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探偵ヌーッティ
4.犯人(?)は誰だ
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「何だ⁈ 貴様たちは!」
怪訝な表情の白鳥がヌーッティたちに向かって叫んだ。
だが、ヌーッティは怯まなかった。
「そっちこそなんだヌー! 怪しい白鳥のくせにヌー!」
「状況的に白鳥がここにいること自体が怪しいと思うけど?」
アレクシが的確なつっこみをヌーッティに入れた。
「待ってください。あの白鳥ただの白鳥ではありませんわ」
リュリュが真剣な表情で、臨戦態勢でヌーッティたちに注意を促した。
「喋った時点でただの白鳥じゃないだろ」
アキは溜め息混じりにリュリュに応えたが、
「そうじゃない。あの白鳥、精霊だよ」
警戒しているトゥーリがアキに告げた。
「何者だヌー! 名を名乗るヌー!」
ヌーッティが勇んで声を張り上げた。
白鳥はヴィヒタを脇へ投げ捨てると鼻で笑い、
「俺の名はヨウカハイネン、ラップの英雄だ!」
両翼を広げて名乗った。
「ヨウカハイネン……」
アキが呟いた。
「久しいな、不滅の詩人ワイナミョイネンの魔法を受け継ぐ者よ!」
そう名乗った白鳥へとアキは堂々と歩いて行き、少し屈んで白鳥を抱き上げた。
「重っ……!」
白鳥を持ったアキは状況が飲み込めていないヌーッティたちの間を通り抜け、階段を上り玄関へと向かった。ヌーッティたちは黙ってアキの後に続いた。
玄関の木製のドアを押し開けると、アキは雪に覆われた外へ白鳥を放り、
「帰れ」
そう言ってドアをバタンと閉めた。
「さ、戻って部屋の掃除を再開するぞ」
気を取り直すようにアキはヌーッティたちに声をかけた。ヌーッティたちはぽかんとした表情でアキを見つめていた。
すると、こんこんこん! と、杖か何かで玄関のドアを叩く音が聞こえてきた。
音は次第に大きくなり、やがて、
「開けろ! わざわざ俺が来てやったんだぞ!」
先程の白鳥と同じ声色の叫びが聞こえてきた。
アキはドアを勢いよく開けた。
ばん! と物の当たる音がした。
「うるさい! 何なんだよ⁈」
開いたドアの先に白鳥の姿はなかった。
「急に開けるな!」
声と共に、ドア横から白鳥の顔がひょこっと現れた。
「何の用なんだよ、ヨウカハイネン」
アキは白鳥を目を細めて見やった。
この白鳥ヨウカハイネンは、白鳥の姿をしてはいるが、とある事件で人間の姿が保てなくなった青年である。青年といっても、神々の時代から生きているので見た目イコール実年齢ではない。その上、雷の精霊もどきであった。ここら辺の経緯は後々語るにしても、この白鳥、一応はアキの知り合いなのであった。
「何の用とは、偉そうな言い草だな!」
横柄な態度のヨウカハイネンと、彼に呆れた眼差しを向けているアキの様子を見てトゥーリたちの警戒も薄らいでいった。
「食い物がここに沢山あると聞いてやって来てやったのだ。せっかくお菓子を食べて、サウナで一服していたら……。まさか貴様の家だったとはな!」
ヨウカハイネンは翼を胸の前で組む様なポーズで、首を傾けアキを見据えていた。
「やっぱりこの白鳥が犯人だったヌー!」
ヌーッティがアキと白鳥の間に割って入った。その時、
「ひぃいいいいいいい! く、くまぁあああああ⁈」
ヌーッティを視界に捉えたヨウカハイネンが大きく後退さった。
「何だよ? 今度は」
アキがヨウカハイネンを見て尋ねた。
「ああ、なるほど」
トゥーリとアレクシとリュリュだけが自体を飲み込めた。
アキはしゃがみ込みトゥーリに、
「どういうこと?」
ヌーッティとヨウカハイネンを見つめつつ尋ねた。
「あの白鳥、雷の精霊なんでしょ? 小熊の妖精であるヌーッティが怖いんだよ」
トゥーリはそう切り出すと、精霊の序列についてアキに話した。
精霊や妖精の間には序列というものが存在する。その最高位に熊の精霊と妖精が君臨している。ヌーッティは、ああ見えて一応は熊の妖精。雷の精霊ヨウカハイネンより上位にいる。
「つまり、ヨウカハイネンにとっては畏怖の対象なのさ。あのヌーッティでもね」
そうアレクシが付け加えた。
納得した面持ちでアキは立ち上がると数歩歩いて、庭先を駆け回っているーー正確にはヨウカハイネンを追い回しているヌーッティを掴み取った。
「なにするヌー! ヌーッティの無実を証明するヌー! この白鳥が真犯人だヌー!」
ヌーッティはアキの手の中でもがきながら叫んだ。
「大丈夫だよ。ヌーッティが部屋を散らかしたんじゃないってわかったから」
アキは優しくヌーッティの頭を撫でて、ヌーッティを落ち着かせた。それから、息切れを起こしている白鳥ヨウカハイネンへ視線を移し、
「通報な」
にっこり笑って、動物保護団体へ電話した。
数分後、アキの家に到着した保護団体によって白鳥は捕獲(保護?)された。キッチンや地下室が荒らされた犯人はすべて迷い白鳥の仕業となり、事件は一件落着となった。
けれども、後に残されたのは大掃除という名の仕事であった。
新年まであと72時間を切っていた。
怪訝な表情の白鳥がヌーッティたちに向かって叫んだ。
だが、ヌーッティは怯まなかった。
「そっちこそなんだヌー! 怪しい白鳥のくせにヌー!」
「状況的に白鳥がここにいること自体が怪しいと思うけど?」
アレクシが的確なつっこみをヌーッティに入れた。
「待ってください。あの白鳥ただの白鳥ではありませんわ」
リュリュが真剣な表情で、臨戦態勢でヌーッティたちに注意を促した。
「喋った時点でただの白鳥じゃないだろ」
アキは溜め息混じりにリュリュに応えたが、
「そうじゃない。あの白鳥、精霊だよ」
警戒しているトゥーリがアキに告げた。
「何者だヌー! 名を名乗るヌー!」
ヌーッティが勇んで声を張り上げた。
白鳥はヴィヒタを脇へ投げ捨てると鼻で笑い、
「俺の名はヨウカハイネン、ラップの英雄だ!」
両翼を広げて名乗った。
「ヨウカハイネン……」
アキが呟いた。
「久しいな、不滅の詩人ワイナミョイネンの魔法を受け継ぐ者よ!」
そう名乗った白鳥へとアキは堂々と歩いて行き、少し屈んで白鳥を抱き上げた。
「重っ……!」
白鳥を持ったアキは状況が飲み込めていないヌーッティたちの間を通り抜け、階段を上り玄関へと向かった。ヌーッティたちは黙ってアキの後に続いた。
玄関の木製のドアを押し開けると、アキは雪に覆われた外へ白鳥を放り、
「帰れ」
そう言ってドアをバタンと閉めた。
「さ、戻って部屋の掃除を再開するぞ」
気を取り直すようにアキはヌーッティたちに声をかけた。ヌーッティたちはぽかんとした表情でアキを見つめていた。
すると、こんこんこん! と、杖か何かで玄関のドアを叩く音が聞こえてきた。
音は次第に大きくなり、やがて、
「開けろ! わざわざ俺が来てやったんだぞ!」
先程の白鳥と同じ声色の叫びが聞こえてきた。
アキはドアを勢いよく開けた。
ばん! と物の当たる音がした。
「うるさい! 何なんだよ⁈」
開いたドアの先に白鳥の姿はなかった。
「急に開けるな!」
声と共に、ドア横から白鳥の顔がひょこっと現れた。
「何の用なんだよ、ヨウカハイネン」
アキは白鳥を目を細めて見やった。
この白鳥ヨウカハイネンは、白鳥の姿をしてはいるが、とある事件で人間の姿が保てなくなった青年である。青年といっても、神々の時代から生きているので見た目イコール実年齢ではない。その上、雷の精霊もどきであった。ここら辺の経緯は後々語るにしても、この白鳥、一応はアキの知り合いなのであった。
「何の用とは、偉そうな言い草だな!」
横柄な態度のヨウカハイネンと、彼に呆れた眼差しを向けているアキの様子を見てトゥーリたちの警戒も薄らいでいった。
「食い物がここに沢山あると聞いてやって来てやったのだ。せっかくお菓子を食べて、サウナで一服していたら……。まさか貴様の家だったとはな!」
ヨウカハイネンは翼を胸の前で組む様なポーズで、首を傾けアキを見据えていた。
「やっぱりこの白鳥が犯人だったヌー!」
ヌーッティがアキと白鳥の間に割って入った。その時、
「ひぃいいいいいいい! く、くまぁあああああ⁈」
ヌーッティを視界に捉えたヨウカハイネンが大きく後退さった。
「何だよ? 今度は」
アキがヨウカハイネンを見て尋ねた。
「ああ、なるほど」
トゥーリとアレクシとリュリュだけが自体を飲み込めた。
アキはしゃがみ込みトゥーリに、
「どういうこと?」
ヌーッティとヨウカハイネンを見つめつつ尋ねた。
「あの白鳥、雷の精霊なんでしょ? 小熊の妖精であるヌーッティが怖いんだよ」
トゥーリはそう切り出すと、精霊の序列についてアキに話した。
精霊や妖精の間には序列というものが存在する。その最高位に熊の精霊と妖精が君臨している。ヌーッティは、ああ見えて一応は熊の妖精。雷の精霊ヨウカハイネンより上位にいる。
「つまり、ヨウカハイネンにとっては畏怖の対象なのさ。あのヌーッティでもね」
そうアレクシが付け加えた。
納得した面持ちでアキは立ち上がると数歩歩いて、庭先を駆け回っているーー正確にはヨウカハイネンを追い回しているヌーッティを掴み取った。
「なにするヌー! ヌーッティの無実を証明するヌー! この白鳥が真犯人だヌー!」
ヌーッティはアキの手の中でもがきながら叫んだ。
「大丈夫だよ。ヌーッティが部屋を散らかしたんじゃないってわかったから」
アキは優しくヌーッティの頭を撫でて、ヌーッティを落ち着かせた。それから、息切れを起こしている白鳥ヨウカハイネンへ視線を移し、
「通報な」
にっこり笑って、動物保護団体へ電話した。
数分後、アキの家に到着した保護団体によって白鳥は捕獲(保護?)された。キッチンや地下室が荒らされた犯人はすべて迷い白鳥の仕業となり、事件は一件落着となった。
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