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第4章 修道院
6 修道院へ行く ④
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「今聞いたお話ですが、私の祖父や祖母、その他の家族は知っているのでしょうか」
ルイーズの質問にはイリスが答えるようだ。
「お祖父様とお祖母様はご存じのことも多いかもしれないわ。他のご家族は分からないけど、ルイーズちゃんに変化があったのなら、お父様やお母様も何かお気づきのことがあるのではないかしら。お家の事に関しては、直接お聞きしてみると良いわね」
「はい、両親に確認してみます……それから、目の色が変化したことですが、自分では変化したということにも気付きませんでした。そんなことってありますか? 毎日見ている自分の顔の変化に気付かないなんてことがあるのでしょうか? 私、何か忘れていることがあるのかしら……」
「ルーちゃん、不安にさせてごめんなさい。目の色の変化については、まだ情報が足りなくて明確な答えを言うことができないの。初めは、家族の特性や環境的な影響があったのかと思って調べたけど、決定的な答えは見つからなかったわ」
「そうですか……でも、教えていただきありがとうございます。自分のことなのに、これまで何も知らずに過ごしてきたなんて……、教えていただいたこと、本当に感謝します」
ルイーズの顔色が、少し悪くなってきたことを心配したイリスは、ルイーズに声を掛ける。
「ルイーズちゃん、貴女は身勝手な大人の問題に巻き込まれただけなの。本来なら、こんなことで思い悩むことなんてないのよ。ご家族の皆さんも、貴女がただ健やかに、毎日の生活を営むことを望んでいると思うわ」
「ありがとうございます」
「本当に良く似ているわ。貴女のお祖父様もとても清廉な方で、近くにいると皆が穏やかな気持ちになれるような……、とても不思議な方だったわ。ルイーズちゃんは外見だけでなく、雰囲気もお祖父様に似ているわね。お祖父様がお祖母様を大切にされている様子を見て、憧れを抱いていた女学生は多かったのではないかしら」
微笑みながら、視線を交わすイリスとルイーズ。家族の話を聞いて、どうやら少しだけ気持ちを持ち直すことができたようだ。
「リザちゃん、話しの途中でごめんなさい。ルイーズちゃんがこのまま話を聞けるようなら、続けてもらえるかしら」
「はい。イリス様……ありがとうございます。ルーちゃん、先ほどの続きを話しても良いかしら」
「はい、よろしくお願いします」
ルイーズの返事に頷き返し、話し始めたエリザベス。
「さっきは、ルーちゃんの目の色が変化するような『何か』があった、と話したけど、50年前の問題が起こったとき、第三王女に籠絡された人たちは、もっとひどい状態だったらしいの。思考が乱された人や、寝たきりの状態になった人、症状は人それぞれだったらしいわ。
そのことを聞いていたから、その時に使われた『何か』によって、ルーちゃんの目の色が変化したのなら、最悪な状態にならなくてよかったと皆で話していたの」
「もしかして……、ルーちゃんは癒しの力が強かったから、助かったということか……」
話しの途中で、レアのつぶやきが聞こえてきた。
「癒しというより、浄化の力ではないかしら。ブラン家には悪いものを取り除く力があるって、さっき言っていたし……」
「ああ、そうだな。癒しより、浄化の方が強力そうだな。エマが前に話していた遠方の国にもそのような力があったな」
「そうね」
「二人とも、勝手に話を進めないでちょうだい」
「すまない……」「ごめんなさい」
レアとエマが話始めたことで、ルイーズが混乱することを避けたいエリザベスが、二人の会話を止めたようだ。
「ルーちゃん、今二人が話していたことだけど、ブラン家にはそういう力があるから、ルーちゃんは危害を加えられたときに、自己防衛できたのではないか、または時間を掛けて悪いものを取り除くことができたのではないか、という予想の話を修道院長様とお話していたの。
それとさっき話した『何か』については、私たちも危険だからと詳しい話を聞かせてもらえていないの。でも、有耶無耶にされていると答え合わせができない。だから、今日は前に話した協力関係にある外部の方たちに説明してもらうことになっているの。
ここまで一気に話してしまったから、疲れていないかしら? 外部の人たちがくるまで、少し休憩にしましょう。修道院長様、よろしいでしょうか?」
「そうね、そうしましょう」
休憩時間をもらった二人は、気分転換をするために、外の空気を吸いに行ったようだ。
ルイーズの質問にはイリスが答えるようだ。
「お祖父様とお祖母様はご存じのことも多いかもしれないわ。他のご家族は分からないけど、ルイーズちゃんに変化があったのなら、お父様やお母様も何かお気づきのことがあるのではないかしら。お家の事に関しては、直接お聞きしてみると良いわね」
「はい、両親に確認してみます……それから、目の色が変化したことですが、自分では変化したということにも気付きませんでした。そんなことってありますか? 毎日見ている自分の顔の変化に気付かないなんてことがあるのでしょうか? 私、何か忘れていることがあるのかしら……」
「ルーちゃん、不安にさせてごめんなさい。目の色の変化については、まだ情報が足りなくて明確な答えを言うことができないの。初めは、家族の特性や環境的な影響があったのかと思って調べたけど、決定的な答えは見つからなかったわ」
「そうですか……でも、教えていただきありがとうございます。自分のことなのに、これまで何も知らずに過ごしてきたなんて……、教えていただいたこと、本当に感謝します」
ルイーズの顔色が、少し悪くなってきたことを心配したイリスは、ルイーズに声を掛ける。
「ルイーズちゃん、貴女は身勝手な大人の問題に巻き込まれただけなの。本来なら、こんなことで思い悩むことなんてないのよ。ご家族の皆さんも、貴女がただ健やかに、毎日の生活を営むことを望んでいると思うわ」
「ありがとうございます」
「本当に良く似ているわ。貴女のお祖父様もとても清廉な方で、近くにいると皆が穏やかな気持ちになれるような……、とても不思議な方だったわ。ルイーズちゃんは外見だけでなく、雰囲気もお祖父様に似ているわね。お祖父様がお祖母様を大切にされている様子を見て、憧れを抱いていた女学生は多かったのではないかしら」
微笑みながら、視線を交わすイリスとルイーズ。家族の話を聞いて、どうやら少しだけ気持ちを持ち直すことができたようだ。
「リザちゃん、話しの途中でごめんなさい。ルイーズちゃんがこのまま話を聞けるようなら、続けてもらえるかしら」
「はい。イリス様……ありがとうございます。ルーちゃん、先ほどの続きを話しても良いかしら」
「はい、よろしくお願いします」
ルイーズの返事に頷き返し、話し始めたエリザベス。
「さっきは、ルーちゃんの目の色が変化するような『何か』があった、と話したけど、50年前の問題が起こったとき、第三王女に籠絡された人たちは、もっとひどい状態だったらしいの。思考が乱された人や、寝たきりの状態になった人、症状は人それぞれだったらしいわ。
そのことを聞いていたから、その時に使われた『何か』によって、ルーちゃんの目の色が変化したのなら、最悪な状態にならなくてよかったと皆で話していたの」
「もしかして……、ルーちゃんは癒しの力が強かったから、助かったということか……」
話しの途中で、レアのつぶやきが聞こえてきた。
「癒しというより、浄化の力ではないかしら。ブラン家には悪いものを取り除く力があるって、さっき言っていたし……」
「ああ、そうだな。癒しより、浄化の方が強力そうだな。エマが前に話していた遠方の国にもそのような力があったな」
「そうね」
「二人とも、勝手に話を進めないでちょうだい」
「すまない……」「ごめんなさい」
レアとエマが話始めたことで、ルイーズが混乱することを避けたいエリザベスが、二人の会話を止めたようだ。
「ルーちゃん、今二人が話していたことだけど、ブラン家にはそういう力があるから、ルーちゃんは危害を加えられたときに、自己防衛できたのではないか、または時間を掛けて悪いものを取り除くことができたのではないか、という予想の話を修道院長様とお話していたの。
それとさっき話した『何か』については、私たちも危険だからと詳しい話を聞かせてもらえていないの。でも、有耶無耶にされていると答え合わせができない。だから、今日は前に話した協力関係にある外部の方たちに説明してもらうことになっているの。
ここまで一気に話してしまったから、疲れていないかしら? 外部の人たちがくるまで、少し休憩にしましょう。修道院長様、よろしいでしょうか?」
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休憩時間をもらった二人は、気分転換をするために、外の空気を吸いに行ったようだ。
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