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第173話 蟲のダンジョン 下層ボス戦
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俺は”隠蔽”を解除し、死の魔力を開放した。
『…よし、行くか。』
巨大な扉に触れると、突然扉に魔力が吸われた。
それも、結構な勢いで。
『くっ…!?罠か…!?』
しかし罠ではなかったようで、数秒後魔力の吸収が終わった。
結果的には最大MPの十分の一ほどしか吸収されなかった。
そして扉に紋章のような模様が光り始めた。
『なんだ…これは?』
本を開いて調べていると、この紋章に関する記述があった。
「ダンジョン型魔物の一番の養分は、悪魔が用いている死の魔力である。階層主の扉に右の紋章が現れるほど死の魔力を吸収させた場合、その階層主は一段と強くなっていることだろう。同時に、得られる報酬も良くなる。尚、強さが変わるのは階層主だけである。」
つまり、ボスが強くなる分ドロップも期待できるということだ。
念願の装備品ドロップを得られるかもしれない。
『…一応万全を期して挑むか。』
死の魔力が吸収されてから、扉の向こうから並々ならぬ気配がだだ洩れている。
舐めてかかったら怪我をしそうなほど強化されているようなので、自身に持ちうる全てのバフをかけた。
『…行こう。』
扉を開けると、目の前には何も居なかった。
『…上か!!!』
”気配察知”に反応があり、見上げると巨大な蜘蛛が巣のところにいた。
”鑑定”によると、個体名はビッグポイズンスパイダーで体長は十メートルほど。
ステータス値はそこまで死の魔力を吸われていなかったためかグレイの五分の一程度だが、ユニークスキル”腐蝕”が厄介だろう。
ビッグポイズンスパイダーは俺に気付くや否や毒性のある糸を口から吐いて攻撃してきた。
俺は自身の周りに結界魔法”絶対不可侵結界”を展開してそれを難なく防いだ。
…はずだった。
『なっ…!!結界が…溶かされた…!?』
結界がボコボコと音を立てながら溶けていき、溶けた液体が地面に垂れた。
すると、その液体が落ちた地面もまた溶け始めた。
『これが”腐蝕”の効果か…』
思っていた以上に厄介なようだ。
今まで海龍の規格外れな古代魔法以外どんな攻撃も防いだ”絶対不可侵結界”が、いとも簡単に破られてしまった。
俺は対応策として自身の周りに”絶対不可侵結界”を数十枚展開し、防御を固めた。
ビッグポイズンスパイダーの糸攻撃が終わると同時に、相手の防御力を試すため風属性魔法”ウインドカッター”を放った。
『ステータス差は大きいから流石に効くだろ。』
…そう思っていたが、浅はかだった。
”腐蝕”の効果は攻撃だけでなく自身の身体にも付与されていたようで、足の一本で軽々無効化されてしまった。
『くっ…!すぐに溶かされないほどの威力が無いと直接攻撃は通じないか…』
ならば範囲攻撃をするまでだ。
俺は風属性魔法限界突破Lv.1”暴風球”を右手にストックした。
”暴風球”はまるでハリケーンそのものを凝縮したようだ。
以前山に向かって行使したところ、木々がなぎ倒されて宙に浮くだけでなく、山肌は酷く抉れて一部では溶岩が漏れ出した。
『…ボス部屋壊れたりしないよな?』
本には”ダンジョン内の物は全て”破壊不能”の効果が付与されているらしいが、少し心配だ。
…しかしいつまでも攻めあぐねていたらこちらがやられてしまう。
『…なんとでもなれ!!!』
俺はビッグポイズンスパイダーに向かって”暴風球”を行使した。
規模と威力が大きいため”腐蝕”しきれなかったようで、見事直撃させることに成功した。
『よし…!!』
周囲の瞬間最大風速はえげつないほどになっていそうだが、俺は”絶対不可侵結界”のおかげでなんともない。
…今でも”絶対不可侵結界”がまるでバターのように溶かされたことが信じられない。
『…って”絶対不可侵”じゃなくね?”腐蝕”に浸食されてるじゃん…』
そんなことを考えていると、”暴風球”で粉々になったビッグポイズンスパイダーの欠片が降って来た。
一撃で倒せたようでよかった。
魔人化を恐れて最近は控えていたが、使い道が多そうなので”鑑定&略奪”で”腐蝕”を習得した。
そして肝心のドロップアイテムは、”ストレングスリングS”という指輪だった。
効果は攻撃力60%上昇、防御力10%低下だった。
『マイナス効果が付いてるのか…でも比率で考えたら大したことないか!!』
とりあえず先にある転移門開通してから安全地帯で休もう。
食事をとりながら”アイテムボックス”を整理していると、今まで読んでいた”ダンジョンの場所と歴史”とは別に”〇〇ダンジョン攻略法”と言った攻略本を見つけた。
『こんなの持ってたっけ?…まあいいか。』
試しに”蟲のダンジョン攻略法”を読んでみた。
「蟲のダンジョンは全31層で構成されており、階層主はそれぞれ10層ごとに現れる。30層と31層は連戦になるので、気を付けるように。では1層の魔物の攻略法を書き記そう。個体名は…」
古代文字なのはさておき、非常に丁寧に、かつ抜け目なく書かれていた。
これを読めば完全攻略できること間違いなしだろう。
『まじか…でも前世からそうだけど攻略本は読まずに自分で答えを導き出したいんだよな。その方が楽しいし…』
行き詰ったときまでなるべく見ないようにしよう。
攻略後に読んで、レアアイテムやレア素材を見逃していたら二周目の攻略をすればいいだろう。
”魔王候補者”になったおかげで時間は無限にあるのだから。
『…よし、行くか。』
巨大な扉に触れると、突然扉に魔力が吸われた。
それも、結構な勢いで。
『くっ…!?罠か…!?』
しかし罠ではなかったようで、数秒後魔力の吸収が終わった。
結果的には最大MPの十分の一ほどしか吸収されなかった。
そして扉に紋章のような模様が光り始めた。
『なんだ…これは?』
本を開いて調べていると、この紋章に関する記述があった。
「ダンジョン型魔物の一番の養分は、悪魔が用いている死の魔力である。階層主の扉に右の紋章が現れるほど死の魔力を吸収させた場合、その階層主は一段と強くなっていることだろう。同時に、得られる報酬も良くなる。尚、強さが変わるのは階層主だけである。」
つまり、ボスが強くなる分ドロップも期待できるということだ。
念願の装備品ドロップを得られるかもしれない。
『…一応万全を期して挑むか。』
死の魔力が吸収されてから、扉の向こうから並々ならぬ気配がだだ洩れている。
舐めてかかったら怪我をしそうなほど強化されているようなので、自身に持ちうる全てのバフをかけた。
『…行こう。』
扉を開けると、目の前には何も居なかった。
『…上か!!!』
”気配察知”に反応があり、見上げると巨大な蜘蛛が巣のところにいた。
”鑑定”によると、個体名はビッグポイズンスパイダーで体長は十メートルほど。
ステータス値はそこまで死の魔力を吸われていなかったためかグレイの五分の一程度だが、ユニークスキル”腐蝕”が厄介だろう。
ビッグポイズンスパイダーは俺に気付くや否や毒性のある糸を口から吐いて攻撃してきた。
俺は自身の周りに結界魔法”絶対不可侵結界”を展開してそれを難なく防いだ。
…はずだった。
『なっ…!!結界が…溶かされた…!?』
結界がボコボコと音を立てながら溶けていき、溶けた液体が地面に垂れた。
すると、その液体が落ちた地面もまた溶け始めた。
『これが”腐蝕”の効果か…』
思っていた以上に厄介なようだ。
今まで海龍の規格外れな古代魔法以外どんな攻撃も防いだ”絶対不可侵結界”が、いとも簡単に破られてしまった。
俺は対応策として自身の周りに”絶対不可侵結界”を数十枚展開し、防御を固めた。
ビッグポイズンスパイダーの糸攻撃が終わると同時に、相手の防御力を試すため風属性魔法”ウインドカッター”を放った。
『ステータス差は大きいから流石に効くだろ。』
…そう思っていたが、浅はかだった。
”腐蝕”の効果は攻撃だけでなく自身の身体にも付与されていたようで、足の一本で軽々無効化されてしまった。
『くっ…!すぐに溶かされないほどの威力が無いと直接攻撃は通じないか…』
ならば範囲攻撃をするまでだ。
俺は風属性魔法限界突破Lv.1”暴風球”を右手にストックした。
”暴風球”はまるでハリケーンそのものを凝縮したようだ。
以前山に向かって行使したところ、木々がなぎ倒されて宙に浮くだけでなく、山肌は酷く抉れて一部では溶岩が漏れ出した。
『…ボス部屋壊れたりしないよな?』
本には”ダンジョン内の物は全て”破壊不能”の効果が付与されているらしいが、少し心配だ。
…しかしいつまでも攻めあぐねていたらこちらがやられてしまう。
『…なんとでもなれ!!!』
俺はビッグポイズンスパイダーに向かって”暴風球”を行使した。
規模と威力が大きいため”腐蝕”しきれなかったようで、見事直撃させることに成功した。
『よし…!!』
周囲の瞬間最大風速はえげつないほどになっていそうだが、俺は”絶対不可侵結界”のおかげでなんともない。
…今でも”絶対不可侵結界”がまるでバターのように溶かされたことが信じられない。
『…って”絶対不可侵”じゃなくね?”腐蝕”に浸食されてるじゃん…』
そんなことを考えていると、”暴風球”で粉々になったビッグポイズンスパイダーの欠片が降って来た。
一撃で倒せたようでよかった。
魔人化を恐れて最近は控えていたが、使い道が多そうなので”鑑定&略奪”で”腐蝕”を習得した。
そして肝心のドロップアイテムは、”ストレングスリングS”という指輪だった。
効果は攻撃力60%上昇、防御力10%低下だった。
『マイナス効果が付いてるのか…でも比率で考えたら大したことないか!!』
とりあえず先にある転移門開通してから安全地帯で休もう。
食事をとりながら”アイテムボックス”を整理していると、今まで読んでいた”ダンジョンの場所と歴史”とは別に”〇〇ダンジョン攻略法”と言った攻略本を見つけた。
『こんなの持ってたっけ?…まあいいか。』
試しに”蟲のダンジョン攻略法”を読んでみた。
「蟲のダンジョンは全31層で構成されており、階層主はそれぞれ10層ごとに現れる。30層と31層は連戦になるので、気を付けるように。では1層の魔物の攻略法を書き記そう。個体名は…」
古代文字なのはさておき、非常に丁寧に、かつ抜け目なく書かれていた。
これを読めば完全攻略できること間違いなしだろう。
『まじか…でも前世からそうだけど攻略本は読まずに自分で答えを導き出したいんだよな。その方が楽しいし…』
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