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ヨウルプッキと空の旅
4.ヨウルプッキ
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サンタクロース村に着いたトゥーリとヌーッティは、北極圏の境界線のある場所へと向かった。そこには何本かの柱が立っていた。
トゥーリはきょろきょろと柱の上を見回す。すると目の前の柱の上に小さな影を捉えた。その影は柱からジャンプし、雪で覆われた地面に降り立った。
「モイ! ひさしぶり、トゥーリ!」
トゥーリとヌーッティの前に降り立った女の子の姿をした小人カティが元気よく挨拶をした。
「ひさしぶり、カティ」
トゥーリは素っ気なく答えた。
その横でヌーッティは目を輝かせながらカティを見つめていた。
「早くヨウルプッキのところに行きたいヌー! どこにいるヌー?」
ヌーッティは落ち着かない様子でカティに尋ねた。
「あー、はいはい。ヨウルプッキね。もうすぐお昼休みだから会えるよ。事務所のほうへ案内するよ。ついて来て」
カティはくるっと向きを変えて、サンタクロース村で1番大きな建物の方へ歩き出した。
トゥーリとヌーッティはカティの後ろに続いた。
入り口のドアの前に着くと、3人は人間の出入りに混じってするりと中へ入り込む。建物の中へ入るとカティの手招きでヨウルプッキのいる部屋へと案内された。写真撮影をする人間のスタッフがちょうど出払っていた。
部屋の中央に置かれた椅子に、大柄な老年の男性が1人座っていた。くるっと癖毛の真っ白な長い髭と頭髪に、赤色を基調とした洋服を着ていた。
「ヨウルプッキ!」
カティが男性の名前を呼んで、老人のもとへ駆け寄った。
ヨウルプッキと呼ばれた男性は当たりを見渡すと、足元のカティに気が付いた。
「カティ! どうしたんだい? 君がここへ来るなんて珍しいね」
言いながらヨウルプッキは椅子から立ち上がり、屈んで足元にいるカティを腕に乗せた。
「今日は特別なゲストがいるんだよ。なんと、あのトゥーリと例のヌーッティが来てるんだ!」
カティは少し離れた場所にいるトゥーリとヌーッティを指で指し示した。
ヨウルプッキはトゥーリたちに視線を移すと、
「おお! トゥーリ! ひさしぶりじゃないか! 元気にしていたかい?」
立ち上がり、大股で歩いてトゥーリとヌーッティのところへやって来てしゃがみ込んだ。
「ふつう。今日はヌーッティのことでここへ来たの」
あまり気乗りのしない様子でトゥーリはヨウルプッキに答えた。
「ヌーッティのこと? 小熊の妖精がどうしたんだい?」
「ヌーッティはクリスマスプレゼントをヨウルプッキからもらいたいヌー! カティがトゥーリと一緒にヨウルプッキのお手伝いをすればもらえるって言ったヌー!」
トゥーリが答えるより早く、ヌーッティが事情を話した。
ヨウルプッキは長い髭を手で撫でながら困った表情をした。
「残念だが、私にはもうどうにもできないんだよ、ヌーッティ。リストはできてしまっているし、困ったなぁ」
カティがヨウルプッキの髭をちょいちょいと引っ張った。
「ヤロとイロのお手伝いをすればいいんだよ。だって、今あの2人の部署って1番忙しいんでしょ?」
カティの言葉にヨウルプッキはなるほどといった様子で頷き、ヌーッティは眉をひそめて首を傾げた。
「なにを言ってるヌー? ヌーッティたちはそんな知らない人たちのお手伝いをしに来たんじゃないヌー。ヨウルプッキのお手伝いがしたいヌー」
それを聞いたカティはけらけらと笑い、トゥーリは溜め息を吐いた。
「この小熊は知らないのかい?」
ヨウルプッキはカティに尋ねた。
「知らないよ」
カティは簡潔に答えた。
ヌーッティはトゥーリに視線を移し、
「よくわからないヌー」
困惑した面持ちでトゥーリをじっと見つめる。
トゥーリはヌーッティに目を向ける。
「あのね、ヨウルプッキは3人いるんだよ」
その言葉にヌーッティの思考はさらに混線した。
トゥーリはきょろきょろと柱の上を見回す。すると目の前の柱の上に小さな影を捉えた。その影は柱からジャンプし、雪で覆われた地面に降り立った。
「モイ! ひさしぶり、トゥーリ!」
トゥーリとヌーッティの前に降り立った女の子の姿をした小人カティが元気よく挨拶をした。
「ひさしぶり、カティ」
トゥーリは素っ気なく答えた。
その横でヌーッティは目を輝かせながらカティを見つめていた。
「早くヨウルプッキのところに行きたいヌー! どこにいるヌー?」
ヌーッティは落ち着かない様子でカティに尋ねた。
「あー、はいはい。ヨウルプッキね。もうすぐお昼休みだから会えるよ。事務所のほうへ案内するよ。ついて来て」
カティはくるっと向きを変えて、サンタクロース村で1番大きな建物の方へ歩き出した。
トゥーリとヌーッティはカティの後ろに続いた。
入り口のドアの前に着くと、3人は人間の出入りに混じってするりと中へ入り込む。建物の中へ入るとカティの手招きでヨウルプッキのいる部屋へと案内された。写真撮影をする人間のスタッフがちょうど出払っていた。
部屋の中央に置かれた椅子に、大柄な老年の男性が1人座っていた。くるっと癖毛の真っ白な長い髭と頭髪に、赤色を基調とした洋服を着ていた。
「ヨウルプッキ!」
カティが男性の名前を呼んで、老人のもとへ駆け寄った。
ヨウルプッキと呼ばれた男性は当たりを見渡すと、足元のカティに気が付いた。
「カティ! どうしたんだい? 君がここへ来るなんて珍しいね」
言いながらヨウルプッキは椅子から立ち上がり、屈んで足元にいるカティを腕に乗せた。
「今日は特別なゲストがいるんだよ。なんと、あのトゥーリと例のヌーッティが来てるんだ!」
カティは少し離れた場所にいるトゥーリとヌーッティを指で指し示した。
ヨウルプッキはトゥーリたちに視線を移すと、
「おお! トゥーリ! ひさしぶりじゃないか! 元気にしていたかい?」
立ち上がり、大股で歩いてトゥーリとヌーッティのところへやって来てしゃがみ込んだ。
「ふつう。今日はヌーッティのことでここへ来たの」
あまり気乗りのしない様子でトゥーリはヨウルプッキに答えた。
「ヌーッティのこと? 小熊の妖精がどうしたんだい?」
「ヌーッティはクリスマスプレゼントをヨウルプッキからもらいたいヌー! カティがトゥーリと一緒にヨウルプッキのお手伝いをすればもらえるって言ったヌー!」
トゥーリが答えるより早く、ヌーッティが事情を話した。
ヨウルプッキは長い髭を手で撫でながら困った表情をした。
「残念だが、私にはもうどうにもできないんだよ、ヌーッティ。リストはできてしまっているし、困ったなぁ」
カティがヨウルプッキの髭をちょいちょいと引っ張った。
「ヤロとイロのお手伝いをすればいいんだよ。だって、今あの2人の部署って1番忙しいんでしょ?」
カティの言葉にヨウルプッキはなるほどといった様子で頷き、ヌーッティは眉をひそめて首を傾げた。
「なにを言ってるヌー? ヌーッティたちはそんな知らない人たちのお手伝いをしに来たんじゃないヌー。ヨウルプッキのお手伝いがしたいヌー」
それを聞いたカティはけらけらと笑い、トゥーリは溜め息を吐いた。
「この小熊は知らないのかい?」
ヨウルプッキはカティに尋ねた。
「知らないよ」
カティは簡潔に答えた。
ヌーッティはトゥーリに視線を移し、
「よくわからないヌー」
困惑した面持ちでトゥーリをじっと見つめる。
トゥーリはヌーッティに目を向ける。
「あのね、ヨウルプッキは3人いるんだよ」
その言葉にヌーッティの思考はさらに混線した。
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