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第172話 蟲のダンジョン 下層②

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“毒魔法“を解除し、宝箱に近づいた。

“罠探知“を行使したが、こちらは罠が仕掛けられていなかった。

宝箱を開けると、中身はボロボロの鉄の片手剣だった。



『…まあそうだよな。さっきが異常だったんだ。』



少し落ち込んだが、気を取り直して攻略を再開しよう。

最後に十字路の真ん中、レイドパーティが通った道を進んだ。



見つけた敵は殲滅してくれているようで、特に戦闘もせずに進み、そして二層へ続く階段に到着した。



『いいペースだな。この調子で進もう。』



階段を登って二層に到達すると、今度は曲がりくねった道で構成されていた。

そのため、三層へ続く階段までの距離は長いと思われる。



『ちょっと早めに歩くか。』



しばらく道なりに進んだが、岐路が見つからない。

なので彼らが一掃してくれているので戦闘もまだしていない。



『楽は楽だけど…“マッピング“だけしてるのもつまらないな。』



そんなことを思っていると、十字路に出た。

彼らの足跡が左側の道にあるので、三層へ続く階段はそちら側にあるのだろう。

俺は右側の道に進んだ。



歩くこと数分、二層の魔物と初エンカウントをした。

二層は蚕の魔物のようで、見つかった瞬間に三体ともが口から糸を出して攻撃してきた。



『危ねっ!交戦的だな…』



俺は少し距離を取って“デッドリーポイズンエリア“を行使した。

蚕の魔物はHPがそこまで高くなかったようで、一、二秒で倒せた。

ドロップは想像通り、上質な糸だった。



『そういえばGからはドロップしなかったな。…まあ拾いたくないしちょうど良かったか。』



その先の宝箱に“罠探知“を行使すると、反応があったが毒魔法のスクロールのときほど強い反応ではなかった。

ボロボロの鉄の武器より多少は期待できるだろう。



蓋を開けると、“生命のリングD“という指輪だった。

効果はHP総量を100増やすと言うものだった。



『レアっぽいけど+100かぁ…せめて+○割だったらHP総量多いし使い道あったんだけどな…』



俺は海王の防具と海王のローブ以外に装備を付けていない。

なので、是非ダンジョンで良さげな装飾品を手に入れて装備したい。



『…気を取り直して次行くか。』



十字路に戻り、今度は中央の道に進んだ。

こちらも同じ手段で蚕の魔物を倒し、宝箱に辿り着いた。



こちらは“罠探知“に反応がなかったのでハズレだ。

一応中を見ると、ボロボロの鉄の短剣だった。



『“ウェポンマスター“で直線的に飛ばす武器として使えるな。今まで手に入れた全部“リペア“で鉄の剣に直しておくか。』



俺は物を捨てるのがもったいなく感じて躊躇い、前世ではゴミの山が出来てしまっていたが“アイテムボックス“のおかげで実害はない。

…その内部はさておき。



『…移動中暇だし整理するか。』



今更だが“アイテムボックス“はパソコンのようなので機能を持っていた。

俺は魔物の死体を“解体“して魔石と素材に分け、魔石は“魔石吸収“でステータスに加算した後ファイルを作成して素材や装備などジャンル別に分けた。



『おぉ…!めちゃくちゃ便利だな…!!』



作業をしながら十字路に戻り、左側の道を進んで三層に登った。

すると、目の前の広場でレイドパーティが集会をしていた。



「依頼分の素材は回収できたから帰還するぞ!!帰るまで気を抜くなよ!!!」



「おおおおおおお!!!!!」



俺は隅で待機し、“アイテムボックス“を整理しながら彼らが帰るのを待った。



数分後



『ふぅ…やっと行ったか。…そういえば目的の素材って何だったんだ?』



それから三層の“マッピング“を終えたが、彼らは魔物を狩り尽くしてしまったようで一切遭遇しなかった。

しかし、三つ全ての宝箱には手をつけられていなかったのは幸運だった。



『“幸運“スキルの恩恵か?でもそれだったら宝箱の中身何とかしてくれよ…』



中身は“力のリングE“と“速さのリングE“、ボロボロの鉄の槍の三つで、どちらかと言うとハズレだ。



それから四層~十層の途中まで攻略し、ボスエリア前に到達した。



ドロップは全て“錬金“や“調合“に使えそうなものばかりで当たりだった。

しかし、残念ながら宝箱の方は全て○○のリング系で、+○割の効果をもつ装備品は未だに入手出来ずにいた。



『そういえば王都のダンジョンは五層毎にボス戦だったよな…?』



これは規模の違いの影響だろうか?

俺としてはボス戦の方がレアドロップ率が高いので、多い方が嬉しいが…



『…無いものねだりしてもしょうがないか。』



蟲のダンジョン初のボス戦だ。

果たして鬼が出るか蛇が出るか…



『…ってまあ蟲じゃないからその二つはあり得ないんだがな。』



…この通り冗談を言えるほどの余裕はある。

敵のステータス値は俺の何百分の一な訳だし、さっさとボス戦を済ませてしまおう。
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