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17話
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目が覚めるとベッドにいた。
確か……学校で倒れて………うん?どうしたのかしら?
「ミズナ?」
部屋に入ってきたミズナがわたしの顔を覗き込んだ。
「アイシャ様……お加減はいかがですか?」
「えっ………あっ、うん、なんともないわ……わたし……倒れたわよね?」
「覚えていないのですか?ミラーネ様がアイシャ様が倒れているのをたまたま通りかかって気づかれて、助けてくださったんです」
「……そう……覚えていないわ……」
倒れたことは何故か覚えている……のに……
その前のことは全然覚えていない……
でも不思議と体が軽い。
「シルヴィオ様に会いたいな」
「殿下は昨日アイシャ様が倒れたと聞いてすぐに駆けつけました。でもなかなか目を覚まされず結局お帰りになりました。今日また学校が終わりましたら会いにくるとのことです」
「ほんとに?」
ーー嬉しい。
殿下と婚約してからずっとずっと大好きで、なかなか忙しくてお会いできないなか、会いにきてくださるなんて。
「まずはお身体が良くならないと旦那様も面会の許可をだしてくださいませんよ?殿下にお会いになりたいのならしっかりお薬を飲んで十分休んでください」
「はあい、わかったわ」
まだ確かに頭もボーッとするしなんだか怠い。
「お薬飲んだらもうしばらく横になるわ。でも殿下が来られたら起こしてね?」
「わかりました」
ミズナからお薬を受け取り苦い薬を飲んだ。
そしてしばらく目を瞑って……殿下を思いながらまた眠りについた。
✴︎ ︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎
ねぇ、アイシャ様?ううん、アーシャ様。
あなたは全て忘れて生まれ変わったのね?
前世でどんなふうに死んだか……覚えていないなんて……幸せだわ。
わたしは忘れないわ………
わたしは、ミランダだった時、あなたを見て全てを思い出したの。
わたしは前世でシルヴァ殿下……ううん、あの頃はジルだった。
ジルとわたしは婚約者だった。
幸せになれると思っていたのに……あなたが突然わたしの前に現れてジルの心を攫っていったの。
わたしがどんなに妨害しても、二人の真実の愛の前では勝てなかったわ。
あなたのカバンを捨てたり、あなたの友人を脅したり、あなたの家族を襲わせたこともあった。あなた自身に酷い言葉を投げつけたこともあったわ。
だけどジルはずっとあなたを守り続けたわ。わたしが何をしようと。
わたしは悪女と呼ばれたわ。
でも本当に悪女なのは、無垢なままジルに恋をして、自分は何も悪くないとジルに守られたあなたじゃないの?
わたしはただ婚約者としての立場を守ろうとしただけだわ。もし婚約破棄されればわたしはお父様に見捨てられる。
そうなれば修道院へ入れられるか後妻として年上の貴族の誰かに嫁がされるかしか残っていなかった。
わたしの人生を滅茶苦茶にしたのはあなたよ?
だからアーシャ様、あなたの人生を今度はわたしが滅茶苦茶にしてあげたの。
なのにまたあなたはわたしの前に現れた。
せっかく傷つけて狂わせたのに。
目の前から消えてなくなったのに。
シルヴァ殿下だってそうよ。
何も覚えていなかった。わたしを苦しめたのに。だから魅了の力でわたしを愛するようにしたの。
聖女として生まれ変わったわたしは、アーシャ様が亡くなってからも死ぬまで殿下に愛されて過ごしたわ。
殿下と結婚して子供も生まれ、孫達もいて、たくさんのお金もあって聖女として崇められ、幸せだった………はずなのに、心の中は空っぽだった。
いつも満たされなかった。
そして生まれ変わった今世、アイシャ様を見て全てを思い出したの。
わたしはアイシャ様が苦しむ姿を見ていないと満足できないのだと。
復讐は蜜より甘い。……クスクス
わたしは今世では黒魔法を使えるの。聖女の力とは真逆の力が。それも全てアイシャ様を苦しめるために持って生まれたのだと思うわ。
神様に感謝しなきゃ。
わたしにもう一度復讐をさせてもらえるのだから。
確か……学校で倒れて………うん?どうしたのかしら?
「ミズナ?」
部屋に入ってきたミズナがわたしの顔を覗き込んだ。
「アイシャ様……お加減はいかがですか?」
「えっ………あっ、うん、なんともないわ……わたし……倒れたわよね?」
「覚えていないのですか?ミラーネ様がアイシャ様が倒れているのをたまたま通りかかって気づかれて、助けてくださったんです」
「……そう……覚えていないわ……」
倒れたことは何故か覚えている……のに……
その前のことは全然覚えていない……
でも不思議と体が軽い。
「シルヴィオ様に会いたいな」
「殿下は昨日アイシャ様が倒れたと聞いてすぐに駆けつけました。でもなかなか目を覚まされず結局お帰りになりました。今日また学校が終わりましたら会いにくるとのことです」
「ほんとに?」
ーー嬉しい。
殿下と婚約してからずっとずっと大好きで、なかなか忙しくてお会いできないなか、会いにきてくださるなんて。
「まずはお身体が良くならないと旦那様も面会の許可をだしてくださいませんよ?殿下にお会いになりたいのならしっかりお薬を飲んで十分休んでください」
「はあい、わかったわ」
まだ確かに頭もボーッとするしなんだか怠い。
「お薬飲んだらもうしばらく横になるわ。でも殿下が来られたら起こしてね?」
「わかりました」
ミズナからお薬を受け取り苦い薬を飲んだ。
そしてしばらく目を瞑って……殿下を思いながらまた眠りについた。
✴︎ ︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎
ねぇ、アイシャ様?ううん、アーシャ様。
あなたは全て忘れて生まれ変わったのね?
前世でどんなふうに死んだか……覚えていないなんて……幸せだわ。
わたしは忘れないわ………
わたしは、ミランダだった時、あなたを見て全てを思い出したの。
わたしは前世でシルヴァ殿下……ううん、あの頃はジルだった。
ジルとわたしは婚約者だった。
幸せになれると思っていたのに……あなたが突然わたしの前に現れてジルの心を攫っていったの。
わたしがどんなに妨害しても、二人の真実の愛の前では勝てなかったわ。
あなたのカバンを捨てたり、あなたの友人を脅したり、あなたの家族を襲わせたこともあった。あなた自身に酷い言葉を投げつけたこともあったわ。
だけどジルはずっとあなたを守り続けたわ。わたしが何をしようと。
わたしは悪女と呼ばれたわ。
でも本当に悪女なのは、無垢なままジルに恋をして、自分は何も悪くないとジルに守られたあなたじゃないの?
わたしはただ婚約者としての立場を守ろうとしただけだわ。もし婚約破棄されればわたしはお父様に見捨てられる。
そうなれば修道院へ入れられるか後妻として年上の貴族の誰かに嫁がされるかしか残っていなかった。
わたしの人生を滅茶苦茶にしたのはあなたよ?
だからアーシャ様、あなたの人生を今度はわたしが滅茶苦茶にしてあげたの。
なのにまたあなたはわたしの前に現れた。
せっかく傷つけて狂わせたのに。
目の前から消えてなくなったのに。
シルヴァ殿下だってそうよ。
何も覚えていなかった。わたしを苦しめたのに。だから魅了の力でわたしを愛するようにしたの。
聖女として生まれ変わったわたしは、アーシャ様が亡くなってからも死ぬまで殿下に愛されて過ごしたわ。
殿下と結婚して子供も生まれ、孫達もいて、たくさんのお金もあって聖女として崇められ、幸せだった………はずなのに、心の中は空っぽだった。
いつも満たされなかった。
そして生まれ変わった今世、アイシャ様を見て全てを思い出したの。
わたしはアイシャ様が苦しむ姿を見ていないと満足できないのだと。
復讐は蜜より甘い。……クスクス
わたしは今世では黒魔法を使えるの。聖女の力とは真逆の力が。それも全てアイシャ様を苦しめるために持って生まれたのだと思うわ。
神様に感謝しなきゃ。
わたしにもう一度復讐をさせてもらえるのだから。
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