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ヌーッティと魔法のティーポット
3.引き抜け! ヌーッティ!
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「ヌーッティ、今何て?」
青ざめた表情でアキはヌーッティに恐る恐る尋ねた。
ティーポットから上半身だけ出しているヌーッティは冷や汗をだらだらとかきながらアキを見つめ、
「ぬ、抜けられないヌー……」
言葉尻か細くアキに窮状を訴えた。
「入れたんだし出られるよな?」
カフェが妙な静まりを見せた。ややあって、ヌーッティが首を横に振ると、アキはティーポットを片腕で抱えるように持ち、もう片方の手でヌーッティの胴体を鷲掴みにした。
「せーの!」
アキは掛け声を上げると同時にヌーッティの身体をティーポットから引っ張る。
「痛いヌー! 痛いヌー! 痛いヌー!」
思いっきり引っ張られてヌーッティは泣き叫んだ。
けれどもヌーッティの身体はティーポットから抜けなかった。アキは更に力を込めてヌーッティを引っ張り出そうとする。
「痛い痛い痛い痛いヌー‼︎」
ヌーッティは泣き喚いた。
「何で出られないんだよ⁈ 太ったんじゃなのか、ヌーッティ⁈」
「なんて失礼なことを言うヌー! ヌーッティはトゥーリと同じ身長だヌー! きっと体重も同じだヌー!」
顔を青紫に変えたヌーッティが主張するも、
「身長が同じなだけだろ⁈ 何で出ないんだよ!」
アキの手に更に力が入る。
そんな2人の様子を健はげらげらと腹を抱えて笑っていた。トゥーリは両手を合わせて合掌をしていた。
アキはテーブルを叩いて笑い声を上げている健に視線を移すと、
「健! 握力は⁈」
問われた健は人差し指で涙を拭い、
「アキよりゃある」
自信たっぷりに答えた。
アキはヌーッティの胴体から手を離すとヌーッティ入りのティーポットを健に差し出す。
「頼む」
健はアキからティーポットを受け取ると、アキが持っていたようにポットを抱え持ち、ヌーッティの胴体を鷲掴む。
「ヌーッティ、準備はいいかー?」
健がヌーッティにやんわりと尋ねた。
「よくないヌー! 健が次になにをするのかわかるヌー! ヌーッティを引っ張るヌー!」
怯え震えながらヌーッティは返答し、
「はい、正解。じゃあ、痛いのは一瞬だから我慢な。せーの!」
掛け声と同時に健はヌーッティの胴体を捻りながら引っ張った。
ヌーッティの絶叫がカフェに響く。
しかし、それでもヌーッティの身体はティーポットから抜けられなかった。
健が眉間に皺を寄せる。
「力が足りない? なら、もう一回。せーの!」
さらに力を入れて捻り抜こうとする。引っ張られる力と比例するようにヌーッティの叫びも大きくなった。しかし、それでもヌーッティはティーポットにはまったままであった。
「ちょっとばーちゃんに聞いてくる!」
アキはそう言って祖母のいる厨房へ走って行った。
アキが戻るのに数分とかからなかった。もちろんこの間も健がヌーッティを引っ張り出そうと何回も試みていた。
戻ってきたアキの手には水で湿らせたキッチンクロスがあった。
それを見てヌーッティが首を横に振った。
「な、なにをする気だヌー⁈」
アキは真剣な面持ちでヌーッティを見つめる。
「ジャム瓶の蓋が取れない時と同じ対処法。すぐに楽になるからな、ヌーッティ」
「べつの意味でヌーッティが楽になっちゃうヌー!」
ヌーッティはぶんぶんと首を横に振る。
健のテーブルへ戻って来たアキは健からティーポットを受け取ると、湿らせたキッチンクロスでティーポットか出ているヌーッティを覆う。そしてクロスの上からヌーッティの胴体を掴んで捻るように引っ張った。
「ふーーーーーー!」
ヌーッティの叫びがクロスでぐぐもる。
何度か試してみたが、一向にヌーッティを引き抜けなかった。
さすがに健もヌーッティのことが心配になったのか、笑うことなく困った表情でアキとヌーッティを見守っていた。
そんな時であった。カフェのドアベルが鳴った。アキたちの視線が音の鳴った入り口へと向けられる。そこには長いブロンドを揺らしながら店内に入ってくる1人の少女がいた。
「ハンナ」
アキが少女の名前を口にした。
ハンナはキョトンとした顔でアキたちを見た。
「え? 何? どうしたの?」
状況が飲み込めないハンナは首を傾げた。
ハンナを見たヌーッティの顔は真っ白になった。
青ざめた表情でアキはヌーッティに恐る恐る尋ねた。
ティーポットから上半身だけ出しているヌーッティは冷や汗をだらだらとかきながらアキを見つめ、
「ぬ、抜けられないヌー……」
言葉尻か細くアキに窮状を訴えた。
「入れたんだし出られるよな?」
カフェが妙な静まりを見せた。ややあって、ヌーッティが首を横に振ると、アキはティーポットを片腕で抱えるように持ち、もう片方の手でヌーッティの胴体を鷲掴みにした。
「せーの!」
アキは掛け声を上げると同時にヌーッティの身体をティーポットから引っ張る。
「痛いヌー! 痛いヌー! 痛いヌー!」
思いっきり引っ張られてヌーッティは泣き叫んだ。
けれどもヌーッティの身体はティーポットから抜けなかった。アキは更に力を込めてヌーッティを引っ張り出そうとする。
「痛い痛い痛い痛いヌー‼︎」
ヌーッティは泣き喚いた。
「何で出られないんだよ⁈ 太ったんじゃなのか、ヌーッティ⁈」
「なんて失礼なことを言うヌー! ヌーッティはトゥーリと同じ身長だヌー! きっと体重も同じだヌー!」
顔を青紫に変えたヌーッティが主張するも、
「身長が同じなだけだろ⁈ 何で出ないんだよ!」
アキの手に更に力が入る。
そんな2人の様子を健はげらげらと腹を抱えて笑っていた。トゥーリは両手を合わせて合掌をしていた。
アキはテーブルを叩いて笑い声を上げている健に視線を移すと、
「健! 握力は⁈」
問われた健は人差し指で涙を拭い、
「アキよりゃある」
自信たっぷりに答えた。
アキはヌーッティの胴体から手を離すとヌーッティ入りのティーポットを健に差し出す。
「頼む」
健はアキからティーポットを受け取ると、アキが持っていたようにポットを抱え持ち、ヌーッティの胴体を鷲掴む。
「ヌーッティ、準備はいいかー?」
健がヌーッティにやんわりと尋ねた。
「よくないヌー! 健が次になにをするのかわかるヌー! ヌーッティを引っ張るヌー!」
怯え震えながらヌーッティは返答し、
「はい、正解。じゃあ、痛いのは一瞬だから我慢な。せーの!」
掛け声と同時に健はヌーッティの胴体を捻りながら引っ張った。
ヌーッティの絶叫がカフェに響く。
しかし、それでもヌーッティの身体はティーポットから抜けられなかった。
健が眉間に皺を寄せる。
「力が足りない? なら、もう一回。せーの!」
さらに力を入れて捻り抜こうとする。引っ張られる力と比例するようにヌーッティの叫びも大きくなった。しかし、それでもヌーッティはティーポットにはまったままであった。
「ちょっとばーちゃんに聞いてくる!」
アキはそう言って祖母のいる厨房へ走って行った。
アキが戻るのに数分とかからなかった。もちろんこの間も健がヌーッティを引っ張り出そうと何回も試みていた。
戻ってきたアキの手には水で湿らせたキッチンクロスがあった。
それを見てヌーッティが首を横に振った。
「な、なにをする気だヌー⁈」
アキは真剣な面持ちでヌーッティを見つめる。
「ジャム瓶の蓋が取れない時と同じ対処法。すぐに楽になるからな、ヌーッティ」
「べつの意味でヌーッティが楽になっちゃうヌー!」
ヌーッティはぶんぶんと首を横に振る。
健のテーブルへ戻って来たアキは健からティーポットを受け取ると、湿らせたキッチンクロスでティーポットか出ているヌーッティを覆う。そしてクロスの上からヌーッティの胴体を掴んで捻るように引っ張った。
「ふーーーーーー!」
ヌーッティの叫びがクロスでぐぐもる。
何度か試してみたが、一向にヌーッティを引き抜けなかった。
さすがに健もヌーッティのことが心配になったのか、笑うことなく困った表情でアキとヌーッティを見守っていた。
そんな時であった。カフェのドアベルが鳴った。アキたちの視線が音の鳴った入り口へと向けられる。そこには長いブロンドを揺らしながら店内に入ってくる1人の少女がいた。
「ハンナ」
アキが少女の名前を口にした。
ハンナはキョトンとした顔でアキたちを見た。
「え? 何? どうしたの?」
状況が飲み込めないハンナは首を傾げた。
ハンナを見たヌーッティの顔は真っ白になった。
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