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第1章 勇者を探して
第3話 サムライとの二人旅
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私は、何故、この男を引き止めたのだろう。
初めて遭った時に、不思議な懐かしさを感じた。
そして、思わずルトまでの護衛を頼んでしまった。
兵士達とは此処で別れた。
「さあ、私達も出発しましょう。貴方は馬をお願いします。」
兵士達は荷物を積んだ馬を準備してくれた。
【馬かあ、でどっちに行けば良いんだ?】
なんて奴だろう。ルトの方角も知らないなんて
「ルトは北の方角です。」
【むう 北ね えーとお日様があっちだから、こっちか】
男は手綱を引いて進み始める。
【なあ お嬢さんよお ルトというところまで、どれくらい掛かるんだい?】
「ひと月くらいでしょうか。それよりも貴方の荷物は何処です?」
【そんなもん無いよ。散歩中だったんでな。だから、これからの道中 よろしく頼んだよ】
私は呆れた。何の荷物も無いなんて
散歩中だったなんて、いい加減な。
途中、川辺で休憩を挟み、街道を歩いて進んだ。
男は馬を気遣いながら、黙って私の後をついてくる。
やがて、日も落ち始めたので、街道脇の川辺で野宿をすることになった。
男は、薪を拾い集めると慣れた手つきで、焚き火の準備を始める。
すると突然、ふところを押さえて何かを探し始める。
【しまった。火がねえや。お嬢さん 火あるかい。火打ち石だけは、いつも持ってるんだけどなあ】
私は、返事を返さずに、人差し指を巻きに向け呪文を唱える。
「ファイア」
すると、薪から煙が出て、燃え始めた。
男は目を丸くして、焚き火のの前で固まってしまった。
【なんだい、今のは。手品かなんかか?】
「いえ、手品ではありません。ただの魔法です。魔法を見たのは初めてですか?」
【ああ。これが魔法って奴かあ、驚いたぜ。他にどんなことができるんだ】
男は急に目を輝かせながら饒舌になった。
「そんなことより、食事にしましょう。」
今日の夕食は、黒パンと干し肉のみ
明後日には、途中の村まで行けるだろう。
温かい食事にありつけそうだ。
パンをかじりながら、そんな事を考えていると、男は鍋で何かを煮はじめた。
【食べられそうな、草を採ってきた。味付けは塩だけだが、意外といけるぞ】
渡された、お椀を受け取ると、スプーンで味を見る。
「美味しい。」
シンプルな味だが、香草のいい香りが、疲れた身体に染み入る。
一体、どうやって、見つけたのだろう。
つくづく、不思議な男だ。
まるで何処か違う世界からやって来たみたいな。
そんな事を考えていると、緊張感から解放され、焚き火の前で横になり、深い眠りに落ちていった。
初めて遭った時に、不思議な懐かしさを感じた。
そして、思わずルトまでの護衛を頼んでしまった。
兵士達とは此処で別れた。
「さあ、私達も出発しましょう。貴方は馬をお願いします。」
兵士達は荷物を積んだ馬を準備してくれた。
【馬かあ、でどっちに行けば良いんだ?】
なんて奴だろう。ルトの方角も知らないなんて
「ルトは北の方角です。」
【むう 北ね えーとお日様があっちだから、こっちか】
男は手綱を引いて進み始める。
【なあ お嬢さんよお ルトというところまで、どれくらい掛かるんだい?】
「ひと月くらいでしょうか。それよりも貴方の荷物は何処です?」
【そんなもん無いよ。散歩中だったんでな。だから、これからの道中 よろしく頼んだよ】
私は呆れた。何の荷物も無いなんて
散歩中だったなんて、いい加減な。
途中、川辺で休憩を挟み、街道を歩いて進んだ。
男は馬を気遣いながら、黙って私の後をついてくる。
やがて、日も落ち始めたので、街道脇の川辺で野宿をすることになった。
男は、薪を拾い集めると慣れた手つきで、焚き火の準備を始める。
すると突然、ふところを押さえて何かを探し始める。
【しまった。火がねえや。お嬢さん 火あるかい。火打ち石だけは、いつも持ってるんだけどなあ】
私は、返事を返さずに、人差し指を巻きに向け呪文を唱える。
「ファイア」
すると、薪から煙が出て、燃え始めた。
男は目を丸くして、焚き火のの前で固まってしまった。
【なんだい、今のは。手品かなんかか?】
「いえ、手品ではありません。ただの魔法です。魔法を見たのは初めてですか?」
【ああ。これが魔法って奴かあ、驚いたぜ。他にどんなことができるんだ】
男は急に目を輝かせながら饒舌になった。
「そんなことより、食事にしましょう。」
今日の夕食は、黒パンと干し肉のみ
明後日には、途中の村まで行けるだろう。
温かい食事にありつけそうだ。
パンをかじりながら、そんな事を考えていると、男は鍋で何かを煮はじめた。
【食べられそうな、草を採ってきた。味付けは塩だけだが、意外といけるぞ】
渡された、お椀を受け取ると、スプーンで味を見る。
「美味しい。」
シンプルな味だが、香草のいい香りが、疲れた身体に染み入る。
一体、どうやって、見つけたのだろう。
つくづく、不思議な男だ。
まるで何処か違う世界からやって来たみたいな。
そんな事を考えていると、緊張感から解放され、焚き火の前で横になり、深い眠りに落ちていった。
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