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第96話 武闘大会 決勝③
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師匠は再び盾と片手剣を装備し、戦闘態勢を整えた。
「行くぞ!!」
今度は武技スキルを使わず、通常攻撃で仕掛けてきた。
バフのおかげで先程重く感じていた攻撃はむしろ軽く感じ、防御が容易になった。
また、師匠の攻撃を何度も受けたことで攻撃を見切れるようになった。
あとは徐々に反撃をしていけば徐々に優勢になるだろう。
しかし、反撃をする余裕があるわけでもなくその上決め手に欠けている。
『どうしたものか…』
「ダグラス、強くなったな。」
「…いえ。まだまだですよ。」
「そろそろ終わりにしようか!!」
「っ!?」
師匠が大振りをして距離を取ると、俺は思わぬ光景に絶句した。
そう、師匠が分裂してそれぞれ地面に置いてあったはずの武器を装備していたのだ。
『なっ…!?』
「東国の武士である侍という職業のスキル”影分身”だ!!」
「影分身…」
「ああ!!実は東国の中でも希少な職業でな!!これは…」
師匠はとても自慢げに話している。
しかし、そんなことを聞いている余裕はない。
俺は師匠が行使している”影分身”を鑑定して効果を調べた。
どうやら分身を作れば作るほど戦闘能力は配分され、本体の戦闘能力は落ちるようだ。
「…それ悪手じゃないか?」
「そんなことないさ!!確かに分身を1体作れば戦闘能力は1/2に、2体作れば1/3になるデメリットがある。」
「それなら…」
「しかし!!メリットが凄まじいんだ!!!」
「…というと?」
「それぞれの分身に攻撃させられるだけじゃなくスキルが使えるんだ!!!」
「なっ!!!」
「しかも熟練度は元のまま!!ダグラスは今、それぞれの武技Sランク保持者全員と同時に戦っていることになる!!」
「…まじか。」
「な、なんと!!!カイル選手、こんな奥の手を隠していたとは!!!!」
「しかも東国のスキルですか…」
「東国だと何かあるんですか?」
「ええ。東国は未だ解明できていないことが多いんです。特に戦闘においては…」
「なるほど。カイル選手は現在、Sランク冒険者の中でもトップですがもはやSランクの範疇に収まらないかもしれませんね…」
「簡単にくたばるなよダグラス!!!!」
「くっ!!!」
冒険者のパーティ陣形を組まれてしまっている。
前衛に片手剣+盾使いと両手剣士、細剣士が、中衛に槍使いと棍棒使いが、後衛に弓使いと斧使い、両手剣士、体術士が配置されている。
「な、なんと!!!!カイル選手、冒険者パーティの陣形を組んでいます!!!」
「これは攻略が難しそうですね。1人でSランクパーティ1つを相手にしていることになりますからね。」
「しかし、ダグラス選手なら何かしてくれる気がします。」
「そうですね。このまま引き下がる玉とは思えない!!」
おそらく体術士が本体で、配置がおかしい斧使いと両手剣士はその護衛だろう。
しかし、師匠がそんな分かりやすい配置をするとは思えない。
『…罠か?』
考えても真偽はわからないので、仕掛けることにした。
「はぁぁぁ!!!!!」
俺は飛ぶ斬撃を放ちまくったが、やはり全て前衛に防御されてしまった。
しかし、相手は防御に必死で反撃は矢しか飛んでこない。
「ダグラス選手、斬撃を飛ばし続けています!!!なんという技量だーーー!!!」
「斬撃を飛ばすにはそれなりの風圧で剣を振る必要がありますからね…それをあんな膨大な数で飛ばし続けるのは至難の業です。」
実際は海王の片手剣の効果なので、騙しているようで少し申し訳ない。
師匠のパーティはおとなしく斬撃を防ぎ続けることを辞め、後衛にいた両手剣士と体術士を攻撃に回した。
「そう来ると思ったよ!!」
俺の読み通り反撃の余地である弓使いは重宝し、護衛1人を残して他が仕掛けてきた。
しかし、本体と踏んでいた体術士が仕掛けてくるとは思わなかった。
『…まさか本体は別か??』
戦闘能力が落ちている本体が仕掛けてくるとは思えない。
既に本体の予想がつかなくなってしまった。
『くっ!!これは厳しいな…』
斬撃を放つことを辞めたらSランクパーティが一気に襲ってくる。
そのため、俺は斬撃を放ちながら両手剣士と体術士を処理しなければならない。
「ダグラス選手、今大会初の窮地だーーー!!!!」
俺は斬撃を放ちながら相手の攻撃を盾で防ぎ、足で体術を行使して対応した。
「なんと!!ダグラス選手、3つの武技を同時に行使しています!!」
「あれは一体どんな修行をすればできるようになるんでしょうか…」
しかし、このままではじり貧だ。
俺は体術B”三日月蹴り”を行使して体術士を倒した。
また、その勢いで体術C”流水蹴”を行使して両手剣士も倒した。
「ダグラス選手、窮地を脱しましたーーー!!!」
Sランクパーティの方を見てみたが、追加の影分身は生成されていない。
”鑑定”で詳しく調べると、作った分身が全滅するまで”影分身”を行使できない制約があるようだ。
また、本体を倒せば分身は消えるようだ。
「ここからダグラス選手の快進撃が始まるのかーーーー!!!!」
「行くぞ!!」
今度は武技スキルを使わず、通常攻撃で仕掛けてきた。
バフのおかげで先程重く感じていた攻撃はむしろ軽く感じ、防御が容易になった。
また、師匠の攻撃を何度も受けたことで攻撃を見切れるようになった。
あとは徐々に反撃をしていけば徐々に優勢になるだろう。
しかし、反撃をする余裕があるわけでもなくその上決め手に欠けている。
『どうしたものか…』
「ダグラス、強くなったな。」
「…いえ。まだまだですよ。」
「そろそろ終わりにしようか!!」
「っ!?」
師匠が大振りをして距離を取ると、俺は思わぬ光景に絶句した。
そう、師匠が分裂してそれぞれ地面に置いてあったはずの武器を装備していたのだ。
『なっ…!?』
「東国の武士である侍という職業のスキル”影分身”だ!!」
「影分身…」
「ああ!!実は東国の中でも希少な職業でな!!これは…」
師匠はとても自慢げに話している。
しかし、そんなことを聞いている余裕はない。
俺は師匠が行使している”影分身”を鑑定して効果を調べた。
どうやら分身を作れば作るほど戦闘能力は配分され、本体の戦闘能力は落ちるようだ。
「…それ悪手じゃないか?」
「そんなことないさ!!確かに分身を1体作れば戦闘能力は1/2に、2体作れば1/3になるデメリットがある。」
「それなら…」
「しかし!!メリットが凄まじいんだ!!!」
「…というと?」
「それぞれの分身に攻撃させられるだけじゃなくスキルが使えるんだ!!!」
「なっ!!!」
「しかも熟練度は元のまま!!ダグラスは今、それぞれの武技Sランク保持者全員と同時に戦っていることになる!!」
「…まじか。」
「な、なんと!!!カイル選手、こんな奥の手を隠していたとは!!!!」
「しかも東国のスキルですか…」
「東国だと何かあるんですか?」
「ええ。東国は未だ解明できていないことが多いんです。特に戦闘においては…」
「なるほど。カイル選手は現在、Sランク冒険者の中でもトップですがもはやSランクの範疇に収まらないかもしれませんね…」
「簡単にくたばるなよダグラス!!!!」
「くっ!!!」
冒険者のパーティ陣形を組まれてしまっている。
前衛に片手剣+盾使いと両手剣士、細剣士が、中衛に槍使いと棍棒使いが、後衛に弓使いと斧使い、両手剣士、体術士が配置されている。
「な、なんと!!!!カイル選手、冒険者パーティの陣形を組んでいます!!!」
「これは攻略が難しそうですね。1人でSランクパーティ1つを相手にしていることになりますからね。」
「しかし、ダグラス選手なら何かしてくれる気がします。」
「そうですね。このまま引き下がる玉とは思えない!!」
おそらく体術士が本体で、配置がおかしい斧使いと両手剣士はその護衛だろう。
しかし、師匠がそんな分かりやすい配置をするとは思えない。
『…罠か?』
考えても真偽はわからないので、仕掛けることにした。
「はぁぁぁ!!!!!」
俺は飛ぶ斬撃を放ちまくったが、やはり全て前衛に防御されてしまった。
しかし、相手は防御に必死で反撃は矢しか飛んでこない。
「ダグラス選手、斬撃を飛ばし続けています!!!なんという技量だーーー!!!」
「斬撃を飛ばすにはそれなりの風圧で剣を振る必要がありますからね…それをあんな膨大な数で飛ばし続けるのは至難の業です。」
実際は海王の片手剣の効果なので、騙しているようで少し申し訳ない。
師匠のパーティはおとなしく斬撃を防ぎ続けることを辞め、後衛にいた両手剣士と体術士を攻撃に回した。
「そう来ると思ったよ!!」
俺の読み通り反撃の余地である弓使いは重宝し、護衛1人を残して他が仕掛けてきた。
しかし、本体と踏んでいた体術士が仕掛けてくるとは思わなかった。
『…まさか本体は別か??』
戦闘能力が落ちている本体が仕掛けてくるとは思えない。
既に本体の予想がつかなくなってしまった。
『くっ!!これは厳しいな…』
斬撃を放つことを辞めたらSランクパーティが一気に襲ってくる。
そのため、俺は斬撃を放ちながら両手剣士と体術士を処理しなければならない。
「ダグラス選手、今大会初の窮地だーーー!!!!」
俺は斬撃を放ちながら相手の攻撃を盾で防ぎ、足で体術を行使して対応した。
「なんと!!ダグラス選手、3つの武技を同時に行使しています!!」
「あれは一体どんな修行をすればできるようになるんでしょうか…」
しかし、このままではじり貧だ。
俺は体術B”三日月蹴り”を行使して体術士を倒した。
また、その勢いで体術C”流水蹴”を行使して両手剣士も倒した。
「ダグラス選手、窮地を脱しましたーーー!!!」
Sランクパーティの方を見てみたが、追加の影分身は生成されていない。
”鑑定”で詳しく調べると、作った分身が全滅するまで”影分身”を行使できない制約があるようだ。
また、本体を倒せば分身は消えるようだ。
「ここからダグラス選手の快進撃が始まるのかーーーー!!!!」
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