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79☆言うは易し
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ひとりになるなり、キルヤは頭を抱えた。
あたたた。ユオの疲れに触れて、酔った。酔って、要らんことを言った。
久しぶりに、強引な精神誘導をやったから、タガが緩んで。
そもそも、ユオがあんなに闇濃いメンタルのまま、あんなにまぶしくサフラを愛するのが悪い。
優しくしてやれ、か。
言うは易しだよな、と我ながら思う。
サフラにけん制されるまでもなく、俺は、ユオが好きな自覚がある。
それでも、手を出せる気もしなければ、サフラと渡り合う気もない。
もちろん、サフラに負けるのが怖い訳でも、ユオにふられるのが怖い訳でもなくて。
むしろ、自分の死が、サフラの心に傷を与えないようにするためなら、あの女は、平気で俺と結婚位した気がするし、ユオが俺の数百倍サフラを愛しているままでも、俺はユオが好きだから。つけ入る隙などいくらでもあった。
それでも、自分が耐えられないとわかるから、ユオに踏み込まない。
ユオの目は、自分の未来を見ていない。それは、恐ろしいことだ。
だから。サフラの恐怖といら立ちは、痛いほどにわかる。
自分がサフラの立場だったらと思うと、正気でいられる気がしない。
流れ出るいのちの砂時計から、目をそらすことを許されずに生きて来たと、ユオは言った。前世からずっと、なのだと。
そして、目をそらすことが出来ないまま。ユオは、何度も死を渡った。
ユオ自身が思っているよりもずっと深く、その時間はユオを蝕んでいて。
人に耐えられる限界を超えたその時間に疲れ果てたユオは、自分のいない未来しか想像できない。
ユオは、迷いなく、曇りなく、サフラを愛している。
サフラの幸を一番に考え、サフラのためなら当然のように命を懸ける。
寄り添い、励まし、支え、時間も言葉も能力も持っているもの全て捧げてくれるかもしれない。
でもそれは、いうなれば死期を悟ったものの輝きで。
続かない前提だからこそ、自分が消えた後の未来のために、すべてをかけて注ぐ愛情。
一緒に生きたい相手から、そんなものを受け取り続けて、歪まないはずがない。
自分に注がれる愛情が、そう言うものだと気付かされて、平静でいられるはずがない。
俺が、怯え、立ちすくみ、踏み込めなくなるようなそれを、少なくともサフラは、乗り越えようとした。
ユオが、生きのびる術を見出そうと、最大限の努力をした。
だから、俺よりサフラの方がユオにふさわしいと、そう思っている。
それでも、あそこまでズタズタになったユオを見ると、心が疼く。
自分の腕の中に入れてしまいたくて、安心させてやりたくて、サフラから、引き離したくなる。
まずい、よな。
とりあえず、自分に睡眠導入。
起きていると、見舞いとか、行ってしまいそうだから。
サフラとユオの二人の時間を、邪魔してしまいそうだから。
あたたた。ユオの疲れに触れて、酔った。酔って、要らんことを言った。
久しぶりに、強引な精神誘導をやったから、タガが緩んで。
そもそも、ユオがあんなに闇濃いメンタルのまま、あんなにまぶしくサフラを愛するのが悪い。
優しくしてやれ、か。
言うは易しだよな、と我ながら思う。
サフラにけん制されるまでもなく、俺は、ユオが好きな自覚がある。
それでも、手を出せる気もしなければ、サフラと渡り合う気もない。
もちろん、サフラに負けるのが怖い訳でも、ユオにふられるのが怖い訳でもなくて。
むしろ、自分の死が、サフラの心に傷を与えないようにするためなら、あの女は、平気で俺と結婚位した気がするし、ユオが俺の数百倍サフラを愛しているままでも、俺はユオが好きだから。つけ入る隙などいくらでもあった。
それでも、自分が耐えられないとわかるから、ユオに踏み込まない。
ユオの目は、自分の未来を見ていない。それは、恐ろしいことだ。
だから。サフラの恐怖といら立ちは、痛いほどにわかる。
自分がサフラの立場だったらと思うと、正気でいられる気がしない。
流れ出るいのちの砂時計から、目をそらすことを許されずに生きて来たと、ユオは言った。前世からずっと、なのだと。
そして、目をそらすことが出来ないまま。ユオは、何度も死を渡った。
ユオ自身が思っているよりもずっと深く、その時間はユオを蝕んでいて。
人に耐えられる限界を超えたその時間に疲れ果てたユオは、自分のいない未来しか想像できない。
ユオは、迷いなく、曇りなく、サフラを愛している。
サフラの幸を一番に考え、サフラのためなら当然のように命を懸ける。
寄り添い、励まし、支え、時間も言葉も能力も持っているもの全て捧げてくれるかもしれない。
でもそれは、いうなれば死期を悟ったものの輝きで。
続かない前提だからこそ、自分が消えた後の未来のために、すべてをかけて注ぐ愛情。
一緒に生きたい相手から、そんなものを受け取り続けて、歪まないはずがない。
自分に注がれる愛情が、そう言うものだと気付かされて、平静でいられるはずがない。
俺が、怯え、立ちすくみ、踏み込めなくなるようなそれを、少なくともサフラは、乗り越えようとした。
ユオが、生きのびる術を見出そうと、最大限の努力をした。
だから、俺よりサフラの方がユオにふさわしいと、そう思っている。
それでも、あそこまでズタズタになったユオを見ると、心が疼く。
自分の腕の中に入れてしまいたくて、安心させてやりたくて、サフラから、引き離したくなる。
まずい、よな。
とりあえず、自分に睡眠導入。
起きていると、見舞いとか、行ってしまいそうだから。
サフラとユオの二人の時間を、邪魔してしまいそうだから。
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