異世界転生録~死と隣り合わせのこの世界で死なないため、力を付けます!!~

島津穂高

文字の大きさ
94 / 188

第94話 武闘大会 決勝①

しおりを挟む
「…ラス…ダグラス!!」



誰かに呼ばれる声がして俺は目を覚ました。



「ようやく起きたか!!」



「…師匠?あれ、俺は…そうか。寝落ちしたのか。」



「ああ。それにしてもよくカルファの奴に勝てたな!!!」



「ありがとう。師匠並みに手強かったよ…」



「だろうな!!あいつは俺のライバルだからな!!!」



「そうだったのか…あっ!!師匠の試合は?」



「もちろん勝ったぞ!!なかなかの体術だったが俺も体術には自信があったからな!!」



「そうか…ってことは明日の決勝は師匠と?」



「ああ!!卒業試験以来だな!!!」



「そうだな!!成長した姿を嫌でも見ることになるから覚悟しろよ?」



「ああ!!でも返り討ちにしてやるさ!!!ガハハハッ!!!」



それから師匠と別れ、屋敷に帰った。



『ついに明日師匠と…』



喜びが隠しきれず、自然と口元に笑みが溢れてくる。

いつの間に俺はこんな戦闘狂になっていたのだろう?



”魔力念操作”の最終確認をし、いつもより早めにベッドで横になった。

気分が高揚してなかなか寝付けなかった。



翌朝起きると、とても気持ちが落ち着いていた。

俺は装備やステータスの確認をしながら闘技場に向かった。



「さぁついに決勝戦だーーーーーー!!!!!!!!」



「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」



「有終の美を飾るのは果たしてダグラス選手とカイル選手のどちらになるのかーーーー!!!!」



「決勝戦で師弟対決とはなかなか熱い展開ですね。」



「そうですね。弟子が師匠を打ち負かせるのか、見ものですね!!」



俺は控室で戦闘準備を整えていた。

今日は入場前にバフと”魔力念操作”をかけて万全を期した。



「それではダグラス選手とカイル選手は入場してください。」



『ふぅ…よし、行くか!!!!!!』



俺は1歩1歩を踏みしめて入場した。



「ダグラス選手が入場ーーーーー!!!!さぁ師匠にこれまでの努力を見せつけてやれー!!!!!」



「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」



『っ!?!?』



俺は前から感じた大きな威圧感に驚き、たじろいだ。



「カイル選手も続いて入場ーーーー!!!!…まさかあれは!!!!」



「…ええ!!!ここでカイル選手の、Sランク冒険者最高峰の戦闘が見られるとは思いませんでした!!」



「な、なんと!!!全種類の武器を持っています!!!」



「伝説の職業スキル”ウェポンマスター”が拝めますよ!!!」



俺は以前、師匠の訓練を受けていた頃1度だけ質問したことがあった。



「師匠はどんな武器も使ってますが1番の得意武器はなんですか??」



「全部が1番の得意武器だ!!!」



「はぐらかさないでくださいよ…」



「今はまだ早い。その時が来たら教えてやろう。」



あの時言わなかったものはこれだったようだ。

師匠のステータスから推測するに、おそらく”ウェポンマスター”の習得条件は全ての武技スキルがSランクになることだろう。



「それでは両者とも準備が整いました。武闘大会決勝戦、始め!!!!!」



「ダグラス、死ぬなよ?」



そう言うと師匠は片手剣スキルS”レイドストリーム”を行使してきた。



「そっちこそ!!!!」



俺も同様に”レイドストリーム”を行使し、刃が擦れる大きな金属音とともに師匠の斬撃を相殺した。

その際、魔器によって師匠の片手剣の刃をボロボロにすることができた。



「な、なんと!!!!!!最初から両者とも全力だーーー!!!」



「こんなにハイレベルな戦いはいつぶりでしょうかね。とても見てて興奮します。」



「まだまだ!!!」



師匠はいつの間にか壊れた片手剣を捨て、短剣に持ち替えていた。

そして、短剣スキルS”モーメンタリーバイト”を行使してきた。



「くっ!!!」



俺は片手剣スキルで相殺する余裕がなく、咄嗟に盾で防いだ。

この際にも魔鎧によって短剣の刃を破壊することに成功したが、力に押し負けて後ろに大きく飛ばされた。



迎撃を防ぐため急いで体勢を立て直そうとしたが、既に手遅れだった。

顔を上げると目の前に矢が飛んできていたのだ。



『なっ!?速いっ!!!!』



盾で防ごうにも間に合わない。

俺は苦肉の策として、兜でぶつかりに行くことで負傷を防いだ。



「最初に攻撃を浴びたのはダグラス選手だーーー!!!!」



「ダグラス選手の表情から察するに、カイル選手の全力は初めて見るのでしょう。」



「そうですね。最初からずっと後手に回っていますし。」



確かに解説の言う通りだ。

俺は師匠の攻撃を防ぐことばかり考え、攻めに転じなかった。



「ダグラス、来ないのか?」



このまま攻めたら師匠の掌で踊らされると思い、防御の姿勢をとった。

反撃の余地はカウンターくらいしかないだろう。



「ならこっちから行くぞ!!!」
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

処理中です...