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第三章

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 エネリーとニールがそんな声をあげる。あれはリコ様だろうか。別の物になってしまったのでは。ほとんど獣と言ってもいい。
 私達が唖然としている間に、見える影の魔物を、すべて片付けたリコ様が戻ってくる。
「終わったにゃー、寝るにゃ」
 リコ様はそう言って、馬車に乗ると、武器を鞘にしまって、そのまま寝てしまった。私たちはしばらく、立ち尽くしてしまった。



 馬車がガタガタと揺れている。規則的な揺れなら、眠気を誘うけど、不規則な揺れは、そうはいかなかった。私は目が覚める。
「ふぁぁ、おはよ」
「……おはようございます」
 シルクが、怪訝な声で、あいさつを返してくれる。どうしたんだろう。
「リコ様ですか?」
「え? そうだけど」
「なら……良いのですが」
 シルクの謎の問いかけに、私は少し混乱する。どういう事。意味が、わからなかった。私は考えるけど、当然、答えは出ない。まぁ、いいけど。
「馬車はもう動いてるんだね」
「当然です、少し早めに、出発しています」
 いつもより少し、シルクの言葉が柔らかいような、安心しているって感じの声色。そう思っていると、いつもの、シャキリとした声色のシルクに戻った。
「予定のポイントに、もうすぐ着きます」
「あれ? もう?」
「もう……昼です」
 もう、の部分が強調されている。私はそんなに、寝ていたのか。そのおかげで、体が軽いけど。
「食事はとりますか? とるなら、早めにお願いします」
「あっ、食べたい」
 私がそう言うと、シルクは、すぐに準備を始める。パンを出して、小瓶に入った、透明な液体を、パンにかけてくれた。
「甘い香りがする」
 お腹がすいている所に、とても刺激的な香り。すぐさま反応した、私のお腹が、その食べ物を欲する。
「おいしそう」
 私は、受け取ったパンを頬張る。とても甘い。花の蜜だろうか。
「この液体は何? 蜜かな」
「はい、花の蜜を集めた物です」
 夢中になって、私はパンを食べすすめると、シルクが「聞くだけ聞いてください」と話を始めた。
「もうすぐ、予定のポイントです、そこから、廃村までは、リコ様一人で、行ってもらう訳ですが」
 シルクがそこで、話を一旦区切り、少し声を低めて言った。
「万が一、何もいなかった場合、すぐに馬車へ戻ってください、粘って探す事はせずに」
「わかったよ」
 基本的に、ここにボスがいる前提で、みんな気合を入れている。居ないかもという話は、士気を落としかねないから、いつも小声でそう言う話はしている。
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