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17. マルティナside
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朝起きて一番にすること。
みんなに愛される一日でありますように。
そう心を込めてお祈りをする。
大好きなお母様に教えていただいた、愛されるお呪い。一日一回唱えると、みんなに愛される素敵な一日が過ごせるの。
お母様は踊り子だった。踊りの才能は残念ながら受け継がなかったけれど、その美貌と祈りの強さは私以上ねと笑っていた。
毎日祈っているからだろうか。
平民から産まれた庶子なのに、皆が優しくしてくれる。この幸せを失わないように、日々祈る。
隣国との交換留学の話があり、他国に興味があったから行きたいとおねだりをした。成績に問題はないし、しっかり学んでくるようにと温かく送り出してもらった。
学園で私を迎えてくださったのは、第二王子のジークハルト様だった。
美しく、優しい王子様。
私はすぐに心を奪われた。それなのに──
「リーゼ!」
婚約者を見つけると、私にごめんと告げ嬉しそうに駆け寄る。
なぜもっと早く出会えなかったのだろう。婚約者は伯爵令嬢だ。公女である私の方がふさわしいのに!
毎朝の祈りを変える。みんなじゃない、ジークハルト様に愛されたい!
でも、駄目だった。彼は婚約者を愛してる。
どうして?
それでも毎朝祈る。彼に愛されますように。
成果がでないまま、歓迎会の日を迎えた。
なぜ私を愛さないの?
用意されたお菓子を見ると、公国の焼き菓子も準備されていた。ジークハルト様が私の為に用意してくださったのかも知れないと思うと嬉しくて、口に入れると幸せいっぱいになった。
ふと視線を感じて目を向けると、ジークハルト様がいままで婚約者にしか見せなかった微笑みを浮かべていた。
今!
私は反射的に祈った。今なら私の祈りが通じる!愛して愛して愛して私を愛して!!
彼が私を見つめ続ける。
やっと手に入れられる
彼の手を引き、そっと会場を出る。
愛してと祈りながら。
誰もいない部屋に入り、ジークハルト様と見つめ合う。何故だろう。彼の焦点が合ってない気がする。
駄目よ見て、私から目を逸らさないで!
「愛してるわ、ジーク。あなたも私を愛しているでしょう?」
「……私は……」
「さっき私を愛おしそうに見つめていたでしょう?お菓子を食べている時よ。愛しているでしょう」
「お菓子……嬉しそうに、ケーキを食べている君が、可愛くて……」
ケーキ?違う、私が食べていたのは焼き菓子よ。誰と間違っているの?!
「……そうね、それは私よ。マルティナ。あなたが愛しているのはマルティナ。言って?私を愛していると」
さぁ、私を愛して!
今までで一番強く祈る。
「……わたしはマルティナをあいしている」
あぁ!手に入れたわ!!
それからは一日一回だった祈りを何度も祈った。
私を愛して!どうしてあんな子と婚約したの?後悔してるわよね?あなたは政略で仕方なく婚約したの愛はない愛してるのは私だけよ!
みんな祝福して!あんな子の味方をしないで!私に意地悪するの、怖い子よ、消えたらいいと思わない?
毎日祈る。私を愛するように、あの子を傷付けるように、私達を祝福するように。
彼が彼女に暴言を吐いたと聞いて胸が踊った。皆が私達を祝福してくれる。あの子はどんどん追いやられていく。少し可哀想だけど仕方がない。だって彼を私のものにして、婚約者の座も手に入れないといけないもの。
もっともっとと祈り続ける。
もっと心のままに愛して?理性で抑えないで、思うがままに愛して。綺麗じゃなくていい、あの子が見たことのない、本当のあなたを見せて!
彼の瞳に執着が見える。狂気すら愛しい。
そして事件が起こった。
彼があの子を殴り髪を掴み地面に叩きつけた。
え?
違う、ここまでは望んでいなかった、罵倒したのは聞いていたけど暴力を振るうとは思わなかった!
そこでやっと気付く。あの子を傷付けるように祈ったのは私だ……
私は何も出来ず、殿下は男子生徒に殴られ、あの子は倒れ、それぞれ先生達に連れて行かれ、私はそれを呆然と見ているだけだった。
どうしよう……本当に私の祈りのせいなの?
部屋に戻り、どうしたらいいのか分からず、気持ちを落ち着けようとお茶を飲もうとした時、
ポタポタッ
え、鼻血?突然血が垂れてくる。
驚き、声を出そうとした瞬間、体中に強い衝撃が走った。
痛い痛い痛いっ!
突然の激痛に倒れ込む。鼻血だけでなく、咳とともに吐血する。
倒れた時、テーブルも倒れティーカップも割れたらしい。その音を聞き付け、誰かが入って来た。
誰か助けて、と思うが体中が焼け付くような痛みに襲われ声も出ない。
私はそのまま気を失った。
目が覚めたのはそれから一週間たった頃だった。
“呪い返し”
そう言われた。私の祈りはいつからか呪いに変わり、一年分の殿下への呪いが私に返されたのだ。
私は右目の視力を失った。止まない耳鳴りと頭痛。首には魔力封じの首輪を付けられ、貴族牢に入れられている。
今では魔力持ちは稀だ。だから、誰も魔法だとは思わなかった。私自身も。
違うわ、気付いてた。だから祈ったの。本当に欲しかったから。
私の愛は呪いだったのか──
みんなに愛される一日でありますように。
そう心を込めてお祈りをする。
大好きなお母様に教えていただいた、愛されるお呪い。一日一回唱えると、みんなに愛される素敵な一日が過ごせるの。
お母様は踊り子だった。踊りの才能は残念ながら受け継がなかったけれど、その美貌と祈りの強さは私以上ねと笑っていた。
毎日祈っているからだろうか。
平民から産まれた庶子なのに、皆が優しくしてくれる。この幸せを失わないように、日々祈る。
隣国との交換留学の話があり、他国に興味があったから行きたいとおねだりをした。成績に問題はないし、しっかり学んでくるようにと温かく送り出してもらった。
学園で私を迎えてくださったのは、第二王子のジークハルト様だった。
美しく、優しい王子様。
私はすぐに心を奪われた。それなのに──
「リーゼ!」
婚約者を見つけると、私にごめんと告げ嬉しそうに駆け寄る。
なぜもっと早く出会えなかったのだろう。婚約者は伯爵令嬢だ。公女である私の方がふさわしいのに!
毎朝の祈りを変える。みんなじゃない、ジークハルト様に愛されたい!
でも、駄目だった。彼は婚約者を愛してる。
どうして?
それでも毎朝祈る。彼に愛されますように。
成果がでないまま、歓迎会の日を迎えた。
なぜ私を愛さないの?
用意されたお菓子を見ると、公国の焼き菓子も準備されていた。ジークハルト様が私の為に用意してくださったのかも知れないと思うと嬉しくて、口に入れると幸せいっぱいになった。
ふと視線を感じて目を向けると、ジークハルト様がいままで婚約者にしか見せなかった微笑みを浮かべていた。
今!
私は反射的に祈った。今なら私の祈りが通じる!愛して愛して愛して私を愛して!!
彼が私を見つめ続ける。
やっと手に入れられる
彼の手を引き、そっと会場を出る。
愛してと祈りながら。
誰もいない部屋に入り、ジークハルト様と見つめ合う。何故だろう。彼の焦点が合ってない気がする。
駄目よ見て、私から目を逸らさないで!
「愛してるわ、ジーク。あなたも私を愛しているでしょう?」
「……私は……」
「さっき私を愛おしそうに見つめていたでしょう?お菓子を食べている時よ。愛しているでしょう」
「お菓子……嬉しそうに、ケーキを食べている君が、可愛くて……」
ケーキ?違う、私が食べていたのは焼き菓子よ。誰と間違っているの?!
「……そうね、それは私よ。マルティナ。あなたが愛しているのはマルティナ。言って?私を愛していると」
さぁ、私を愛して!
今までで一番強く祈る。
「……わたしはマルティナをあいしている」
あぁ!手に入れたわ!!
それからは一日一回だった祈りを何度も祈った。
私を愛して!どうしてあんな子と婚約したの?後悔してるわよね?あなたは政略で仕方なく婚約したの愛はない愛してるのは私だけよ!
みんな祝福して!あんな子の味方をしないで!私に意地悪するの、怖い子よ、消えたらいいと思わない?
毎日祈る。私を愛するように、あの子を傷付けるように、私達を祝福するように。
彼が彼女に暴言を吐いたと聞いて胸が踊った。皆が私達を祝福してくれる。あの子はどんどん追いやられていく。少し可哀想だけど仕方がない。だって彼を私のものにして、婚約者の座も手に入れないといけないもの。
もっともっとと祈り続ける。
もっと心のままに愛して?理性で抑えないで、思うがままに愛して。綺麗じゃなくていい、あの子が見たことのない、本当のあなたを見せて!
彼の瞳に執着が見える。狂気すら愛しい。
そして事件が起こった。
彼があの子を殴り髪を掴み地面に叩きつけた。
え?
違う、ここまでは望んでいなかった、罵倒したのは聞いていたけど暴力を振るうとは思わなかった!
そこでやっと気付く。あの子を傷付けるように祈ったのは私だ……
私は何も出来ず、殿下は男子生徒に殴られ、あの子は倒れ、それぞれ先生達に連れて行かれ、私はそれを呆然と見ているだけだった。
どうしよう……本当に私の祈りのせいなの?
部屋に戻り、どうしたらいいのか分からず、気持ちを落ち着けようとお茶を飲もうとした時、
ポタポタッ
え、鼻血?突然血が垂れてくる。
驚き、声を出そうとした瞬間、体中に強い衝撃が走った。
痛い痛い痛いっ!
突然の激痛に倒れ込む。鼻血だけでなく、咳とともに吐血する。
倒れた時、テーブルも倒れティーカップも割れたらしい。その音を聞き付け、誰かが入って来た。
誰か助けて、と思うが体中が焼け付くような痛みに襲われ声も出ない。
私はそのまま気を失った。
目が覚めたのはそれから一週間たった頃だった。
“呪い返し”
そう言われた。私の祈りはいつからか呪いに変わり、一年分の殿下への呪いが私に返されたのだ。
私は右目の視力を失った。止まない耳鳴りと頭痛。首には魔力封じの首輪を付けられ、貴族牢に入れられている。
今では魔力持ちは稀だ。だから、誰も魔法だとは思わなかった。私自身も。
違うわ、気付いてた。だから祈ったの。本当に欲しかったから。
私の愛は呪いだったのか──
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