君のナミダに渇くカラダ

あーむす。

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23.事実を知ったら…ね。〜仁side〜

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ー里佳とは、同じ村で育った。まぁ、つまり同じ一族だから里佳は吸血鬼ってことだ。

そんな大規模な一族でもないから同じくらいの歳の仲間も少なかったこともあって、まるで兄妹みたいに俺たちは一緒に暮らしてた。

俺の方が誕生日は早かったから、俺が儀式をしたのは里佳よりも先だった。
だから里佳は俺が儀式をしたあの日、まだ俺たちの一族の正体を知らなかったってことだ。

今でも、あの儀式に失敗して、次の日に学校に行くまでの時間のことをはっきりと覚えている。

里佳はあの日、今までしてた通りにニコニコと無邪気に俺の誕生日を祝ってくれて。

でも、里佳に自分の胸のうちなんて話せないから。

今から里佳も同じ経験をするってことも、10歳の儀式のことを告げちゃいけないっていう村の掟もあったけど。

正直それだけじゃなくてさ、今まであの儀式で失敗した例が無かったらしいから、きっと里佳たちもやり遂げるんだろうと思うと…さ。

結局その日、俺はろくに誕生日を祝ってもらったことを喜ぶこともせずに俺は布団に潜った。

もう、あの儀式の後から脱走した後まで、正直自分のことに精一杯で、仲間のことなんて忘れてたんだ。

いや、考えないようにしてた、の方が正しいかもしれない。

きっと俺が突然消えた時は心配してくれたんだろうけどさ。

事実知ったら…ね。









ポツリポツリと話す姿は、私に話している、というよりも、自分自身に話しているように見えた。

ひたすら淡々と。滑らかに。

何度自分で、この話を、この場面を反芻してきたんだろう。

その横顔からは何の感情も伺うこともできない。

何度、何度、自分だけで………

でも、その時。
自分だけの世界に入ってたと思われた彼がこっちを見た。

「ごめんな?変な話で。てか、なんか人に話すの初めてだからはずかしーわ。」

少し目線を外しながら、少し笑い声を漏らす彼を見て、少し胸が高鳴った。

…うん、大丈夫だ。ずっと一人だった彼の役に私は立っているんだ。

それだけで、今から始まる、おそらくリーダーのことが好きな私にとっては楽しくない話も聞くことができるんだ。
リーダーの役に立てる私なら。

リーダーが話し始めた、そこから起きた里佳さんとの出来事を聞くべく、再び私も彼の話に意識を集中させた。
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