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第三章
03
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「無駄足にしたくないなぁ」
兵士三人は、それぞれ、頑張っている。やっぱり、成果を出したい。
「何もいなければ、こちらには居なかった、という事が確認できます、無駄足ではありません」
「そっか」
物は考えようだな。私は、パンの最後の一口を食べきる。すると、丁度、馬車が停車した。
「着いたみたいですね」
「そうだね……よし、気合入れていきますか」
私は刀をしっかりと握り、馬車を飛び降りた。
「あっリコ様?」
馬車から飛び降りた私を見て、エネリーがそう言った。なぜ疑問符。
「いつも通りでしたよ」
私について降りてきたシルクが、そう、みんなに告げる様に言う。それを聞いたみんなは、安心したように、表情を緩ませる。なんだ、さっきから。
「さぁ、これから決戦ですぞ」
ドレグの重い言葉で、すぐに、みんなの表情が引き締まった。
「これまで、リコ様に頼り切っていたが、今からしばらくは、我々だけで馬車を守る事になる、気合を入れるぞ!」
エネリーとニールが、気合のこもった返事を返す。それを聞いたドレグが、頷くと、私に体を向けて言った。
「危険な事を頼んでしまい、申し訳ありません、頼みますぞ」
「……はい」
「お願いします!」
「お願いするっす!」
エネリーもニールも、そう言って、頭を下げる。シルクも「お願いします」と呟くように言った。
「頼まれよう!」
私はそれだけ言うと、シルクから方向を教えてもらって、そちらに歩き出した。遠くの方に、何か見えるのが、廃村だろう。私は進んでいく。
しばらく、歩いて、はっきりと廃村が見えてきた。少なくとも、ここから見える範囲に、影の魔物はいない。
「いや、まだ遠いしな、見えないだけかも」
さすがにまだ、わからない。少し、焦りつつ、私は歩を速めた。
「もし居なかったら、クロエの方か」
よく考えると、実際の所、この二つの場所のどちらかに、絶対にいるという確証があるわけではない。ただの予測。もしかしたら、両方とも見当違いの、可能性もある訳で。
「いやいや、いかんいかん」
私は頭を振って、ネガティブな考えを振り払った。今日ここで、ボスを倒してしまって、この辺りの地域を、開放する。そうするんだ。私は強く願う。というか、そうでないと困るのだ。私はまだいいけど、他の人たち、イグオール城の人たちは、心が、折れてしまうのではないか。多分、この作戦で、希望の光を見ている。そこから、落ちたらもう。
「……とりあえず、今は集中しないと」
周りへの警戒心が、疎かになっていた。そうはいっても、影の魔物は、一体も出てこない。
ついに、廃村の入り口辺りまで来てしまった。これは、明らかだった。廃村には、影の魔物は一体もいない。
「ボスの所に、何もいない、っていうのは、あり得るかな」
兵士三人は、それぞれ、頑張っている。やっぱり、成果を出したい。
「何もいなければ、こちらには居なかった、という事が確認できます、無駄足ではありません」
「そっか」
物は考えようだな。私は、パンの最後の一口を食べきる。すると、丁度、馬車が停車した。
「着いたみたいですね」
「そうだね……よし、気合入れていきますか」
私は刀をしっかりと握り、馬車を飛び降りた。
「あっリコ様?」
馬車から飛び降りた私を見て、エネリーがそう言った。なぜ疑問符。
「いつも通りでしたよ」
私について降りてきたシルクが、そう、みんなに告げる様に言う。それを聞いたみんなは、安心したように、表情を緩ませる。なんだ、さっきから。
「さぁ、これから決戦ですぞ」
ドレグの重い言葉で、すぐに、みんなの表情が引き締まった。
「これまで、リコ様に頼り切っていたが、今からしばらくは、我々だけで馬車を守る事になる、気合を入れるぞ!」
エネリーとニールが、気合のこもった返事を返す。それを聞いたドレグが、頷くと、私に体を向けて言った。
「危険な事を頼んでしまい、申し訳ありません、頼みますぞ」
「……はい」
「お願いします!」
「お願いするっす!」
エネリーもニールも、そう言って、頭を下げる。シルクも「お願いします」と呟くように言った。
「頼まれよう!」
私はそれだけ言うと、シルクから方向を教えてもらって、そちらに歩き出した。遠くの方に、何か見えるのが、廃村だろう。私は進んでいく。
しばらく、歩いて、はっきりと廃村が見えてきた。少なくとも、ここから見える範囲に、影の魔物はいない。
「いや、まだ遠いしな、見えないだけかも」
さすがにまだ、わからない。少し、焦りつつ、私は歩を速めた。
「もし居なかったら、クロエの方か」
よく考えると、実際の所、この二つの場所のどちらかに、絶対にいるという確証があるわけではない。ただの予測。もしかしたら、両方とも見当違いの、可能性もある訳で。
「いやいや、いかんいかん」
私は頭を振って、ネガティブな考えを振り払った。今日ここで、ボスを倒してしまって、この辺りの地域を、開放する。そうするんだ。私は強く願う。というか、そうでないと困るのだ。私はまだいいけど、他の人たち、イグオール城の人たちは、心が、折れてしまうのではないか。多分、この作戦で、希望の光を見ている。そこから、落ちたらもう。
「……とりあえず、今は集中しないと」
周りへの警戒心が、疎かになっていた。そうはいっても、影の魔物は、一体も出てこない。
ついに、廃村の入り口辺りまで来てしまった。これは、明らかだった。廃村には、影の魔物は一体もいない。
「ボスの所に、何もいない、っていうのは、あり得るかな」
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