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一学期
とある日の仁への手紙
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仁へ
まずは誕生日おめでとう。いきなりこんな手紙をもらってとても困惑していると思う。お前と出会ったのは3歳の幼稚園の頃。今年でなんと15年目の節目を迎えることになったらしい。それを記念するわけでもないけれど、おそらく、一緒の学校に通うのは今年で最後になると思うから、お前との思い出を書き留めておきたいと思った。
さすがに3歳のころからのことは覚えていないけれど、最初は友達というよりもただの知り合い。今では親友と呼んでもいい、お前ともそんな頃があったんだと俺は今でもしっかりと覚えてる。ただ、他の子たちとはない共通点が俺とお前にはあったんだよな。両親が共働きで預かり保育でいっしょだった。そこからどんどん仲良くなっていった記憶がある。仲良くなりすぎて先に迎えに来てた母さんを無視してお前と一緒に遊んだ日もあった気がする。
幼稚園を卒業するころのアルバムを開いたら、俺の隣には絶対にお前がいて……たぶん、家族写真よりもお前といる写真の方が多いぐらいで、この手紙を書くために見直して思わず笑ったよ。
小学校に入ると順って仲間も加わってどこ行く時も3人と一緒だったよな。それは今でも変わってないし……できればこれからも変えたくない。でも、今日は仁の誕生日だから仁と俺だけの思い出だけを思い出そうと思う。
あの優等生の仁がきっと、人生で最初で最後、先生に大目玉を喰らったことを……きっと、仁も忘れていないと思う。俺と仁はこともあろうに修学旅行で迷子になって知らない土地を一緒に歩き回った。あの時、俺はものすごくワクワクして冒険気分だったけど、仁は初めてイケナイことをして不安で怖がっていたよな。しかも、俺が勝手に色々動くもんだから結局、迷子になってから2時間ぐらいしてようやく先生に見つけられた。あの時はごめんなっ! お前の言う通りにしてればすぐに先生と合流できたと思う。ただ、あの時の思い出は俺の中で宝ものになってる。また、予定なんて立てずに、立てても無視した旅行を卒業旅行でしよう!
そして、中学、小学校の時から変わらず仲良くしてもらってたが一番は……やぱり受験だと思う。あの時は本当に迷惑かけたし、ほんっとうに感謝してる。先生役を買って出てくれたのは嬉しかった。仁の教え方がうまかったから今、同じ高校で同じクラスになれた。今年もその感謝の気持ちを込めてプレゼントを用意してる。この手紙もその一環……俺からのプレゼントだ。
最後に高校……思い返すとやっぱりバカして、遊んで……期末とかテストの前になると死ぬほど勉強しての繰り返し……いつも通りの日常がそのまま続いていくと思ってたけど、あっという間に卒業間近の3年生。
ただ、中学生の時と同じで高校もきっとここからのラストスパートがやばいことになることを俺は確信している。この規模のパーティーで誕生会を祝えるとかもはや意味が分からない。でも、きっとこんなイベントが続くと俺は思っている。いや、こんなのがたくさん起こるように頑張ろうと思ってる。
高校最後、一緒の学校もたぶん、これが最後……だから全力で俺と楽しんでくれると嬉しい。
親友、遥より
~~~
「こ、こんなもんか……」
手紙にしては少し長くなってしまったような気がしないでもないが、書きたいことを全部かいたらこうなってしまった。遥に後悔はなかった。
強いて後悔をあげるのであれば……何度も書き直した結果、更に新しいレターセットを購入することになってしまったことぐらいだろう。一組ドドにあげてしまったばっかりに招いた結果ゆえにさらに悔しかった。
「とりあえず、本番で……これ、ひょっとして俺、読まされるやつか? 読んだ方がいいのか?」
ドドがどこまで干渉しているかわからないから逆に怖い。遥は念の為、誤字を確かめる意味でもこれを読めるように軽く練習をしておくのだった。
まずは誕生日おめでとう。いきなりこんな手紙をもらってとても困惑していると思う。お前と出会ったのは3歳の幼稚園の頃。今年でなんと15年目の節目を迎えることになったらしい。それを記念するわけでもないけれど、おそらく、一緒の学校に通うのは今年で最後になると思うから、お前との思い出を書き留めておきたいと思った。
さすがに3歳のころからのことは覚えていないけれど、最初は友達というよりもただの知り合い。今では親友と呼んでもいい、お前ともそんな頃があったんだと俺は今でもしっかりと覚えてる。ただ、他の子たちとはない共通点が俺とお前にはあったんだよな。両親が共働きで預かり保育でいっしょだった。そこからどんどん仲良くなっていった記憶がある。仲良くなりすぎて先に迎えに来てた母さんを無視してお前と一緒に遊んだ日もあった気がする。
幼稚園を卒業するころのアルバムを開いたら、俺の隣には絶対にお前がいて……たぶん、家族写真よりもお前といる写真の方が多いぐらいで、この手紙を書くために見直して思わず笑ったよ。
小学校に入ると順って仲間も加わってどこ行く時も3人と一緒だったよな。それは今でも変わってないし……できればこれからも変えたくない。でも、今日は仁の誕生日だから仁と俺だけの思い出だけを思い出そうと思う。
あの優等生の仁がきっと、人生で最初で最後、先生に大目玉を喰らったことを……きっと、仁も忘れていないと思う。俺と仁はこともあろうに修学旅行で迷子になって知らない土地を一緒に歩き回った。あの時、俺はものすごくワクワクして冒険気分だったけど、仁は初めてイケナイことをして不安で怖がっていたよな。しかも、俺が勝手に色々動くもんだから結局、迷子になってから2時間ぐらいしてようやく先生に見つけられた。あの時はごめんなっ! お前の言う通りにしてればすぐに先生と合流できたと思う。ただ、あの時の思い出は俺の中で宝ものになってる。また、予定なんて立てずに、立てても無視した旅行を卒業旅行でしよう!
そして、中学、小学校の時から変わらず仲良くしてもらってたが一番は……やぱり受験だと思う。あの時は本当に迷惑かけたし、ほんっとうに感謝してる。先生役を買って出てくれたのは嬉しかった。仁の教え方がうまかったから今、同じ高校で同じクラスになれた。今年もその感謝の気持ちを込めてプレゼントを用意してる。この手紙もその一環……俺からのプレゼントだ。
最後に高校……思い返すとやっぱりバカして、遊んで……期末とかテストの前になると死ぬほど勉強しての繰り返し……いつも通りの日常がそのまま続いていくと思ってたけど、あっという間に卒業間近の3年生。
ただ、中学生の時と同じで高校もきっとここからのラストスパートがやばいことになることを俺は確信している。この規模のパーティーで誕生会を祝えるとかもはや意味が分からない。でも、きっとこんなイベントが続くと俺は思っている。いや、こんなのがたくさん起こるように頑張ろうと思ってる。
高校最後、一緒の学校もたぶん、これが最後……だから全力で俺と楽しんでくれると嬉しい。
親友、遥より
~~~
「こ、こんなもんか……」
手紙にしては少し長くなってしまったような気がしないでもないが、書きたいことを全部かいたらこうなってしまった。遥に後悔はなかった。
強いて後悔をあげるのであれば……何度も書き直した結果、更に新しいレターセットを購入することになってしまったことぐらいだろう。一組ドドにあげてしまったばっかりに招いた結果ゆえにさらに悔しかった。
「とりあえず、本番で……これ、ひょっとして俺、読まされるやつか? 読んだ方がいいのか?」
ドドがどこまで干渉しているかわからないから逆に怖い。遥は念の為、誤字を確かめる意味でもこれを読めるように軽く練習をしておくのだった。
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