で”腐蝕”スキルを実験した。

効果は体験した通り、物質的なものすべてを腐らせ溶かすというものだ。

自身にも付与することができるが、付与しすぎると自分も腐って溶けるらしい。



『…自身への付与は辞めておこう。』



転移門を開通していわゆるセーブポイントを設置した後、11層に登った。

そこは洞窟の中のように狭い道が続いており、所々で岩が溶かされたような跡がある。



『ここの層の魔物は酸を使うのか…?』



岩がドロドロになるということは、かなりの強酸だ。

掠るだけでも身体が溶けるだろう…



『できれば対面は避けたいな…あ、そうだ。さっき思いついた戦法使ってみるか。』



俺は”レーダー”でこの層に俺以外の人族や魔族がいないことを確認し、そして毒魔法”デッドリーポイズンエリア”を11層全体に広がるように行使した。

そう、広範囲毒殺だ。

これならMPを結構消費するが、少し待つだけで魔物を一掃できる。



『我ながらえげつない戦法を思いついてしまった…』



待つこと数分



ステータスを眺めていると、経験値がどんどん流れ込んできた。

やっと毒が回って死んだのだろう。



『…よし、じゃあ進むか。』



少し直進すると、開けた場所に出た。

そこには蟻の魔物の死体がゴロゴロと転がっていた。



『なるほどな…あの強酸は蟻酸だったのか。』



便利な魔物スキルだったら”略奪”しようと思ったが、強酸を吐くという人間離れしたものだったので遠慮しておいた。



ということは、11層は巨大な蟻の巣状の場所ということだ。

そう考えると、穴を掘っているかもしれないので罠を警戒して進んだ方がよさそうだ。



俺は常に”レーダー”と”罠探知”を行使して注意しながら進んだ。

予想通り、道の至る所に穴が掘られて道が複雑化していた。



『…”マッピング”面倒くさいけど頑張るか。』



そして数十分移動し続け、思ったことがある。



『…宝箱が全然見つからない。』



おそらく11層の大方は”マッピング”し終えているだろう。

それにも関わらず、まだ宝箱を一つも見かけていない。



『どういうことだ…?』



まさか蟻酸で宝ごと溶かされてしまったのか…?

いや、もしそうだとしてもダンジョン型魔物が再設置するはずだ。



ではそもそもこの層には宝箱が無いのか…?

いや、そうしたら侵入する冒険者の数が減ってダンジョン型魔物が損をする羽目になる。



『…っ!!まさか…穴の中にあるのか…?』



まだ”マッピング”していないところといえば12層に続く階段までの数十メートルと縦穴、つまり落とし穴の中だけだ。



『…一度確認してみるか。』



俺は風属性魔法を行使して宙に浮き、すぐ後ろにあった落とし穴の中を光属性魔法”ライト”で照らしながらゆっくりと降りていった。



『ん…?底に何かあるな。』



”ライト”の光球を底の方に移動してみると、予想通り宝箱があった。

早速宝箱を開けるべく”罠探知”を行使すると、”毒魔法”の時と同じくらい強い反応があった。



M おっ…!!これは期待できるな!!』



普通では見つからないような場所に設置されており、しかも強い罠が仕掛けられている…

相当レアな代物に違いない!



俺は”罠解除”で罠を取り外し、蓋を開けた。

宝箱の中身は、”アジリティーリングS”というものだった。

効果は敏捷性60%増加、攻撃力10%低下だった。



『おぉ…!!当たりだ!!!』



この〇〇%増減は元の値に作用するようで、また”ストレングスリング”の効果と同時に装備しても効果を発揮できるようだ。

…ということは最大で十個同時に装備できるということだ。



『ワンチャン足の指にもつけて二十個行けるか…?』



”ストレングスリング”も”アジリティーリング”もデザインはシンプルなので、たくさん付けていても悪趣味には見られないだろう。

…おそらく。



『ま、まあ気を取り直して他の宝箱も探しますか!!』



それから合計3つの宝箱を見つけたが、どれも”〇〇のリング”系だった。

こちらは予想を外してしまった。



『おかしいな…どれも見つかりにくい場所に設置されてたけど…』



考えてもわからなさそうなので、素直に攻略本をカンニングしよう。



「本来は道の端や行き止まりの広場に設置される宝箱だが、この層では縦穴の底に移動されていることが多い。
これはダンジョンが意図的に設置したのではなく、設置された宝箱を魔物が移動したことで起きている事象である。
よって、特別な宝箱というわけではないので中身は他のものと同じである。」



とのことだ。

つまり”アジリティーリング”を見つけたのは偶然だったらしい。



『紛らわしいわ!!ダンジョン側も一回撤去して見つかりやすい場所に再設置してくれればいいのに…!!』



文句を言ってもどうしようもないので、先に進もう。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

処理中です...