海と聖女とサムライと

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第1章 勇者を探して

第2話 盗賊団討伐

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男は、暗闇の中に消えていった。

「では、守りを固めます。」
「各自、両手で盾を持ち、大木を背に円形態勢」
(来るぞー 構えろ)

直ぐに大勢の敵がなだれ込んできた。
兵士達は必死に盾で抑え込んでいる。
盗賊団の頭らしい大柄の男が斧を掲げて叫ぶ。

”今回の獲物はデカいぞー 女以外は皆殺しだー”

盗賊団の志気は高いようだ、だが兵士達も必死だった。
そんな時、盗賊団の勢いがみるみる衰え始め出した。

聖女は盾の陰から、不思議な光景を目にしていた。
「一体。何が起こってるの」

その光景は異常だった。
盗賊団が後ろから、次々と倒れだした。
聖女達を取り囲む盗賊団の円の外側から、順にバタバタと盗賊達が倒れていく。

あっとゆう間に、盗賊団の頭だけになっていた。

”な 何が起こったー”
【これで終わりっと】

そう言って、男は、盗賊の頭にユラリと、そして素早く近づくと、みぞうちに木の棒を当てた。
すると、盗賊は、バタリと倒れ込んでしまった。

【はい、依頼達成っと】
【おい、さっさと盗賊どもを縄で縛り上げてくれ。気を失っているだけだからなー】

兵士達は、テキパキと盗賊団達を縛り上げていった。
【さて、お嬢さん。依頼達成の代金を頂こうか】

盗賊団の捕縛を兵士達に任せて、聖女はテントに男を招き入れた。
聖女は、テーブルの上に金貨を1枚置いた。

「本来はもっと差し上げたいところですか、これが精一杯です。実に見事な働きでした。ありがとうございます。」

男は黙って、金を受け取ると、じっと金貨を眺めている。やがて、そのまま立ち去ろうとした。

「待ってください。お名前を教えてください。」

【むう、名か、うーん。ムサシだ、では、さらば】

そう言って、男は再び、立ち去ろうとした。
「待って下さい。もう一度、依頼をお願いします。」
「私は、これからルトに向かいます。
ルトまでの護衛をお願いします。」
聖女が、何故そんな事を言い出したのか?誰も理解できなかった。聖女 本人さえも。

男は、黙ってテントを出ると、大木の前で座った。大きな欠伸をしたかと思うと
大木にもたれ掛かり、そのまま居眠りを始めた。

兵士達には、大丈夫かと心配されたが、ここで別れる事になった。

こうして、聖女とサムライとの旅が始まった。
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