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第1章 勇者を探して
第5話 魔物討伐
しおりを挟む道すがら、私はこの男の事を考えていた。一体何者なのだろう。
異国の剣士なのだろうか?
きっと、名のある剣士なんだどうけど。
ササキムサシ 変わった名だ。
今夜の宿泊先の村は、もう少し先だ
村に着くのは、日が落ちてからになりそうだ。
やがて日が落ち、村が近づいてきた。
先行する男が、足を止めた。
【村の周りを大勢の何かがとりかこんでる。嫌な感じだ。】
「何も見えないけど」
【気配と殺気で判るさ。お嬢さん、少しは戦えるのかい?】
「失礼な.こう見えてもー」
【判った! じゃあ自分の身は自分で守ってくれ。危なくなったら、呼んでくれ】
そう言うと、馬から荷物を降ろし、馬を身軽にしてやると、刀を担いで暗闇に姿を消した。
前に、盗賊団に襲われた時の様に、独りで片付けるつもりだろう。
私は、男がどんな風に戦うのか? 見てみたい。
私は、必死に男の後を追った。
直に、追いつけると考えていたが、なかなか追いつけない。
速い。しかも音がしない。とにかく、男が向かった方角に走った。
しばらく走ると、男がしゃがんでいた。
口に人差し指を充てて、前方を指し示す。
そこには、今にも、村に攻め入ろうとしているゴブリンの群れがいた。
数は、20体ほど、粗末な剣と盾を装備している。
男が小声で囁く。
【ありゃなんだ?】
「え、魔物です。ゴブリンです。」
【ほう、あれが魔物という奴かあ、不味そうだな】
「食べれるわけないでしょう。で、これからどうするのです。」
【どうするって、飛び込むだけだが】
そう言って、ゴブリンの群れに飛び込んでいった。
男は、ゴブリンの群れに飛び込むと同時に、次々と斬り伏せていく。
月明かりに照らされて、時折、キラリ☆と何かが光る。しかし、刀の刃が見えない。
いつも、鞘に収められている。刀と剣がぶつかり合う音もしない。
どういうふうに切って、いるのかが見えない。
あっという間に、ゴブリン達は、なぎ倒され、大柄のリーダーらしきゴブリンだけが残った。
リーダーゴブリンと男が、距離を取り対峙する。
リーダーゴブリンは、盾を捨て、剣を両手に持ち構えた。
男は、左手に刀を持ちただ立っている。
刀は、抜かれていない。
不意に、男が、距離を詰めていく。
走っているのではなく、ジグザグにユラリユラリと。
リーダーゴブリンが男をめがけて、剣を振り下ろす。 男はゆらりと振り下ろされた剣を避けるとリーダーゴブリンの脇をすり抜けていった。
私には 横 を通り過ぎて行ったとしか見えなかった。
しかし リーダーゴブリンは断末魔の叫びをあげると、そのまま 前のめりに倒れて行った。
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