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第三章 氷の渓谷編

【番外編】酒豪たるもの・前編▼

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王妃による教育の予習として、彼女がワインの勉強をしたいと言って来たのが二時間前のこと。眠る前に深酒すると良くないことは分かっていたが、止めるのも悪いので、後ろで本を読みながらその様子を見守っていた。

初めこそ会話をしながらかたわらで飲むような感じだったが、アルコール度数の低いものから始めたからか、グイグイと水のようにグラスを傾けるリゼッタは五杯目にして酔っ払った。

「……ん…ノア?」

誰もが一瞬で酔っ払い認知を下すであろう赤い顔で、とろんとした目をこちらに向ける。自分の部屋でこの勉強会を開いてもらって大正解だったかもしれない。

役得とばかりに、ほんのり桃色に染まった肩を抱いた。今日に限って、こんなオフショルダーのワンピースを着ている彼女にも罪はある。ここで子守唄を歌ってやるほど自分は紳士ではない。

親鳥を見上げるひなのようなリゼッタの頭を撫でて、距離を詰めた。いつもならこのあたりで警戒をして逃げる腰も、今日はアルコールでセンサーが壊れているのか、動じない。半開きになった唇を塞いで舌を捩じ込めば、ようやく危機感を察知したのかビクリと震えた。


「…っあ、ひゃだ…まだお勉強が、」
「これだけ煽っておいて待てはないでしょう?」
「煽ってなんか……っあ、」

服をずり下げて露わになった下着を後ろから外す。薄い水色は彼女の肌の白さを引き立てて良い。普段は慎ましやかなリゼッタが自分の前だけで見せる夜の顔を、これから見られると思うと喉が鳴った。

まだやらダメと小さな声で否定を漏らすので、残っていたワインを飲んで口移しで流し込む。咽せた拍子に赤い液体が胸元に落ちたので丁寧に舐め取った。

「……ん、やだそれ…」

胸の突起を指先で掠めると小さく震える。
どれだけ酔えば彼女は落ちてくるのだろう。恥ずかしさを残して自分に抱かれる姿も十分刺激的ではあるけれど、百戦錬磨の娼婦よろしく、いやらしい声を上げて善がってくれるなら一見の価値はあると思う。

「リゼッタ、今日は我慢はやめにしよう」
「……?」
「素直に、感じたままを教えて」
「あっ!待って、まだお風呂に入ってない…!」

バタバタともがく腕を押さえ付けて、片手でショーツを剥ぎ取ると抵抗する割には透明な糸を引いていた。

「やだやだ言うのに準備万端だね」
「違うの、言わないで……っん、」

割れ目に舌を這わせて舐めると腰を浮かせて悶えた。
もう抵抗しても無駄だと思ったのか、動かなくなった腕を離して、代わりに腰へと手を回す。溢れ出る蜜は底なしのようで太腿を伝ってはシーツへと流れ落ちていった。

このまま指を入れるか迷ったが、滅多にない泥酔状態の彼女を指程度に堪能させるも寂しく思ったので、十分に濡れていることを確認した上で自身を挿入した。

「ーーーっひぁ!」

ガクンとリゼッタの身体が揺れる。痙攣する膣内は彼女がすでに達したことを示していて、早すぎる絶頂に笑ってしまった。ムッとしたような顔で下から睨み付ける。

「……笑わないでください」
「うん。でも一瞬だったから」
「………、」
「気持ちよかった?」

聞きながら入り口を弄る。プクッと膨れた陰核を二本の指で愛撫すると連動するように膣内もヒクつくので、堪らなくなってまた腰を少し動かした。

以前、酒の話になった時に「そこまで弱くはない」と意地を張っていた彼女だが、酒豪を自称するにはまだまだ経験を積む必要があるようだ。是非ともその練習には自分が付き合いたいし、逆に自分が居ない場では一滴たりとも飲まないで欲しかった。


「あぁ…可愛いリゼッタ、愛してる」

耳元で囁きながら深く深く沈むと、ビクビクとまた大きく震えた。シーツを掴む白い手は支配欲を少し満たしてくれる。明日はマリソンも朝から居ないので、今晩はゆっくりと独り占めできそうだ。


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