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3部
193話 決死隊
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その後、ガンバは数回の現地調査を行った。
オクトに察知されるわけにいかないから、リハーサルは出来ない。ぶっつけ本番、一発勝負だ。
僅かな同志を引き連れて、ガンバは死地へ赴いた。もう集落へ戻る事はない。成功しようがしまいが、どうせ死ぬ。
仕舞ってある魔物のコアを見やり、ガンバは手を触れた。
途端に、力を吸い取られてしまう。このコアは触れた途端に所有者の命を貪る性質を持っている、以前試運転で不完全な復活をさせた際、ガンバは数ヶ月昏睡してしまった。
もしも、完全に顕現させた場合……間違いなくガンバは死ぬ。でももう、構わないんだ。
ナルガの居ない世界に、生きている意味なんかない。最期は勇ましく戦って、彼女の下へ向かうんだ。
「ミック」
「なんだい?」
「この数日間、悪くはなかった。束の間だが、お前と居る時間だけは、心が安らいだ」
「そっか。私もさ、夢が叶って幸せだったよ。泡沫に潰れる夢だとしても、私にとって、救いだった」
ミックは馬を並ばせると、ガンバの手を握った。
小さな手を握りしめ、ガンバは唇を真一文字にした。
こんな愚か者のために、彼女は健気に献身をしてくれた。ミックが居なければ、恐らくガンバは、道半ばで倒れていただろう。
彼女には、感謝するしかない。許されるのであれば、彼女に願いを。
「ミック、たった一つだけ、約束してくれないか。俺が死んだら、お前も同じ所へ来てほしい。一人で彷徨うのは、俺でも寂しいからな」
「いいよ。あんたの行く先ならどこへでもついて行ってあげる。私が居る限り、寂しい思いなんか絶対にさせない」
本当は、ガンバにも生きていてほしかった。
でもガンバは、生きるのを諦めている。何度言っても、自分の人生に希望を持てなかった。……自分では、ガンバの希望になれなかった。
ミックは顔を伏せ、涙を隠した。
いいんだ、死後も彼と一緒に居る約束をしたんだ。生きて出来なかった事を、死んでから沢山、思う存分やってやる。
「さ、声を上げなよ。リーダーのあんたが暗くちゃ、皆やる気が出てこないよ」
「ああ……同志達よ! 雌伏の時は終わった! これより我らは、勇者オクトへの返報を行う! 奴は我らの誇り、我らの尊厳! 我らの象徴を奪い破壊した賊だ! 魔王様、ナルガ様への弔いのため、今こそ命を使う時! 必ずや彼奴を、勇者を滅ぼし! 我らが復讐の雪辱を果たすのだ!」
勇ましい雄たけびが上がった。ガンバ達は馬を駆り、作戦のポイントまで走っていく。
彼らにとって、最期の時間が幕を開けた。
オクトに察知されるわけにいかないから、リハーサルは出来ない。ぶっつけ本番、一発勝負だ。
僅かな同志を引き連れて、ガンバは死地へ赴いた。もう集落へ戻る事はない。成功しようがしまいが、どうせ死ぬ。
仕舞ってある魔物のコアを見やり、ガンバは手を触れた。
途端に、力を吸い取られてしまう。このコアは触れた途端に所有者の命を貪る性質を持っている、以前試運転で不完全な復活をさせた際、ガンバは数ヶ月昏睡してしまった。
もしも、完全に顕現させた場合……間違いなくガンバは死ぬ。でももう、構わないんだ。
ナルガの居ない世界に、生きている意味なんかない。最期は勇ましく戦って、彼女の下へ向かうんだ。
「ミック」
「なんだい?」
「この数日間、悪くはなかった。束の間だが、お前と居る時間だけは、心が安らいだ」
「そっか。私もさ、夢が叶って幸せだったよ。泡沫に潰れる夢だとしても、私にとって、救いだった」
ミックは馬を並ばせると、ガンバの手を握った。
小さな手を握りしめ、ガンバは唇を真一文字にした。
こんな愚か者のために、彼女は健気に献身をしてくれた。ミックが居なければ、恐らくガンバは、道半ばで倒れていただろう。
彼女には、感謝するしかない。許されるのであれば、彼女に願いを。
「ミック、たった一つだけ、約束してくれないか。俺が死んだら、お前も同じ所へ来てほしい。一人で彷徨うのは、俺でも寂しいからな」
「いいよ。あんたの行く先ならどこへでもついて行ってあげる。私が居る限り、寂しい思いなんか絶対にさせない」
本当は、ガンバにも生きていてほしかった。
でもガンバは、生きるのを諦めている。何度言っても、自分の人生に希望を持てなかった。……自分では、ガンバの希望になれなかった。
ミックは顔を伏せ、涙を隠した。
いいんだ、死後も彼と一緒に居る約束をしたんだ。生きて出来なかった事を、死んでから沢山、思う存分やってやる。
「さ、声を上げなよ。リーダーのあんたが暗くちゃ、皆やる気が出てこないよ」
「ああ……同志達よ! 雌伏の時は終わった! これより我らは、勇者オクトへの返報を行う! 奴は我らの誇り、我らの尊厳! 我らの象徴を奪い破壊した賊だ! 魔王様、ナルガ様への弔いのため、今こそ命を使う時! 必ずや彼奴を、勇者を滅ぼし! 我らが復讐の雪辱を果たすのだ!」
勇ましい雄たけびが上がった。ガンバ達は馬を駆り、作戦のポイントまで走っていく。
彼らにとって、最期の時間が幕を開けた。
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