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45話
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ミラーネ様が処刑されてわたしは今ノエル様と一緒に馬車に乗っている。
わたしは予定通りソラリア帝国へむかっている。
留学の話は消えなかった。そして何故かノエル様の隣にはユリウス殿下、そしてわたしの隣には、友人のシェリーが座っている。
「アイシャ嬢、僕も2年ほどソラリア帝国に行って帝王学を学ぶことにしたんだ」
にこりと笑いわたしに握手を求めて来た。
「え?あ、は、はい!」
慌てて手を出すと、さらににこりと微笑み「よろしくね?」と言われた。
そして「わたしも行こうと思うの!」シェリーが翠色の大きな瞳をキラキラさせてやはりわたしの手を握りしめた。
二人共、行く気満々で、ソラリア帝国のことを色々と調べて、教えてくれた。
「ソラリア帝国には鉱山が多数あって、発掘の技術は世界でも有名でいろんな国が教えを乞いに来ているらしい。貧しい国では地べたにしゃがんで土や石を手でかいてはカゴに入れて、上の者がそれをロープを使って持ち上げるらしい。そして別の者は手の動きを止めることなく、鉱石を採っては砕き、砕いてはまた採る作業を続けるんだって。
だけどソラリア帝国では、爆破させ岩を砕き、滑車を使って運ぶらしい。魔法石の灯りで坑道は照らされて、魔道具のポンプで酸素を送るんだって!」
ユリウス殿下は馬車の中でソラリア帝国について色々語ってくれる。
その横でノエル様はニコニコと笑って相槌を打つ。
「ユリウス殿下はよく勉強をしているね?」
「はい!いろんなところを見て回るのがとても楽しみです!大きな船にも乗ってみたいです!」
「ノエル様は公爵家の子息ですよね?もう婚約者はいらっしゃるのですか?」
シェリーは不躾な質問を始めた。
「シェリー、やめて!」
小さな声で止めようとしたけど「え?いいじゃない?」とやめてくれない。
「僕?婚約者はまだいないよ。うちの国は恋愛結婚が中心なんだ、政略的な婚約は少ないんだ」
「いいなぁ、わたしもまだ婚約者がいないからソラリア帝国で素敵な人と出会えるのを楽しみにしよう」
「シェリー、あなた留学するのよ?せっかくだからたくさんの知識を得て帰らないと」
「そんな生真面目に生きたら疲れるわ!アイシャも新しい恋をしなさい!」
「ああ、うん、そうだね……」
わたし殿下に恋をしていなかったんだけど。
わたしとシルヴィオ殿下の再婚約は、殿下本人から断りが入り、婚約は成立しなかった。
お父様はかなり不機嫌になって、わたしの顔を見るのも嫌がり、屋敷に帰って来ないで仕事ばかりしていた。
お父様にとってわたしはやはり公爵家のコマでしかなかった。どんなにわたしを愛してくれようと、利用価値が無くなれば要らない人間なのだろう。
ソラリア帝国に向かう今日も屋敷に帰ってくることはなく、屋敷の使用人達に見送られて旅立つことになった。
ユリウス殿下やシェリー達が賑やかにしてくれていなかったらかなり落ち込んでいたと思う。
ずっとお父様に本当に愛されたいと思っていた。
それでもわたしの命を助けようと血を分けてくれた。だから多分わたしのことを愛していないわけではないのだと思う。
いつか留学から戻って来たら少しは寂しかったとか、久しぶりに会えて嬉しいとか、わたしのことを思ってくれたらいいのだけど。
そしてわたし自身もそんな風にお父様を思えたらいいのだけど。
馬車の中から流れる景色を見ながらここ数ヶ月の日々を思い出し、感傷に浸ってしまう。
数日前、シルヴィオ殿下とお会いした日のことをふと思い出した。
わたしは予定通りソラリア帝国へむかっている。
留学の話は消えなかった。そして何故かノエル様の隣にはユリウス殿下、そしてわたしの隣には、友人のシェリーが座っている。
「アイシャ嬢、僕も2年ほどソラリア帝国に行って帝王学を学ぶことにしたんだ」
にこりと笑いわたしに握手を求めて来た。
「え?あ、は、はい!」
慌てて手を出すと、さらににこりと微笑み「よろしくね?」と言われた。
そして「わたしも行こうと思うの!」シェリーが翠色の大きな瞳をキラキラさせてやはりわたしの手を握りしめた。
二人共、行く気満々で、ソラリア帝国のことを色々と調べて、教えてくれた。
「ソラリア帝国には鉱山が多数あって、発掘の技術は世界でも有名でいろんな国が教えを乞いに来ているらしい。貧しい国では地べたにしゃがんで土や石を手でかいてはカゴに入れて、上の者がそれをロープを使って持ち上げるらしい。そして別の者は手の動きを止めることなく、鉱石を採っては砕き、砕いてはまた採る作業を続けるんだって。
だけどソラリア帝国では、爆破させ岩を砕き、滑車を使って運ぶらしい。魔法石の灯りで坑道は照らされて、魔道具のポンプで酸素を送るんだって!」
ユリウス殿下は馬車の中でソラリア帝国について色々語ってくれる。
その横でノエル様はニコニコと笑って相槌を打つ。
「ユリウス殿下はよく勉強をしているね?」
「はい!いろんなところを見て回るのがとても楽しみです!大きな船にも乗ってみたいです!」
「ノエル様は公爵家の子息ですよね?もう婚約者はいらっしゃるのですか?」
シェリーは不躾な質問を始めた。
「シェリー、やめて!」
小さな声で止めようとしたけど「え?いいじゃない?」とやめてくれない。
「僕?婚約者はまだいないよ。うちの国は恋愛結婚が中心なんだ、政略的な婚約は少ないんだ」
「いいなぁ、わたしもまだ婚約者がいないからソラリア帝国で素敵な人と出会えるのを楽しみにしよう」
「シェリー、あなた留学するのよ?せっかくだからたくさんの知識を得て帰らないと」
「そんな生真面目に生きたら疲れるわ!アイシャも新しい恋をしなさい!」
「ああ、うん、そうだね……」
わたし殿下に恋をしていなかったんだけど。
わたしとシルヴィオ殿下の再婚約は、殿下本人から断りが入り、婚約は成立しなかった。
お父様はかなり不機嫌になって、わたしの顔を見るのも嫌がり、屋敷に帰って来ないで仕事ばかりしていた。
お父様にとってわたしはやはり公爵家のコマでしかなかった。どんなにわたしを愛してくれようと、利用価値が無くなれば要らない人間なのだろう。
ソラリア帝国に向かう今日も屋敷に帰ってくることはなく、屋敷の使用人達に見送られて旅立つことになった。
ユリウス殿下やシェリー達が賑やかにしてくれていなかったらかなり落ち込んでいたと思う。
ずっとお父様に本当に愛されたいと思っていた。
それでもわたしの命を助けようと血を分けてくれた。だから多分わたしのことを愛していないわけではないのだと思う。
いつか留学から戻って来たら少しは寂しかったとか、久しぶりに会えて嬉しいとか、わたしのことを思ってくれたらいいのだけど。
そしてわたし自身もそんな風にお父様を思えたらいいのだけど。
馬車の中から流れる景色を見ながらここ数ヶ月の日々を思い出し、感傷に浸ってしまう。
数日前、シルヴィオ殿下とお会いした日のことをふと思い出した。
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