95 / 188
第95話 武闘大会 決勝②
しおりを挟む
師匠は俺がカウンターを狙っていることに気付いたのか、一度手にした槍を捨てて弓を構えた。
『なっ!?』
遠距離武器だとカウンターができない。
俺は”俊敏”と”敏捷”を使って攻撃に転じた。
「はぁぁぁ!!!!!!」
攻撃の形が固定されている武技スキルは隙に攻撃しない限り間違いなく防がれるだろう。
そう考え通常攻撃をすると、師匠は弓で防御した。
『えっ…!?』
俺は予期していなかった防御方法に驚いたものの、攻撃の目標を師匠から弓に変更して弦を斬った。
これで師匠の武器を1つ減らすことに成功した。
「な、なんと!!!ダグラス選手、攻撃速度に緩急をつけることでカイル選手の武器を1つ破壊することに成功しましたーーー!!!」
「今のは見事でしたね。ダグラス選手は思考速度が実に早い。」
「というと?」
「弓で防がれた瞬間、攻撃目標を武器破壊に変更したんです。」
「あの一瞬の間にそんなことが…」
俺は師匠の武器を破壊した刹那、それを好機だと捉え追撃した。
このまま武器を拾わせなければ、師匠の攻撃手段は体術のみに限定できるのだ。
『絶対に武器は拾わせまい!!』
そう思った次の瞬間、腹に強い衝撃を感じるとともに壁に吹き飛ばされた。
「がはっ!!!」
俺はその攻撃の正体がわからず、困惑した。
「な、なにが起こったのでしょうかーー!!!!攻めていたはずのダグラス選手が壁にめり込んでます!!」
「私の見間違いでなければ弓で槍スキルを行使しましたが…」
「まさかそんな…」
しかし、師匠は弓をあたかも槍のように持っている。
それに、今の素早く強い突きは槍スキルのものだ。
「…師匠、今のは槍スキルC”ラジカルスピア”ですか?」
「ああ。別に弓は弓スキルしか使えないとは限らないからな。思考の転換だ。」
「なるほど…」
やっぱり師匠はすごい人だ。
改めてそう実感した。
「でももう片手剣と短剣は使い物にならないぞ?」
「それはどうかな。」
「なっ!!まさか!!!」
地面に落ちている片手剣を見てみると、徐々に刃こぼれが直っていた。
『”自動修復”のエンチャントか!?いや、でも魔力を流す必要があるはずだ!!』
「”自動修復”のエンチャントを疑ってるだろ?」
「あ、ああ…」
「魔力を流すのに直したい武器に触れる必要があるのか?」
「…っ!!!」
”魔力探知”スキルを行使してみると、師匠から細くて薄い魔力の線が出ていた。
そして、それは壊れた武器に繋がっていた。
「…させない!!」
俺は”力”、”頑丈”等のバフ系魔物スキルを全て行使し、自らの能力を底上げして攻撃を始めた。
「くっ!!急に強くなったな…一体どんな手品を使ったんだ?」
「さてな!!師匠を倒す手品だよ!!」
強がっているものの、師匠には全く隙が無い。
少しでもそれを作るべく、俺は攻撃を一点に集中した。
全ての攻撃を防がれているものの、徐々に師匠の体勢が崩れてきた。
『そこだ!!!』
師匠の右足にできた隙を見逃さず、蹴りを入れた。
「ゴッ!!」
とても鈍い音が鳴った。
しかし、まるで大樹を蹴っているような感覚に襲われた。
『…え?』
俺は師匠の足を粉砕するくらいの気持ちで攻撃した。
それなのに、見てみると骨が折れてすらなかった。
『なっ!!どうして!!』
「…今のは危なかったぜ。ダグラスも”魔力念操作”を習得してたんだな。」
『っ!!そういうことか!!』
どうやら師匠は壊れた武器への魔力供給を辞め、足の防御に集中していたようだ。
「なんと!!!ダグラス選手、カイル選手に渾身の蹴りを入れたように見えましたが効いていないようです!!!」
「カイル選手の防御力は折り紙つきですからね。」
師匠のMP総量は俺よりも圧倒的に少ない。
そのアドバンテージを利用し、俺は師匠の何倍ものMPを消費して魔力を練った。
「…それは食らいたくないな。」
師匠は今もなお、壊れた弓しか持っていない。
仕掛けるには願ってもない好機だ。
『絶対に食らわせてやる!!』
俺は一気に間合いを詰め、片手剣の通常攻撃をした。
魔物スキルの効果によって、既に攻撃力、防御力、素早さ等の戦闘能力は俺の方が上回っている。
それにもかかわらず、師匠に1撃も食らわせることができない。
『くっ…!!』
その原因は戦闘経験の差だ。
今からそれを覆すことはできないので、何か作戦を考えなければならない。
一度攻撃を中断し、考えることに集中したいが隙を作れば師匠の武器は全て直されてしまう。
『どうするか…』
「今だ!!!」
師匠が叫ぶと同時に俺の攻撃がパリィされ、槍スキルS”メテオスピア”を行使してきた。
『まずい!!!』
俺は咄嗟に盾を前に出し、魔鎧を盾に集中して何とか防いだ。
「俺と戦ってる最中に考え事とは随分と余裕そうだな。」
全く持ってその通りだ。
師匠との戦闘中に考えてる余裕はない。
俺は一旦距離を取り、体勢を立て直した。
その間に師匠も壊れた武器を全て直し、仕切り直しだ。
「再戦と行こうか!!」
『なっ!?』
遠距離武器だとカウンターができない。
俺は”俊敏”と”敏捷”を使って攻撃に転じた。
「はぁぁぁ!!!!!!」
攻撃の形が固定されている武技スキルは隙に攻撃しない限り間違いなく防がれるだろう。
そう考え通常攻撃をすると、師匠は弓で防御した。
『えっ…!?』
俺は予期していなかった防御方法に驚いたものの、攻撃の目標を師匠から弓に変更して弦を斬った。
これで師匠の武器を1つ減らすことに成功した。
「な、なんと!!!ダグラス選手、攻撃速度に緩急をつけることでカイル選手の武器を1つ破壊することに成功しましたーーー!!!」
「今のは見事でしたね。ダグラス選手は思考速度が実に早い。」
「というと?」
「弓で防がれた瞬間、攻撃目標を武器破壊に変更したんです。」
「あの一瞬の間にそんなことが…」
俺は師匠の武器を破壊した刹那、それを好機だと捉え追撃した。
このまま武器を拾わせなければ、師匠の攻撃手段は体術のみに限定できるのだ。
『絶対に武器は拾わせまい!!』
そう思った次の瞬間、腹に強い衝撃を感じるとともに壁に吹き飛ばされた。
「がはっ!!!」
俺はその攻撃の正体がわからず、困惑した。
「な、なにが起こったのでしょうかーー!!!!攻めていたはずのダグラス選手が壁にめり込んでます!!」
「私の見間違いでなければ弓で槍スキルを行使しましたが…」
「まさかそんな…」
しかし、師匠は弓をあたかも槍のように持っている。
それに、今の素早く強い突きは槍スキルのものだ。
「…師匠、今のは槍スキルC”ラジカルスピア”ですか?」
「ああ。別に弓は弓スキルしか使えないとは限らないからな。思考の転換だ。」
「なるほど…」
やっぱり師匠はすごい人だ。
改めてそう実感した。
「でももう片手剣と短剣は使い物にならないぞ?」
「それはどうかな。」
「なっ!!まさか!!!」
地面に落ちている片手剣を見てみると、徐々に刃こぼれが直っていた。
『”自動修復”のエンチャントか!?いや、でも魔力を流す必要があるはずだ!!』
「”自動修復”のエンチャントを疑ってるだろ?」
「あ、ああ…」
「魔力を流すのに直したい武器に触れる必要があるのか?」
「…っ!!!」
”魔力探知”スキルを行使してみると、師匠から細くて薄い魔力の線が出ていた。
そして、それは壊れた武器に繋がっていた。
「…させない!!」
俺は”力”、”頑丈”等のバフ系魔物スキルを全て行使し、自らの能力を底上げして攻撃を始めた。
「くっ!!急に強くなったな…一体どんな手品を使ったんだ?」
「さてな!!師匠を倒す手品だよ!!」
強がっているものの、師匠には全く隙が無い。
少しでもそれを作るべく、俺は攻撃を一点に集中した。
全ての攻撃を防がれているものの、徐々に師匠の体勢が崩れてきた。
『そこだ!!!』
師匠の右足にできた隙を見逃さず、蹴りを入れた。
「ゴッ!!」
とても鈍い音が鳴った。
しかし、まるで大樹を蹴っているような感覚に襲われた。
『…え?』
俺は師匠の足を粉砕するくらいの気持ちで攻撃した。
それなのに、見てみると骨が折れてすらなかった。
『なっ!!どうして!!』
「…今のは危なかったぜ。ダグラスも”魔力念操作”を習得してたんだな。」
『っ!!そういうことか!!』
どうやら師匠は壊れた武器への魔力供給を辞め、足の防御に集中していたようだ。
「なんと!!!ダグラス選手、カイル選手に渾身の蹴りを入れたように見えましたが効いていないようです!!!」
「カイル選手の防御力は折り紙つきですからね。」
師匠のMP総量は俺よりも圧倒的に少ない。
そのアドバンテージを利用し、俺は師匠の何倍ものMPを消費して魔力を練った。
「…それは食らいたくないな。」
師匠は今もなお、壊れた弓しか持っていない。
仕掛けるには願ってもない好機だ。
『絶対に食らわせてやる!!』
俺は一気に間合いを詰め、片手剣の通常攻撃をした。
魔物スキルの効果によって、既に攻撃力、防御力、素早さ等の戦闘能力は俺の方が上回っている。
それにもかかわらず、師匠に1撃も食らわせることができない。
『くっ…!!』
その原因は戦闘経験の差だ。
今からそれを覆すことはできないので、何か作戦を考えなければならない。
一度攻撃を中断し、考えることに集中したいが隙を作れば師匠の武器は全て直されてしまう。
『どうするか…』
「今だ!!!」
師匠が叫ぶと同時に俺の攻撃がパリィされ、槍スキルS”メテオスピア”を行使してきた。
『まずい!!!』
俺は咄嗟に盾を前に出し、魔鎧を盾に集中して何とか防いだ。
「俺と戦ってる最中に考え事とは随分と余裕そうだな。」
全く持ってその通りだ。
師匠との戦闘中に考えてる余裕はない。
俺は一旦距離を取り、体勢を立て直した。
その間に師匠も壊れた武器を全て直し、仕切り直しだ。
「再戦と行こうか!!」
0
お気に入りに追加
858
あなたにおすすめの小説

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~
さとう
ファンタジー
生まれながらにして身に宿る『召喚獣』を使役する『召喚師』
誰もが持つ召喚獣は、様々な能力を持ったよきパートナーであり、位の高い召喚獣ほど持つ者は強く、憧れの存在である。
辺境貴族リグヴェータ家の末っ子アルフェンの召喚獣は最低も最低、手のひらに乗る小さな『モグラ』だった。アルフェンは、兄や姉からは蔑まれ、両親からは冷遇される生活を送っていた。
だが十五歳になり、高位な召喚獣を宿す幼馴染のフェニアと共に召喚学園の『アースガルズ召喚学園』に通うことになる。
学園でも蔑まれるアルフェン。秀な兄や姉、強くなっていく幼馴染、そしてアルフェンと同じ最底辺の仲間たち。同じレベルの仲間と共に絆を深め、一時の平穏を手に入れる
これは、全てを失う少年が最強の力を手に入れ、学園生活を送る物語。
破壊の種 滅亡の花
結局は俗物( ◠‿◠ )
ファンタジー
(6/23…没リメ詰め)王子は「種上げの儀式」を終え王に就く。しかし今回の儀式は失敗し、王子は昏睡状態に陥る。王子・レーラを助けるために、友人・アルスとセレンは名医・オールを探し、彼を紹介した下級召喚士を名乗る女・ミーサを巻き込み国のため各地の精霊を求め旅に出ることになる。
ハイファンタジー/剣と魔法/異世界/微・恋愛要素
2003年~2008年で連載していたもののリメイクです。
※自サイト先行掲載。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️

神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました
向原 行人
ファンタジー
僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。
実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。
そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。
なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!
そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。
だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。
どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。
一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!
僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!
それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?
待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる