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序章(プロローグ)
第66話 マニブール王国の最後
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国王「俺が出る。奴を殺して、賢者でないと証明して見せよう」
宰相「いけません、国王自ら出るなど…」
だが、コレトラの発した【威圧】をぶつけられ、サイジラは腰を抜かし尻もちをついてしまう。
メイヴィス(ほう、これはなかなか…)
実際コレトラの【威圧】はなかなかのモノで、その威力はドラゴンに対抗できそうなほどであった。
なるほど、一国の王だけの事はあるとメイヴィスは感心する。
※この世界の身分・階級は、その実力によって築かれてきたという経緯がある。魔力の強い者が貴族となり人々を支配し、魔力が弱いものは平民として貴族に支配される。魔力の強さ、戦闘力の強さがそのまま階級となる。つまり、下位貴族より上位貴族のほうが魔力が強いという事である。そしてそのような魔力偏重主義の傾向は辺境の小国ほど強くなる。そのような国では、最強の魔力を持つのはその国の貴族のトップ、つまり、国王(族長)と言う事になるのだ。
そのため、この世界における戦争では、国王(族長)自ら出陣し、敵を殲滅して見せるという事もよくある。コレトラもまた、過去の戦争では自ら出陣し、その圧倒的な魔力で獣人達を蹂躙し勝利を掴んだのである。
実は、その圧倒的な魔力は愛する者を奪われた悲しみ・憎しみによって目覚めたものであったのだが……。
コレトラは王位継承権を持ってはいたが、その順位は極めて低い傍流の五男であった。そのため、隣国である獣人の国に留学に出されていたのだ。
その国でコレトラはとある女性と出会い、愛を育んだ。(その相手は同じく留学中の人間の娘であった。)だが、その娘が獣人の王族と取り巻きに汚され殺されたのだ。
当時、魔力も筋力も弱かったコレトラは、手足を折られた上、獣人に押さえつけられ、恋人が凌辱されるのを眼前で見せつけられ、血の涙を流した。
獣人の生理的特性なのだろうか、『力こそ正義』『力の弱い者は強いものに蹂躙されても仕方がない』、そんな弱肉強食の思想が獣人の国にはあった。
獣人達は『弱いから悪いのだ』とコレトラを嘲笑ったのだ。
だが、その事がきっかけとなって、コレトラの魔力が覚醒する。元々闇属性の魔力に適正のあったコレトラは、覚醒するために強い負の感情が必要だったのだ。
コレトラは復讐を決意。その力を必死で磨いた。
そんな時、疫病が流行り故郷の王族が次々と倒れた。それにより王位継承者が居なくなり、異国に居たコレトラが王位継承権の最上位となったのだ。
唐突に王位を手にしたコレトラ。
彼はこれ幸いと地位を利用して復讐を始める。獣人の国に戦争を仕掛けたのである。それが先の人間対獣人の戦争の真相である。
もちろん、コレトラは先陣を切って戦いに望み、憎き獣人の王族をすべて虐殺した。コレトラの怒りは激しく、獣人達の降伏を認めず、このまま根絶やしにするかに思われたが……コレトラはそうはせず、獣人達の降伏を認めた。
コレトラが獣人を皆殺しにしなかったのは温情などではない。憎しみが深すぎ、楽に死なせたくなかったのだ。単なる捕虜ではいずれ解放されてしまう。獣人達がもっと長く、子々孫々まで苦しみ続ける事をコレトラは望んだのだ。そして、獣人達を最低の立場に追いやる法律を作り、虐げる事にしたのだ。
それから三十余年の月日が流れたが、コレトラの心の傷が癒える事はなかった。それどころか、老いていくほどに孤独感が増し、その負の感情を拗らせていってしまったのだ。(コレトラは死んだ恋人とそのお腹に居た子供の事を思い、その後女性を側に近づけなかったのだ。後を次ぐ嫡子が未だに居らず問題となっていたが、その事にふれると王は激昂するため、誰も何も言えないのであった。)
そして……今回の獣人の賢者の話である。獣人を憎むコレトラにとって、獣人から賢者が生まれるなど、認められるはずがなかった。
(闇属性の魔力に染まると、感情に振り回され、冷静な判断力を失いやすい。その賢者は獣人ではない【妖精族】だなどと言われても、暗い感情に囚われてしまったコレトラの心にはもはや届かないのだ。)
老いたとは言え、コレトラの魔力はまだまだ国内最高峰を維持している。
これまでも、獣人の中からヒーローが生まれ、逆襲する機運が高まった事はあったが、すべて叩き潰してきた。今度もそうしてやるつもりであった。
それに、帝国の宰相と賢者がいるところで弱みを見せるわけには行かない。隙を見せれば帝国に飲み込まれるだろう。コレトラは獣人をその力で蹂躙して見せる事で、帝国に対しても抑止力となると考えたのである。
結局、宰相が止めるのも聞かず、コレトラは部下の護衛騎士数名を連れて、王都を出陣していった。
メイヴィス「やれやれ…。では、帰ろうかのブライナス。もう少し穏便に進めたかったのだがなぁ…」
ブライナス「見届けなくてよいのですか?」
メイヴィス「予知の通りに進んでおる。ここまで来たら結果も変わらんじゃろ。その獣人が本当に賢者であるなら、負ける事もないじゃろうしな」
ブライナス「それでは、次の段階に進みましょう」
メイヴィス「うむ、マニブール王国は消滅じゃな」
ブライナス「いや、消滅ではありませんよ、地名は残ります、文化と伝統も地域の文化として残っていくでしょう」
サイジラ「消滅?! 一体それはどういう…?!」
メイヴィス「国王が居なくなって、国も存続できないじゃろ?」
サイジラ「まだ陛下が獣人に負けると決まったわけでは…」
メイヴィス「だといいがな。儂の予知ではもうほぼ確定となりつつあるぞ?」
サイジラ「……」
ブライナス「後継者も居ないようですしねぇ…」
サイジラ「それは……もし王が斃れたら、誰か王家の血を引いているものを探すか、あるいは優秀な人材に王になってもらうか……」
メイヴィス「そんな時間はないじゃろうて。では……ゴキゲンヨウ」
メイヴィスとブライナスの足元に魔法陣が浮かび、二人の姿は透明になって消えて行った。
サイジラ「……この後…どうなるんだ……???」
結局、猫人討伐に出かけた国王は帰って来ず。現地の諜報員から国王が斃れたとの報告がサイジラの元に届いたのであった。
宰相「いけません、国王自ら出るなど…」
だが、コレトラの発した【威圧】をぶつけられ、サイジラは腰を抜かし尻もちをついてしまう。
メイヴィス(ほう、これはなかなか…)
実際コレトラの【威圧】はなかなかのモノで、その威力はドラゴンに対抗できそうなほどであった。
なるほど、一国の王だけの事はあるとメイヴィスは感心する。
※この世界の身分・階級は、その実力によって築かれてきたという経緯がある。魔力の強い者が貴族となり人々を支配し、魔力が弱いものは平民として貴族に支配される。魔力の強さ、戦闘力の強さがそのまま階級となる。つまり、下位貴族より上位貴族のほうが魔力が強いという事である。そしてそのような魔力偏重主義の傾向は辺境の小国ほど強くなる。そのような国では、最強の魔力を持つのはその国の貴族のトップ、つまり、国王(族長)と言う事になるのだ。
そのため、この世界における戦争では、国王(族長)自ら出陣し、敵を殲滅して見せるという事もよくある。コレトラもまた、過去の戦争では自ら出陣し、その圧倒的な魔力で獣人達を蹂躙し勝利を掴んだのである。
実は、その圧倒的な魔力は愛する者を奪われた悲しみ・憎しみによって目覚めたものであったのだが……。
コレトラは王位継承権を持ってはいたが、その順位は極めて低い傍流の五男であった。そのため、隣国である獣人の国に留学に出されていたのだ。
その国でコレトラはとある女性と出会い、愛を育んだ。(その相手は同じく留学中の人間の娘であった。)だが、その娘が獣人の王族と取り巻きに汚され殺されたのだ。
当時、魔力も筋力も弱かったコレトラは、手足を折られた上、獣人に押さえつけられ、恋人が凌辱されるのを眼前で見せつけられ、血の涙を流した。
獣人の生理的特性なのだろうか、『力こそ正義』『力の弱い者は強いものに蹂躙されても仕方がない』、そんな弱肉強食の思想が獣人の国にはあった。
獣人達は『弱いから悪いのだ』とコレトラを嘲笑ったのだ。
だが、その事がきっかけとなって、コレトラの魔力が覚醒する。元々闇属性の魔力に適正のあったコレトラは、覚醒するために強い負の感情が必要だったのだ。
コレトラは復讐を決意。その力を必死で磨いた。
そんな時、疫病が流行り故郷の王族が次々と倒れた。それにより王位継承者が居なくなり、異国に居たコレトラが王位継承権の最上位となったのだ。
唐突に王位を手にしたコレトラ。
彼はこれ幸いと地位を利用して復讐を始める。獣人の国に戦争を仕掛けたのである。それが先の人間対獣人の戦争の真相である。
もちろん、コレトラは先陣を切って戦いに望み、憎き獣人の王族をすべて虐殺した。コレトラの怒りは激しく、獣人達の降伏を認めず、このまま根絶やしにするかに思われたが……コレトラはそうはせず、獣人達の降伏を認めた。
コレトラが獣人を皆殺しにしなかったのは温情などではない。憎しみが深すぎ、楽に死なせたくなかったのだ。単なる捕虜ではいずれ解放されてしまう。獣人達がもっと長く、子々孫々まで苦しみ続ける事をコレトラは望んだのだ。そして、獣人達を最低の立場に追いやる法律を作り、虐げる事にしたのだ。
それから三十余年の月日が流れたが、コレトラの心の傷が癒える事はなかった。それどころか、老いていくほどに孤独感が増し、その負の感情を拗らせていってしまったのだ。(コレトラは死んだ恋人とそのお腹に居た子供の事を思い、その後女性を側に近づけなかったのだ。後を次ぐ嫡子が未だに居らず問題となっていたが、その事にふれると王は激昂するため、誰も何も言えないのであった。)
そして……今回の獣人の賢者の話である。獣人を憎むコレトラにとって、獣人から賢者が生まれるなど、認められるはずがなかった。
(闇属性の魔力に染まると、感情に振り回され、冷静な判断力を失いやすい。その賢者は獣人ではない【妖精族】だなどと言われても、暗い感情に囚われてしまったコレトラの心にはもはや届かないのだ。)
老いたとは言え、コレトラの魔力はまだまだ国内最高峰を維持している。
これまでも、獣人の中からヒーローが生まれ、逆襲する機運が高まった事はあったが、すべて叩き潰してきた。今度もそうしてやるつもりであった。
それに、帝国の宰相と賢者がいるところで弱みを見せるわけには行かない。隙を見せれば帝国に飲み込まれるだろう。コレトラは獣人をその力で蹂躙して見せる事で、帝国に対しても抑止力となると考えたのである。
結局、宰相が止めるのも聞かず、コレトラは部下の護衛騎士数名を連れて、王都を出陣していった。
メイヴィス「やれやれ…。では、帰ろうかのブライナス。もう少し穏便に進めたかったのだがなぁ…」
ブライナス「見届けなくてよいのですか?」
メイヴィス「予知の通りに進んでおる。ここまで来たら結果も変わらんじゃろ。その獣人が本当に賢者であるなら、負ける事もないじゃろうしな」
ブライナス「それでは、次の段階に進みましょう」
メイヴィス「うむ、マニブール王国は消滅じゃな」
ブライナス「いや、消滅ではありませんよ、地名は残ります、文化と伝統も地域の文化として残っていくでしょう」
サイジラ「消滅?! 一体それはどういう…?!」
メイヴィス「国王が居なくなって、国も存続できないじゃろ?」
サイジラ「まだ陛下が獣人に負けると決まったわけでは…」
メイヴィス「だといいがな。儂の予知ではもうほぼ確定となりつつあるぞ?」
サイジラ「……」
ブライナス「後継者も居ないようですしねぇ…」
サイジラ「それは……もし王が斃れたら、誰か王家の血を引いているものを探すか、あるいは優秀な人材に王になってもらうか……」
メイヴィス「そんな時間はないじゃろうて。では……ゴキゲンヨウ」
メイヴィスとブライナスの足元に魔法陣が浮かび、二人の姿は透明になって消えて行った。
サイジラ「……この後…どうなるんだ……???」
結局、猫人討伐に出かけた国王は帰って来ず。現地の諜報員から国王が斃れたとの報告がサイジラの元に届いたのであった。
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