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第1章 勇者を探して
第7話 魔法習得
しおりを挟む【俺は、風が良い。】
散々悩んで、風かあ。意外と渋いのを選んだな。
風魔法は、得意じゃあない。はっきり言って、苦手だし。使える魔法もひとつだけだ。
「風魔法ね。判ったわ。じゃあ、私が一番得意な魔法を教えてあげるわ。」
【初歩魔法じゃあなかったっけ?まあいいわ。早く頼む。】
「うっ、取り敢えずやって見せるから、良い、よく見てて。」
私は、左手を木に向け、呪文を唱える。
「ウィンドカッター」
たちまち、小さな竜巻が起き、木に向かって行く。小さな竜巻は、少しずつ大きくなり、勢いを増して行った。
木にぶつかった途端、木の枝が全て切り刻まれた。
【おお~】
男が、歓声をあげる。
「いいですか? 重要なのは創造する事。どんな魔法を放つのかを思い描くのです。次に手に魔力を集めてから放つ。集めた魔力量によって、威力が変わってきます。」
【放つ瞬間に、何か叫んでなかったか?】
「叫んでたわけではありません。これから放つ魔法の名前です。それぞれの魔法に名前を付けて、その名前を声に出すと、時間が短縮出来るのです。」
【なるほど~。じゃあ、やって見るか。】
【まず、手に魔法を集めて、魔法を創造する。魔法の名前を声に出して、放つ。】
【カマイタチ】
すると、無数の風の刃が木に放たれ、木に無数の深い切り傷をつけた。
「はあ~、何で初めてで、魔法が使えるの? まあいいっか。以上で終わり。他の属性の魔法も同じ様にすれば良いから。」
男は、ワクワクしながら、寸止めで練習をしている。
村長が朝食の準備が出来たと、呼びに来た。朝食は、パンと具少なめのスープ、
質素だが、定番のメニューだ。
男は、心ここに有らずといった感じで、何か考え事をしている。
すると、村長から、いつ出立するのかを聞かれた。今回の騒動のお礼を準備したいとの事だった。
「ねえ、ねえってば。出立はいつにする?」
【うん? えっ何? 出立? お嬢さんが決めてくれ。俺は、雇われの身だからな。】
結局、明日の早朝と言う事にした。
それと、お礼は、道中の食料を分けてもらうという事になった。
その日は、ゆっくりする事にした。
男の方は、散歩と言って村の外に出かけていった。ただ、行きがけに妙な質問をされた。
【なあ、魔法って、手からしか放てないのか? 例えば、この刀に込めて放つ事は可能か?】
「魔法が流れる武器なら可能よ。でも、それが出来るのは、ほんの一部だけよ。無理に魔力を流すと、壊れるわよ。」
【おお、やっぱりそうか。どうも手の平を相手に向けて魔法を放つのは、性に合わ無くてな。】
そう言って、肩を揺らしながら出ていった。
明日の出立の準備も終わると、なんだか手持ち無沙汰になってきた。
男は、食後に出ていったまま、まだ帰ってこない。あんまり暇なので、男の様子を見に行ってみることにした。
村の外に出ると、街道脇に森が広がっていて、その中にちょっと開けた場合がある。
その方角から、シュッシュッと妙な音が聴こえてくる。
音の方に進むと男が木の前で、腰を屈めながら、何かを切っているようだった。
あれが、男の言っていた居合い抜きという技なのだろうか?
ただ、私には、刀が抜かれた状態は、確認できない。刀は、常に鞘に収まっている。
男の身体がほんの少し上下に揺れると
シュッと音がする。
すると、木から数枚の葉っぱがヒラヒラと落ちてきた。
私は、何が起きているのか、理解できなかった。何故なら、男の刀では到底木には届かないのだから。
まさか、そんな、無詠唱で。
私はそのまま、何も言わずに、その場を後にした。
何も見なかった。そうする事にした。
心の平穏の為に。
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