(完結)乙女ゲームの悪役令嬢に転生しましたが、私オジ専なのでお構いなく

海野すじこ

文字の大きさ
7 / 27

悪役令嬢の不在 (ユリアside)

しおりを挟む


私の名前は那良美香。
前世は風俗で働いていた。

私の人生は悪くなかった。
お客さんにも人気だったし、容姿に恵まれていたので男には困らなかった。まさに最高の環境だった。

だけど···妻子持ちのお客さんと深い関係になり、相手の奥さんに関係がバレて、奥さんに刺されて死んでしまったみたい。

本当に最悪の気分。

ちょっと旦那さんを借りただけなのに···なにも刺さなくったっていいじゃない。

あの人と結婚できただけで幸せなんだから···私は幸せをちょっと分けてもらっただけよ?

それなのに、逆恨みとかあり得ない。

そんな事があって、私はどうやら異世界転生ってものをしてしまったみたいなの。

しかもどうやらこの世界、生前にハマってたゲームの世界みたいなんだよね。

しかも、私がヒロインのユリア。

気付いた時には嬉しかった。今世では勝ち組ね!

やっぱり神様は見ていたのよ。
私は悪くない。

神様は、可哀想な私が幸せになれる世界を用意してくれたんだもの。

私がこの世界の主役····最高の気分よ。
この世界も、全てのイケメン達も私の物。
頬が緩んじゃうわ。

「ドキドキ♡イケメン学園」はイラストが綺麗で、本当に大好きだった。

ヒロインのユリア・サージェントは没落寸前の男爵家の令嬢。

貧しい育ちだけど、持ち前の愛らしさと明るさで攻略対象の心の傷を癒すの。

見た目も、ピンクの髪にピンクの瞳が可愛いくて、小柄で華奢で守ってあげたくなるような可愛いらしい女の子。

まさに私にピッタリじゃない?

攻略対象もイケメン揃い。

みんな本当に格好良くて、どの攻略対象もみんなユリアに優しくて···ユリアが大好きなの。

その中でも、私の一番のお気に入りは王太子のエリック。

綺麗な金髪に、澄んだ青い瞳が綺麗なTHE王子様って感じがいい。
身長も高くて、物腰が柔らかくて···すごく優しい所も最高よね。

婚約者がとんでもなく性格が悪くて彼は傷ついているの。
婚約してるのに見向きもしないほど嫌いなんだもの···本当にエリックが可哀想よ。

早く彼を癒してあげたいわ···。

じつは、前世に深い関係になった人がエリックに少しだけ似てたの。

優しくて、格好良くて大好きだったわ。

奥さんよりも早く出会っていれば絶対幸せになれたのに···。
絶対、私と一緒の方が彼は幸せだったはずよ?


まあいいわ···。

この世界のエリックの方が、彼よりも何倍も格好良いもの。
私の美貌とテクニックで夢中にさせてやるんだから!
私···男の人を満足させるのには自信があるの。

攻略対象達に会うのが楽しみだわ!



── と思っていたのに何かがおかしい。


やっと学園に入学できたんだけど、攻略対象との出会いイベントは起こらないし、序盤に悪役令嬢のエレノアが、私に意地悪してくるはずなのに···。

なんで悪役令嬢がいないのよ?


ゲームだと入学式の時、私が悪役令嬢とぶつかって···ブチギレた悪役令嬢のエレノアが皆の前で私を酷く責めるの。

すると、エレノアの婚約者の王太子がエレノアから私を庇ってくれるの。

王太子が私を庇ったのが気に入らないエレノアは、私に手を上げようとして、逆に王太子から非難されるの。

その時、他の攻略対象も現れて皆が私を庇ってくれるはずだったのに···。

悪役令嬢であるアンタがいなきゃ話が始まらないじゃない!


周りにいたモブに、「なんで王太子の婚約者がいないの?」って聞いたら、ケガをして療養してるっていうことがわかった。

こんなに大事な日にいないなんて····!

なんて役立たずなの?

アンタは私の引き立て役でしょ!?


まあいいわ···。
まだ物語は始まったばかりだもの。

アンタが来ない間に、攻略対象との関係を深めてやるわ!

まずは一番のお気に入りエリックからよ。


放課後、エリックが帰り支度をしているのを見つけた。

悪役令嬢がいない今がチャンスね。

たくさん話しかけて仲良くならなくっちゃ。

「エリック様?初めまして。私はユリア・サージェントですぅ!同じクラスになれてユリアすごく嬉しいです!!私···ずっとエリック様とお話してみたくて···少しお話しませんかぁ?」

私は可愛く見えるように、上目遣いでエリックの腕にグイッと胸を押しつける。

これで落ちない男はいないはず。

しかし、エリックは私の方を見もせずに腕を振り払った。

もしかして照れてる?

エリックは「今急いでいるんだ。またにしてくれないか?」と足早に教室を出ていった。

はあ?なんでこっちを見ないのよ?

私はヒロインのユリアよ?
わざわざ私が話しかけてるのに···。

アンタと私は赤い糸で結ばれてるの。
アンタは私の事好きになるのよ?

それなのにどうしてこっちを見ようともしないのよ?
でも、慌てて出て行ったから照れてるのかしら?

この世界の男性はみんな純粋で奥手みたいだから···刺激が強すぎたのかな?

でもきっと美少女の胸が腕に当たって嬉しいはず!

これで落ちない男はいないもの!


私恋愛マスターなのよ?男の気持ちは手に取るように分かるわ!

今日は何か大事な用事があっただけだよね?

今日はたまたま都合が悪かっただけ。
エリックも「またにしてくれないか?」って言ってたし···。

他の日ならいいって事だよね?

私は優しいからこれくらいの事で怒ったりしないわ。

悪役令嬢のエレノアとは違うのよ。

でも···やっぱり悪役令嬢のエレノアがいないと話が始まらないわね。

こんな時にアイツ何してんのよ···。
役立たずにも程があるでしょ?

今日は王太子を諦め、他の攻略対象の所にも行ってみるが···やはりうまくいかない。

やはり悪役令嬢がいないとダメね。
引き立て役がいなきゃヒロインの私の魅力が伝わらないじゃない!

早く出て来なさいよっ!!!


















しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

愛される日は来ないので

豆狸
恋愛
だけど体調を崩して寝込んだ途端、女主人の部屋から物置部屋へ移され、満足に食事ももらえずに死んでいったとき、私は悟ったのです。 ──なにをどんなに頑張ろうと、私がラミレス様に愛される日は来ないのだと。

【番外編も完結】で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?

Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。 簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。 一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。 ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。 そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。 オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。 オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。 「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」 「はい?」 ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。 *--*--* 覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾ ★2/17 番外編を投稿することになりました。→完結しました! ★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓ このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。 第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」 第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」 第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」 どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ もしよかったら宜しくお願いしますね!

【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS

himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。 えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。 ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ! アルファポリス恋愛ランキング入りしました! 読んでくれた皆様ありがとうございます。 *他サイトでも公開中 なろう日間総合ランキング2位に入りました!

処理中です...