45 / 207
1部
45話 支離滅裂な光景
しおりを挟む
日曜日になると、ラコ村の子供達は教会へ向かう。教会では週に一度、子供達に読み書きや計算を教える日曜学校を開くのだ。
ナルガはハローとエドウィンと連れ立って、子供達の引率をしていた。
この世界の識字率は低く、ハローの居る国も都市部を除くと自分の名前すら書けない大人が多数居る。そのため各地の教会が慈善活動の一環として実施しているのだ。
「中々いい仕組みが出来ているようだ」
ナルガは捨て子で、十歳までまともな教育を受けられなかったから、勉学のありがたみが良く分かる。勉学の機会があるだけ、ラコ村の子供達は恵まれているようだ。
「アリスといっしょだーうーれしいなー」
ミコはナルガの手を繋ぎ、ぶんぶん振り回している。ハローの惨劇を忘れているのは、運がいいと言うべきか。
「日曜学校は楽しいか?」
「うん! 他の村のね、お友達と遊べるから!」
「勉強も大事だけど、他の村との関係を作るのも大切だしね」
「この辺りの村は、それぞれで作れない農作物とか畜産物を交換して支え合ってるからな。関係がこじれれば途端に成り立たなくなる。教会はその橋渡しの役割も持ってるってわけ」
「なるほどな……ミコ、後ろに」
狼の魔物が近づいたのを見て、ナルガは睨みつけた。威圧感に負け、魔物は逃げていく。
教会までの道中で魔物が出てくる事もある。子供達を守るため、ハロー達のような護衛が必要なのだ。
「ラコ村は教会から一番近いから徒歩だけど、遠い所だと送迎の馬車を出してるんだ」
「馬車を出してでも勉学は受けるべきだ、教会は良く分かっているようだな」
ナルガはうんうんと頷いた。そうこうしている内に教会へ到着し、ミネバが出迎えてくれた。
「ようこそおいでくださいました。道中大丈夫でしたか?」
「問題ない。ほらミコ、行ってこい」
「じゃーねー!」
ミコが見えなくなるまで、ナルガは手を振り続けた。
日曜学校か、少し興味があるな。
「授業を見てみますか」
「いいのか? しかし、司祭に私の正体を勘ぐられないだろうか」
「平気だろ別に。僕らも居るし、何より「魔王四天王が辺境の日曜学校で子供達の勉強を見守る」なんて光景、誰が信じると思う?」
確かに、支離滅裂な絵面である。特にナルガは国内では、「冷酷無比な四天王」として知れ渡っている。こんな場所で慈善活動に励むなんて、誰が思うのか。
「それならば入らせてもらうぞ」
「勿論。どうぞこちらへ」
ミネバに案内され、ナルガは小走りに向かった。子供達はどのように励んでいるのだろう。
ナルガはハローとエドウィンと連れ立って、子供達の引率をしていた。
この世界の識字率は低く、ハローの居る国も都市部を除くと自分の名前すら書けない大人が多数居る。そのため各地の教会が慈善活動の一環として実施しているのだ。
「中々いい仕組みが出来ているようだ」
ナルガは捨て子で、十歳までまともな教育を受けられなかったから、勉学のありがたみが良く分かる。勉学の機会があるだけ、ラコ村の子供達は恵まれているようだ。
「アリスといっしょだーうーれしいなー」
ミコはナルガの手を繋ぎ、ぶんぶん振り回している。ハローの惨劇を忘れているのは、運がいいと言うべきか。
「日曜学校は楽しいか?」
「うん! 他の村のね、お友達と遊べるから!」
「勉強も大事だけど、他の村との関係を作るのも大切だしね」
「この辺りの村は、それぞれで作れない農作物とか畜産物を交換して支え合ってるからな。関係がこじれれば途端に成り立たなくなる。教会はその橋渡しの役割も持ってるってわけ」
「なるほどな……ミコ、後ろに」
狼の魔物が近づいたのを見て、ナルガは睨みつけた。威圧感に負け、魔物は逃げていく。
教会までの道中で魔物が出てくる事もある。子供達を守るため、ハロー達のような護衛が必要なのだ。
「ラコ村は教会から一番近いから徒歩だけど、遠い所だと送迎の馬車を出してるんだ」
「馬車を出してでも勉学は受けるべきだ、教会は良く分かっているようだな」
ナルガはうんうんと頷いた。そうこうしている内に教会へ到着し、ミネバが出迎えてくれた。
「ようこそおいでくださいました。道中大丈夫でしたか?」
「問題ない。ほらミコ、行ってこい」
「じゃーねー!」
ミコが見えなくなるまで、ナルガは手を振り続けた。
日曜学校か、少し興味があるな。
「授業を見てみますか」
「いいのか? しかし、司祭に私の正体を勘ぐられないだろうか」
「平気だろ別に。僕らも居るし、何より「魔王四天王が辺境の日曜学校で子供達の勉強を見守る」なんて光景、誰が信じると思う?」
確かに、支離滅裂な絵面である。特にナルガは国内では、「冷酷無比な四天王」として知れ渡っている。こんな場所で慈善活動に励むなんて、誰が思うのか。
「それならば入らせてもらうぞ」
「勿論。どうぞこちらへ」
ミネバに案内され、ナルガは小走りに向かった。子供達はどのように励んでいるのだろう。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる