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44話  ミラーネ視点。

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「アイシャ様は相変わらずで、魂は変わらないわね?頭がお花畑なのか自分のことしか見えていないのか、でも、そんなあなたが羨ましくもあるわ。あなたのことは今も昔も大っ嫌いだけどね?
 シルヴァにされたことは知らないでいるのね?夢の中で見ることはなかったのかしら?それとも精霊達……?
 まぁいいわ。忘れてしまえるならそれが一番だもの。過去に囚われたまま生まれ変わり何度も生きるわたしは、今度こそ処刑されればもう生き返ることはないわ。
 だから安心して暮らしなさいな」

「え?」

「何を驚いているの。わたしは黒魔法に手を出してしまったのよ?もう魂まで真っ黒よ。次生まれ変わることはないわ。でも別に後悔はない。あなた達に復讐できたし、二人がわたしと言う存在を忘れなければそれでいいの。自己満足でしかないけどね?」

 ーーわたしはそんないい人なんかじゃないわ。あなたを苦しめ続けたかっただけ。まあ、殿下との結婚はやめた方がいいと思うわ。

 あの男は人が良さそうにしているけど、自己陶酔しやすい男だもの。
 それにまたいつアイシャを簡単に裏切るかわからないだろうし。

 シルヴァの時、ミランダに惑わされたのかもしれないけど死ぬまでミランダを愛し続けた男だもの。魔法の効力なんてとうに解けていたはずなの。

 でも彼は一度としてアーシャのことを懐かしんだり寂しそうにしたりはしなかった。
 そう正常に戻っているはずなのに、自分がしたことを後悔することもなかったわ。

 男達に自分の愛する女を強姦させて殺しておいて。ミランダと幸せに生きたんだもの。

 シルヴィオに愛情なんてなかったわ。苦しめて傷つけて愉しみたかっただけ。

 でも結局虚しさしか残らない。

「ねぇ、もう帰ってくれないかしら?あなたと仲良しこよしをするつもりはないし、謝るつもりもないわ。ジルを奪ったアリシャ、ミネルバを不幸のどん底に陥れたアリシャ。わたしにとってはあなたは疫病神で悪魔でしかないの。あなたにとってはわたしがそうなんでしょうけどね」

 アイシャはまだ何か言いたそうにしていたけど、「もう面会の時間はとっくに過ぎてるわよ!この女をさっさとわたしの目の前から消してちょうだい!」
 看守を呼んでアイシャを連れて行ってもらった。

 わたしは全ての身分を剥奪され、ただの平民になった。

 魔法を使うこともできないし、貴族でもない。

 あとは処刑されるのを待つだけ。

 でももう生き返らなくてすむ。

 もうあんな苦しかった思いを引き摺りながら生きなくていい。



 わたしは処刑された………





 ✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎アイシャ





 ミラーネ様の死に顔は、とても穏やかで幸せそうな顔をしていたと死刑執行人が驚いていた。

 青い空の下、ミラーネ様の遺体は捨て置かれていたのに何故か光輝いて見えたらしい。

 誰にも引き取られることなく、誰にも悲しまれることなく処刑されたミラーネ様の体を守るように光っていた。

 精霊達はミラーネ様の死をとても悲しんでいた。

 共同墓地に入れられたミラーネ様はもう苦しむことなく安らかに永遠の眠りについた。

 ミラーネ様……どうぞ安らかにお眠りください。

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